千里丘かがやきクリニック 内視鏡 消化器内科 胃カメラ

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検診のバリウム検査と胃カメラはどちらを選ぶべき?

検診のバリウム検査と胃カメラはどちらを選ぶべき?
よく通院中の患者さんから、検診でバリウム検査と胃カメラを選べるのですが、どちらにしたらいいですかと、質問を受けます。結論から言いますと、当院ではバリウムによる検診をお勧めしていません。
理由は3つあります。
一つ目は、被爆の問題です。被曝量としては微々たるものですが、何かしらの病変があると、結局胃カメラによる二次検査になります。無用な被爆は避けるべきだと思います。
二つ目は、バリウム検査では、食道や胃の粘膜の微妙な色の変化が分からない点です。逆流性食道炎はよほどひどい場合を除いてバリウム検査では異常なしと診断されてしまいます。また、早期胃癌の表面平坦型は、バリウム検査では発見できません。
三つ目は、バリウム検査は、検査後に下剤を飲まないといけません。これが、意外と大変です。バリウム検査後、便秘になることがあり、普段から便秘気味の人は、注意する必要があります。
以上のような理由により、検診でのスクリーニング検査では、胃カメラをお勧めしています。吹田市の胃癌検診では、満50歳以上で、今年の誕生日で偶数年齢になる方が胃カメラによる胃癌検診の対象です。2年(1年は1月~12月)に1回受けることができます。
ピロリ菌は胃癌を引き起こすが、食道癌を防いでくれる?
胃癌の63パーセントはピロリ菌が原因であるとの報告があります。[1] 近年、衛生環境がよくなり、ピロリ陽性の方が激減しています。そのため、胃癌は年々減っています。しかし、逆流性食道炎と食道癌が増えています。おおよそ20年前、私が研修医の時代は、胃カメラを受けたほとんどの患者さんが、ピロリ陽性で慢性胃炎の状態でした。しかし、最近は、30代でも逆流性食道炎が増えています。
余談ではありますが、なぜ、逆流性食道炎が増えているのでしょうか?実は、ピロリ菌が住んでいない場合、胃酸が出やすくなります。欧米の報告 では,除菌後 3 年で約 25%、おおよそ4 人に 1 人が逆流性食道炎で苦しんでいるとの報告もあります。[2] ピロリ菌は自分たちが住みやすい環境にするため、胃酸が出過ぎて胃内の環境が強酸性になると、胃の粘膜によじ登り胃液の分泌を阻害します。ピロリ菌には、おとなしく共存共栄しているものと、暴れて胃の粘膜を傷つけ胃がんの原因になるものがいます。日本を含む東アジアで蔓延しているピロリ菌は、ヨーロッパの人々で多く認めるピロリ菌に比べて、胃癌の発生率が高いことが分かっています。
話を胃カメラに戻します。
どれくらいの頻度で胃カメラを受けるべきか?
バリウム検査では、検診でセット項目に入っている施設が多いので、1年に1回受ける方がほとんどだと思います。会社から検診の際に補助が出るため、バリウム検査を選んでいる方も多いと思います。
胃カメラを受ける場合は、

  • ピロリ菌陰性で食道にも異常がない場合は、2年に1回
  • ピロリ菌除菌後や胃炎、逆流性食道炎、胃粘膜下腫瘍などの病気がある場合は、1年に1回
    ※ ただし、胃底腺ポリープの場合は、2年に1回で可

ピロリ菌除菌後は、胃がんの発生率は下がりますが、リスクがゼロではないため、上記の頻度で検診を受けることをお勧めします。
もし、会社が指定している検診センターで胃カメラを受けることができない、かつ、ピロリ菌の除菌治療を受けていたり、胃もたれや胸焼けなどの消化器症状がある場合などは、保険適応になり、一般の病院で検査を受けることができます。胃腸の調子が悪い場合は、病院の受診をお勧めします。
 
まとめ
検診では、胃カメラがおすすめ。
検査を受ける間隔は
・ピロリ菌陰性で食道にも異常がない場合は、2年に1回
・ピロリ菌除菌後や胃炎、逆流性食道炎、胃粘膜下腫瘍などの病気がある場合は、1年に1回
※ ただし、胃底腺ポリープの場合は、2年に1回で可
 
引用文献
[1] Sam M Mbulaiteye, Michie Hisada, Emad M El-Omar, Helicobacter Pylori associated global gastric cancer burden. Frontiers in Bioscience, 2009 Jan 1;14:1490-504.
[2] Curing Helicobacter pylori infection in patients with duodenal ulcer may provoke reflux esophagitis. J Labenz et al., Gastroenterology. 1997 May;112(5):1442-7.
 
大阪府吹田市長野東19-6
千里丘かがやきクリニック
院長 有光 潤介