健診で脂肪肝と言われたら|放置のリスクと薬に頼らない改善法|吹田・千里丘|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

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健診で脂肪肝と言われたら|放置のリスクと薬に頼らない改善法|吹田・千里丘

健診で脂肪肝と言われたら|放置のリスクと薬に頼らない改善法|吹田・千里丘|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

2026年9月17日

健診で脂肪肝と言われたら|放置のリスクと薬に頼らない改善法|吹田・千里丘

秋は職場の健康診断の結果が返ってくる季節です。「脂肪肝」「ALT高値」「要経過観察」と書かれていても、自覚症状がないため、そのままにしている方も多いのではないでしょうか。この記事では、脂肪肝を放置するとどうなるのか、受けておきたい検査、そして薬に頼らず改善するための具体的な方法を解説します。

脂肪肝の新しい呼び方「MASLD」

2023年、欧米などの肝臓学会が中心となり、脂肪肝の呼び方が改められました。肥満、高血糖、高血圧、脂質異常などの代謝の異常を伴う脂肪肝は、「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD、マッスルディー)」と呼ばれるようになりました[1]。炎症や線維化を伴う進行した状態はMASHと呼ばれます。

名前が変わった背景には、脂肪肝が「お酒を飲まない人の肝臓の病気」ではなく、「全身の代謝の異常が肝臓に表れた状態」だという理解があります。

本当に怖いのは、肝臓より心臓と血管

脂肪肝というと肝硬変や肝がんを心配される方が多いですが、実際には、脂肪肝のある方の健康を最も脅かすのは心筋梗塞や脳卒中などの心血管病です。36の研究、約580万人を対象とした解析では、脂肪肝のある人は心血管病を起こすリスクが高く、肝臓の線維化が進んでいるほどそのリスクがさらに高くなることが示されました[2]。

つまり、脂肪肝の指摘は「肝臓だけの問題」ではなく、血管の健康を見直すきっかけと考えることが大切です。

まず受けていただきたい検査

脂肪肝を指摘されたら、次の点を確認します。

・血液検査:肝機能(AST、ALT、γ-GTP)、血糖、HbA1c、脂質、血小板数など ・腹部超音波検査:脂肪のたまり具合と、ほかの肝臓の病気(腫瘍など)がないか
・ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎、薬剤性など、脂肪以外の原因の除外
・FIB-4指数:年齢、AST、ALT、血小板数から計算する、肝臓の線維化の目安

FIB-4指数は、特別な検査をしなくても健診の数値から計算できる点が優れています。脂肪肝の患者さんを対象とした研究では、1.30以下なら進行した線維化の可能性は低く、2.67以上なら線維化が進んでいる可能性が高いとされました[3]。中間の値の方や高値の方は、さらに詳しい検査を検討します。

体重を何%減らせば肝臓は良くなるのか

脂肪肝の治療の基本は、体重を減らすことです。生活習慣の改善で減量に取り組んだ脂肪性肝炎(NASH)の患者さん293人を1年間追跡し、治療の前後で肝臓の組織を調べた研究では、減量の幅が大きいほど肝臓の状態が改善していました。体重を10%以上減らした人では、約9割で脂肪性肝炎が消失し、45%で線維化の改善がみられました[4]。

体重70kgの方なら、まずは3〜5kg、次の段階として7kg前後が現実的な目標です。いきなり大きく減らす必要はありません。

糖質制限は脂肪肝に効くのか

糖質を減らす食事は、脂肪肝の改善策としてよく話題になります。スウェーデンで行われた無作為化比較試験では、脂肪肝の患者さん74人を、糖質を大きく減らした食事、週2日だけ摂取カロリーを大きく減らす食事、一般的な生活指導の3群に分けて12週間比較しました。糖質を減らした食事と週2日のカロリー制限は、どちらも一般的な指導より肝臓の脂肪と体重を大きく減らし、両者の効果に差はありませんでした[5]。

この結果は、「糖質制限だけが正解」というより、「続けられる方法で、しっかり減量できること」が大切だと示しています。一方で、同じ試験では肝臓の硬さの改善やコレステロールへの影響に違いもみられており、どの方法が合うかは、持病や検査値、食生活の好みによって変わります。

今日から始められる食事と運動のポイント

管理栄養士の指導でよくお伝えしている内容を、いくつかご紹介します。

一つ目は、甘い飲み物をやめることです。清涼飲料水や缶コーヒー、果汁ジュースに含まれる果糖は、肝臓で脂肪に変わりやすい糖です。水やお茶に置き換えるだけで、1日に数百キロカロリー減らせることもあります。

二つ目は、主食の量を把握することです。ご飯やパン、麺類をゼロにする必要はありませんが、「大盛りを普通盛りに」「夜の主食を半分に」など、量を決めて減らすと続けやすくなります。その分、魚や肉、卵、大豆製品、野菜、きのこ、海藻をしっかり食べ、空腹感を防ぎます。

三つ目は、夜遅い食事と間食を見直すことです。仕事で帰りが遅くなる方は、夕方に軽く食べておき、帰宅後は量を控えるなどの工夫が有効です。

運動は、体重が大きく減らなくても肝臓の脂肪を減らす効果が期待できます。まずは1日20〜30分の早歩きを週に数回から始め、慣れてきたら筋力トレーニングを加えます。通勤で一駅分歩く、買い物は少し遠くの店まで歩いて行くなど、日常の中で歩く距離を増やすのもよい方法です。

脂肪肝はどのくらいで良くなるのか

生活習慣の改善を始めると、早い方では2〜3か月で肝機能の数値が下がり始めます。ただし、数値が正常になっても生活が元に戻れば再び悪化するため、半年から1年単位で経過をみていくことが大切です。当院では、採血や超音波検査を定期的に行い、数値の変化を一緒に確認しながら目標を調整していきます。

当院での改善サポート

千里丘かがやきクリニックでは、消化器内科の医師による診断に加え、4名の管理栄養士が一人ひとりの食生活に合わせた食事指導を行っています。糖質の摂り方を中心に、外食やコンビニ食の選び方、間食、飲酒との付き合い方まで、実行できる形に落とし込むことを大切にしています。

健診で脂肪肝を指摘された方の中には、糖尿病の一歩手前の状態や脂質異常症が隠れていることも少なくありません。初診時に全身の代謝の状態をまとめて確認し、優先して取り組むべき課題を整理します。

脂肪肝のある方は血管の状態も気になるため、PWV・ABI検査で血管の硬さや詰まりの程度を評価することができます。また、いびきや日中の眠気がある方では、睡眠時無呼吸症候群が脂肪肝や血糖の悪化に関わっていることもあり、必要に応じて睡眠の検査もご提案します。

こんなときは早めに受診を

ALTやASTが基準値の2倍以上、FIB-4指数が高い、血小板が少ない、健診で毎年指摘されているのに一度も詳しく調べたことがない、という方は早めの受診をお勧めします。糖尿病や高血圧をお持ちの方も、脂肪肝の進行に注意が必要です。

よくあるご質問

Q. お酒を飲まないのに脂肪肝と言われました。
A. お酒を飲まない方の脂肪肝は珍しくありません。食事の量や内容、運動不足、体重の増加、血糖の上昇などが主な原因です。

Q. やせているのに脂肪肝と言われました。
A. 体重が標準でも、内臓脂肪が多い方や、体重が数kg増えた方では脂肪肝になることがあります。見た目の体型だけで判断せず、一度評価を受けることをお勧めします。

Q. 健診の結果を持っていけばよいですか。
A. はい。過去数年分の健診結果があれば、数値の推移がわかり診断に役立ちます。服用中の薬やサプリメントがわかるものもお持ちください。

Q. 脂肪肝を治す薬はありますか。
A. 脂肪肝そのものに対して一般的に使われる薬は限られており、治療の中心は食事と運動による減量です。糖尿病や脂質異常症を合併している場合は、それぞれの治療を並行して行います。

関連ページ

・脂肪肝(MASLD・MASH):https://kagayaki-cl.jp/disease/masld/
・肝機能異常:https://kagayaki-cl.jp/symptom/liver-dysfunction/
・動脈硬化とPWV・ABI検査:https://kagayaki-cl.jp/disease/arteriosclerosis/
・低糖質食の栄養指導:https://kagayaki-cl.jp/disease/low-carb/
・睡眠時無呼吸症候群:https://kagayaki-cl.jp/disease/sleep-apnea-syndrome/

参考文献

  1. A multisociety Delphi consensus statement on new fatty liver disease nomenclature 著者:Rinella ME, Lazarus JV, Ratziu V, Francque SM, Sanyal AJ, ほか; NAFLD Nomenclature consensus group 掲載誌:J Hepatol. 2023;79(6):1542-1556 発行:2023年12月 DOI:10.1016/j.jhep.2023.06.003 要約:欧米の3つの肝臓学会が主導し、56か国236人の専門家と患者代表によるデルファイ法で脂肪肝の名称を再検討した。代謝異常を伴う脂肪肝を「MASLD」、脂肪性肝炎を「MASH」と呼ぶ新しい名称と診断基準を提案した。
  2. Non-alcoholic fatty liver disease and risk of fatal and non-fatal cardiovascular events: an updated systematic review and meta-analysis 著者:Mantovani A, Csermely A, Petracca G, Beatrice G, Corey KE, Simon TG, Byrne CD, Targher G 掲載誌:Lancet Gastroenterol Hepatol. 2021;6(11):903-913 発行:2021年11月 DOI:10.1016/S2468-1253(21)00308-3 要約:36の縦断研究、約580万人を統合したメタ解析。脂肪肝は致死的・非致死的な心血管イベントのリスク上昇と関連し、線維化など肝臓の病態が重いほどリスクはさらに高くなっていた。
  3. Comparison of noninvasive markers of fibrosis in patients with nonalcoholic fatty liver disease 著者:Shah AG, Lydecker A, Murray K, Tetri BN, Contos MJ, Sanyal AJ; Nash Clinical Research Network 掲載誌:Clin Gastroenterol Hepatol. 2009;7(10):1104-1112 発行:2009年10月 DOI:10.1016/j.cgh.2009.05.033 要約:脂肪肝の成人541人で、FIB-4指数を含む8つの非侵襲的な線維化マーカーを比較した。FIB-4は最も優れており、1.30以下で進行線維化を否定する陰性的中率90%、2.67以上で陽性的中率80%を示した。
  4. Weight Loss Through Lifestyle Modification Significantly Reduces Features of Nonalcoholic Steatohepatitis 著者:Vilar-Gomez E, Martinez-Perez Y, Calzadilla-Bertot L, Torres-Gonzalez A, Gra-Oramas B, Gonzalez-Fabian L, Friedman SL, Diago M, Romero-Gomez M 掲載誌:Gastroenterology. 2015;149(2):367-378.e5 発行:2015年8月 DOI:10.1053/j.gastro.2015.04.005 要約:生検で診断した脂肪性肝炎の患者293人に生活習慣の改善による減量を促し、52週後に再生検した前向き研究。減量幅が大きいほど組織所見が改善し、10%以上の減量で大多数に脂肪性肝炎の消失、約半数に線維化の改善がみられた。
  5. Treatment of NAFLD with intermittent calorie restriction or low-carb high-fat diet – a randomised controlled trial 著者:Holmer M, Lindqvist C, Petersson S, Moshtaghi-Svensson J, Tillander V, Brismar TB, Hagström H, Stål P 掲載誌:JHEP Rep. 2021;3(3):100256 発行:2021年6月(オンライン公開2021年2月) DOI:10.1016/j.jhepr.2021.100256 要約:脂肪肝の患者74人を、低糖質高脂肪食、週2日のカロリー制限食、標準的な生活指導の3群に分けた12週間の無作為化比較試験。2つの食事法はいずれも標準指導より肝脂肪と体重を大きく減らし、両者に差はなかった。

大阪府吹田市長野東19番6号
千里丘かがやきクリニック

院長 有光潤介(日本消化器病学会専門医・日本消化器内視鏡学会専門医)

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