胃がん
Stomach Cancer
胃がん
Stomach Cancer
胃がんはかつて日本人のがんによる死亡数の第1位でした。しかし、衛生環境の改善(ヘリコバクターピロリ感染者の減少)および診断方法と治療方法が向上し、男性では第3位、女性は第4位となっています。
胃がんは、大きくなるにつれて、徐々に胃の壁の外側に深く浸潤していきます。がんがより深く浸潤するにつれ、リンパ節や他臓器に転移するリスクが高まり、胃の外側にある大腸や膵臓、腹膜にも直接広がっていくことがあります。
胃がんは、発症に関わる要因がいくつか指摘されています。
喫煙習慣、塩分の過剰摂取、またヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)への持続的感染などが、胃がんの発生リスクを高めるとされています。
胃がんの検診方法として「効果がある」とされているのは「問診」に加え、「胃部X線検査(胃透視)」、「胃内視鏡検査(胃カメラ検査)」のいずれかとされていますが、がんをより早期発見するには、胃内視鏡検査 (胃カメラ検査)が優れています。
最近は、内視鏡機器の技術進歩により、がんの検出率が向上しています。
胃がんは、がんの小さい早期の段階では痔核症状が現れることは少なく、かなり大きくなって進行した段階であっても、症状が現れにくいことがあります。
主な症状としては、みぞおちの痛みや不快感、胸やけ、食欲の低下、吐き気などがあります。
これらは胃がん特有の症状というわけではありませんので、検査を行って評価することが必要です。
そのほか、胃がんからの出血のため、黒色の便が出たり、体重が減ったりするといった症状から検査を行い、結果的に胃がんと診断されることもあります。
がんが疑われる場合、必要に応じて次のような検査を行います。
(1)血液検査
貧血や炎症の有無、肝機能、腎機能など全身の状態を把握するために血液検査が行われます。
また、血液検査は「腫瘍マーカー」と呼ばれるがんを発症すると体内での産生量が増える特定の物質の有無を調べることもでき、診断の手掛かりとなるだけでなく病状や治療効果を判定することも可能です。
(2)画像検査
がんの転移の有無やがんの状態を調べるためには、画像検査を行う必要があります。
レントゲン検査や超音波検査などは侵襲がなく簡便に行うことができ、がんの有無や大まかな大きさ・位置などを調べることができます。
がんが進行している場合は、より詳しい状態や転移の有無などを調べるため、CT検査やMRI検査、場合によっては、PET検査が必要になることもあります。
また、食道、胃、大腸にあるがんに対しては、まず最初に内視鏡検査が行われます。
(3)病理検査
がんの病変部の組織の一部を採取して顕微鏡で詳しく観察したり、がんを引き起こす遺伝子変異の有無などを調べたりする検査です。
病変部の組織の採取方法はがんの種類によって異なり、胃や大腸、食道などのがんは内視鏡を用いた採取が行われます。
胃がんが発見された場合、周囲のリンパ節や他臓器への転移がないかを調べるために、腹部超音波検査やCT検査などが行われます。
転移の可能性のない病変においては、内視鏡的切除術(EMR、ESD)が行われます。
転移リスクのある症例もしくは転移が認められる例については、外科切除または化学療法が選択されます。
また、胃がんの治療後に、ピロリ菌を除菌すると、その後の胃がん発生率が33〜50%程度に抑制されるといわれています。
しかし、除菌後もリスクは残るため、定期的な内視鏡検査が必要となります。
とくに除菌後も胃酸を抑えるタイプの薬(プロトンポンプ阻害薬)を使い続けると、胃がんになるリスクが上がることがわかっています。
胃がんの治療については、がん情報サービスのホームページに詳しい情報が掲載されています。