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家庭の漢方常備薬 かぜ編 おすすめ3処方

家庭の漢方常備薬 かぜ編 おすすめ3処方
かぜの漢方薬というと、葛根湯がいちばん有名ですが、実は感冒・気管支炎・肺炎の適応のある医療用漢方エキス製剤は10種類以上あり、風邪の初期、こじらせた場合など、病状に応じて使い分ける必要があります。漢方専門医であれば適切な漢方薬を選択できますが、漢方の知識のない人に、それは不可能です。風邪をひいてしまっても、コロナウイルスの影響で病院を受診しにくいご時世ですし、薬局でかぜ薬を購入されている方も多いと思います。
そこで今回は、家に常備しておくとよいお勧めの漢方薬を3つ紹介します。
 
1.葛根湯(かっこんとう;葛根、麻黄、大棗、桂枝、芍薬、生姜、甘草)
【医療用漢方エキス製剤の効能または効果】
自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症:感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん
葛根湯は、中国・後漢時代3世紀初めに出版された『傷寒論』太陽病中篇に「太陽病、項背強はばること几几(しゅしゅ)、汗無く悪風(おふう)するは葛根湯之を主(つかさど)る」とあります。漢方の勉強を始めた時、まず初めに覚える条文です。葛根湯は、項背のこりが強く、汗が無く、また風に当たると寒気がするなどの症状を呈する、風邪の引き始めにもちいます。
だれにでも葛根湯ばかりを処方する葛根湯医者として落語のネタにされるくらい有名な漢方薬です。かぜ薬として有名ですが、臨床の場では、頭痛、肩こりや乳腺炎などにも使用されます。医療用漢方エキス製剤の効能効果もいろいろな病名がずらり並んでいて、いったい何の治療薬なの?と思う方もいらっしゃると思います。どんな患者にも葛根湯を処方する葛根湯医者でも、急性熱性疾患の患者さんであれば、それなりに治せそうです。
万能薬の葛根湯ですが、一つだけ注意する必要があります。葛根湯には麻薬の一種である「麻黄」(まおう)が入っており、夜が眠りにくくなったり、胃もたれしたりすることがあります。ご高齢の方や胃腸が弱い人にが飲むとこれらの副作用が出る場合があるので注意が必要です。
受験生の風邪には、葛根湯を勧めています。なぜかというと、一般の総合感冒薬には抗ヒスタミン薬(花粉症の鼻水を抑える薬として有名)を含むものが多く、眠気が出たりや集中力が落ちる可能性があるからです。病院で処方される総合感冒薬(PL配合顆粒やピーエイ配合錠が有名)も同様です。受験生のみなさん、総合感冒薬には気をつけましょう。
 
2.参蘇飲(じんそいん;葛根、前胡、桔梗、木香、蘇葉、枳実、陳皮、半夏、茯苓、人参、生姜、大棗、甘草)
【医療用漢方エキス製剤の効能または効果】感冒、せき
参蘇飲は、中国・宋代12世紀初めに出版された『和剤局方』に「感冒にて発熱頭疼するを治す。或は痰飲凝結(たんいんぎょうけつ)に困り兼ねて以て熱を為すに並に宜しく之を服すべし」とあります。
この構成生薬をよくみると、胃腸虚弱の状態に使用する有名な「六君子湯」(りっくんしとう)の構成生薬(半夏、茯苓、人参、白朮、陳皮、大棗、甘草、生姜)をほぼすべて含んでいます。入っていない生薬は、「白朮」(びゃくじゅつ)だけです。胃薬の成分に加えて、喉の炎症をとる「桔梗」(ききょう)や咳止め・去痰の効果がある「半夏」(はんげ)や「前胡」(ぜんこ)などを含んでおり、この参蘇飲は胃腸の弱い人向けの総合感冒薬です。風邪の引き始めで何を飲んでいいか分からない場合は、参蘇飲がお勧めです。免疫アレルギーの基礎疾患をお持ちの患者さんは胃腸が弱い方が多いため、かぜを引いたときに何を飲めばいいですかと聞かれた場合は、とりあえず参蘇飲を飲んでくさいと説明しています。
 
 
3.銀翹散(ぎんぎょうさん;芦根、金銀花、連翹、淡豆豉、淡竹葉、牛蒡子、薄荷、荊芥、桔梗、甘草)
銀翹散は、中国・明時代18世紀末に出版された『温病条辨』に載っている大変有名な処方です。残念ながら、日本漢方にはこの「温病(うんびょう)」という概念がなく、日本で我々医師が処方可能な医療用漢方エキス製剤のかぜ薬は、すべて体を温めるものばかりです。しかし、寒気がなく、熱でうなされるタイプの風邪もあります。寒気がなく喉が痛むようなかぜには、銀翹散がお勧めです。
薄荷(はっか)、牛蒡子(ごぼうし)、淡豆鼓(たんとうし)、金銀花(きんぎんか)、連翹(れんぎょう)、淡竹葉(たんちくよう)などはすべて体の熱を冷ますタイプの生薬です。
よい漢方薬なのですが、残念ながら保険適応となる医療用漢方エキス製剤はありません。薬剤師のいる時間帯にお近くの薬局で購入して下さい。
 
まとめ
葛根湯 かぜの初期。寒気、首のこり、汗が出ていないがポイント。
銀翹散 のどの痛みがある、夏にひくことが多い、寒気のないかぜ。
参蘇飲 胃腸の弱い人向け。喉の痛み、咳、痰など風邪症状全般に対応。
 
 
大阪府吹田市長野東19-6
千里丘かがやきクリニック
院長 有光 潤介