千里丘かがやきクリニック 食事と寿命の関係について ダイエット

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食事と寿命の関係について

食事と寿命の関係について 

糖質の過剰摂取は寿命を縮める
『日本の長寿村・短命村-緑黄野菜・海藻・大豆の食習慣が決める』近藤 正二 (著)
という本があります。現在絶版になっており、Amazonに高値で出品されています。著者の近藤正二先生は、昭和10年から36年間かけて、リュックサックを背負い、長寿者の多い村と少ない村との衛生学的比較調査研究の為に、交通の不便な全国990の町や村を調査して回ったとのことです。
その調査結果は、大変興味深い内容です。本の内容を要約すると、『食材はその土地で採れるものに限られ、バラエティに乏しく、住民は毎日同じようなものを食べている。コメを多食する地域もあれば、ほとんど食べない地域もある。コメを多食する村は短命村であり、長寿村はなかった。他方、野菜や海藻を多食する村は、すべて長寿村であった。』
 
考えてみれば当然で、昭和初期は、まだトラックや鉄道などの物流は整備されていなかったため、毎日その土地で採れるものばかり食べており、この調査結果は極めて信頼性が高いと思います。現代のように物流が発達して、1年中いろいろな食物が手に入る時代だと、栄養調査を行っても、かなり解析が難しくなります。
 
さらに、コメを食べ過ぎがよくないまたは、炭水化物の取り過ぎがよくないということは、最近の研究でも報告されています。
 
一つ目は、久山町研究です。
久山町は、福岡県にある人口8000人くらいの小さな町で、5年に1回住民検診を行っていて、受診率は80%、死後の解剖検査は82%と高い数値です。九州大学が長年にわたり住民の健康調査を行っている自治体です。
1960年代はじめ、脳卒中の死亡率の高さについて、高血圧がもっと大きな原因であることを解明し、減塩食や降圧薬で10年後には脳卒中を3分の1に激減させました。その後は糖尿病を重要なテーマとして研究した結果、糖尿病が心筋梗塞、脳梗塞、悪性腫瘍、アルツハイマー病などの発症要因になることを明らかにしました。1988年から、動物性の脂肪タンパクを減らして、穀物を増やす栄養指導を行なった結果、皮肉なことに、全国平均を上回る糖尿病患者を生み出してしまいました。
久山町の糖尿病有病率の変化
男性 15.0% (1988年) → 23.6% (2002年)  [2002年の全国平均15.6%]
女性 9.9% (1988年) → 13.4% (2002年)  [2002年の全国平均8.1%]
また、この調査研究のサブ解析[1]では、コメをたくさん食べていると認知症のリスクが上がることが分かりました。認知症のリスクが上がる食事は、1位 コメ、2位 アルコール、3位 砂糖とお菓子です。逆に、認知症のリスクが下がる食事は、1位 野菜(とくに緑黄色野菜)、2位 大豆製品、3位 乳製品、4位 海藻です。
 
二つ目、PURE Study [2]です。
世界18カ国の35-70歳の男女13万5335人(すべての人種、低所得者から高所得者)を対象に7.4年経過観察し、脂肪および炭水化物の摂取量と心血管疾患および死亡との関連を前向きコホート研究で検証した有名な研究があります。炭水化物の摂取量が多いほど全死亡リスクは増加し(全摂取エネルギーの60%を超える群では高かった)、脂質の摂取量が増えると全死亡率が低下する相関が見られました。また、脂質は、総脂質および種類にかかわらず、摂取量が多いほど全死亡リスクは低下しました。飽和脂肪酸の摂取量が多いほど、脳卒中のリスクが低下し、心筋梗塞または冠動脈疾患との関連性は認められませんでした。これまでの常識を覆す画期的な研究です。
これらの研究から、従来考えられていた脂質が悪いものではなく、実はいいものであることがおわかりいただけたと思います。
 
コレステロールの摂取量を減らすと寿命が短くなる
50年前の研究[3]です。当時は、動脈硬化を引き起こす原因が、脂質であるというグループと糖質であるというグループがありました。脂質が悪いと考えていたグループは、コレステロールの摂取量を減らすと寿命が長くなるという仮説をたて、コレステロールが悪と考えられていた時代に行われた研究で、仮説と真逆の結果であったため、当時は調査結果が公表されず、50年たって世の中に出てきた研究結果です。この研究結果では、コレステロールの摂取量が少ない方が、寿命が短くなっていました。とくに、65歳以上の女性でその傾向は顕著でした。
 
最後に
では、どのような食事をすれば長生きするのか?
近藤正二先生が提唱されている食事は

  • 米を偏食・大食しない(炭水化物を取り過ぎない)
  • 肉・魚・卵もしくは大豆を毎日十分食べる(タンパク質を十分に摂取する)
  • 野菜を多く食べる
  • 油を少しずつ毎日食べる
  • 海藻を常食する
  • なるべく牛乳を飲む
  • 小魚を頭から食べる

 
長寿科学振興財団の調査によると、生存率が落ちる4つの指標は、
1.BMI値
20 以下。
2.血清アルブミン値
男性 3.8g/dl以下、女性 3.9g/dl以下。
3.総コレステロール値
男性 156㎎/dl以下、女性 182㎎/dl以下。
4.ヘモグロビン値
男性 12.7g/dl以下、女性 11.6g/dl以下。
と、なっています。
炭水化物は控えめに、タンパク質はしっかり摂取して、血中アルブミンが4.4g/dl以上になるよう目指しましょう。海藻については、腸内細菌叢のバランス改善に大きく寄与しています。また、機会があれば、腸内細菌叢について書きたいと思います。
 
引用文献
[1] Dietary patterns and risk of dementia in an elderly Japanese population: the Hisayama Study. Am J Clin Nutr. 2013 May;97(5):1076-82.
 
[2] Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study. Lancet. 2017 Nov 4;390(10107):2050-2062
 
[3] Re-evaluation of the traditional diet-heart hypothesis: analysis of recovered data from Minnesota Coronary Experiment (1968-73), BMJ. 2016 Apr 12;353
 

大阪府吹田市長野東19-6
千里丘かがやきクリニック
院長 有光 潤介