千里丘かがやきクリニック 漢方治療 アレルギー

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千里丘かがやきクリニック 漢方治療 アレルギー

漢方薬について

漢方薬について
病院で一般的に処方される漢方薬は、生薬を煮出して粉末にした医療用漢方エキス製剤(医療用漢方製剤)と呼ばれるものです。148処方が厚生労働省に承認されています。
漢方エキス製剤は、粉薬だけでなく、一部の製剤には、錠剤やカプセルもあります。
エキス製剤は、例えるならインスタントコーヒーのようなものです。本来の漢方薬は、生薬を煮出して飲みます。豆を挽いて直ぐにいれたコーヒーとインスタントコーヒーを飲み比べれば、その味、匂いは全く違います。漢方エキス製剤も同様で、生薬を自宅で煎じて飲むほうが、当然よく効きます。
とはいえ、毎日生薬を煎じるのは大変ですし、携帯性に優れているため、漢方専門の病院であっても、漢方エキス製剤が主に処方されています。しかし、私の漢方の師匠江部洋一郎先生の外来には全国から難病患者さんが多数診察に訪れており、9割以上煎じ薬を処方していました。
当院でも、アトピー性皮膚炎や慢性腎不全など、難治症例に対しては、煎じ薬を処方する場合があります。また、医療用漢方エキス製剤に含まれる賦形剤(飲みやすくするために加えている添加物)にアレルギー反応が出てしまう場合にも、煎じ薬を処方しています。開業する前に勤めていたクリニックの漢方外来では、全体の1割の患者さんに煎じ薬を処方していました。当院では、患者さんの利便性を考えて、エキス製剤で対応することが多いのですが、希望される方には生薬を処方しています。
製薬会社によって異なる賦形剤(添加物)
前項で賦形剤のアレルギーについて書きましたが、「葛根湯」の漢方エキス製剤に含まれる賦形剤が、メーカー毎に違うという例を提示します。

  • A社  ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、結晶セルロース、 含水二酸化ケイ素
  • B社  ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、トウモロコシデンプン、 プルラン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム
  • C社  ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、ショ糖脂肪酸エステル
  • D社  ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、トウモロコシデンプン
  • E社  ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物
  • F社 ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、ショ糖脂肪酸エステル
  • G社 テイコク ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物、結晶セルロース

漢方薬を飲みやすくするため、製薬会社は各々工夫しており、どのメーカーがよいとも言えないのですが、処方する医師は、乳糖不耐症やトウモロコシアレルギーに気をつける必要があります。
 
製薬会社によって構成薬が異なる構成生薬
「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」や「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」は、製薬会社によって中に入っている生薬が異なるため注意が必要です。
柴胡加竜骨牡蛎湯は、おもに精神安定剤として使用されますが、古典に記載されている構成生薬は、柴胡、半夏、茯苓、桂枝、黄芩、大棗、 生姜、人参、竜骨、牡蛎、大黄の11生薬ですが、1社だけ大黄が入っていない10生薬のエキス製剤があります。大黄は、便秘薬として使われるだけでなく、精神安定作用もあります。しかし、大黄が入っていると下痢になってしまう患者さんもおられるため、当院では、患者さんの体質によって、処方する漢方製剤の製薬会社を使い分けています。
 
もう一つ製薬会社によって中身がまったく違う漢方エキス製剤「竜胆瀉肝湯」についてお話します。
A社 車前子、黄芩、沢瀉、木通、地黄、当帰、山梔子、甘草、竜胆
B社 車前子、黄芩、沢瀉、木通、地黄、当帰、山梔子、甘草、竜胆、芍薬、川芎、黄連、黄柏、連翹、薄荷、浜防風
A社とB社では、かなり構成生薬が違います。それぞれの生薬量も違います。当然、使い分けが必要です。B社の竜胆瀉肝湯は、一貫堂と呼ばれる流派の処方です。実は、華道や茶道のように、漢方にも流派があります。ちなみに私は経方派といわれるグループです。師事した江部洋一郎先生は、『傷寒論』『金匱要略』にもとづいて、生理・病理観から処方の運用に至るまで、独自の理論を構築して体系化された「経方医学」を提唱されました。
最後に、当院は、保険で生薬も取り扱うことができます。生薬は在庫の管理が大変で、湿気を吸うとカビが生えたり、虫がわいたりするため、生薬を扱う薬局は非常に限られます。
生薬を処方する場合は、お住まいをお聞きして、近隣の生薬が可能な調剤薬局をご紹介します。
 
大阪府吹田市長野東19-6
千里丘かがやきクリニック
院長 有光 潤介