徹底比較!RSウイルスとヒトメタニューモウイルス(hMPV)の共通点と決定的な違い|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

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徹底比較!RSウイルスとヒトメタニューモウイルス(hMPV)の共通点と決定的な違い

徹底比較!RSウイルスとヒトメタニューモウイルス(hMPV)の共通点と決定的な違い|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

2026年6月08日

徹底比較!RSウイルスとヒトメタニューモウイルス(hMPV)の共通点と決定的な違い

RSウイルスとヒトメタニューモウイルスの基本

乳幼児や高齢者の間で呼吸器感染症を引き起こす代表的なウイルスとして、RSウイルスとヒトメタニューモウイルス(以下、hMPVと表記します)が挙げられます。特に小さな子どもを持つ保護者の方にとっては、保育園や幼稚園での流行などを通じて、その名前を耳にすることが多いのではないでしょうか。2026年5月は、当院でもお子様がヒトメタニューモウイルスに感染し、親御さんにも感染し、咳が止まらないという受診が増えました。

これら二つのウイルスは、引き起こされる症状が非常に似通っているため、一般的な生活の中で症状だけで見分けることは困難です。しかし、ウイルスの発見された歴史や流行しやすい時期、感染しやすい年齢層、さらには医療現場における対策やワクチンの有無などには、明確な違いが存在します。

ここでは、最近の研究結果に基づいて、RSウイルスとhMPVの共通点と違いについて解説します。

二つのウイルスの共通点

RSウイルスとhMPVは、ウイルスの分類上「ニューモウイルス科」という同じグループに属しています。遺伝子やウイルスの構造が似ているため、人間に感染した際の行動や体への影響には、多くの共通点が見られます。

1.引き起こされる症状とその進行プロセス

どちらのウイルスも、感染した初期には鼻水、喉の痛み、発熱、咳といった、いわゆる普通の風邪と全く区別がつかない症状から始まります。数日経つと症状のピークを迎え、ウイルスが気管支の奥深くへと進行していきます。

気管支の先端にある細気管支という細い空気の通り道にウイルスが感染すると、そこが腫れて分泌物(痰)が詰まり、空気の通り道が狭くなります。その結果、息を吸ったり吐いたりするときにゼーゼー、ヒューヒューという苦しそうな音が聞こえるようになります。これを喘鳴(ぜんめい)といいます。さらに悪化すると、細気管支炎や肺炎といった重い呼吸器疾患に発展する点も、両ウイルスに共通した特徴です。

2.感染経路と日常生活における予防策

周囲に感染が広がる仕組みも同じです。主な感染経路は、感染した人が咳やくしゃみをした際に飛び散るしぶきを直接吸い込む飛沫(ひまつ)感染と、ウイルスが付着した手ですりやおもちゃ、ドアノブなどを触った手で、自分の目や鼻、口の粘膜に触れることで感染する接触感染です。

そのため、予防のための対策も共通しています。流水と石けんを用いた丁寧な手洗い、手指のアルコール消毒、マスクの着用、指示通りの換気、そして子どもたちが共有するおもちゃや家具などのこまめな拭き掃除が、双方のウイルスに対して高い予防効果を発揮します。

3.重症化しやすいリスクグループ

両ウイルスともに、健康な大人が感染した場合は軽症の風邪で済むことが多いですが、特定のリスクグループにおいては重症になることがあります。

最も注意が必要なのは、初めてそのウイルスに感染する乳幼児です。特に生後数ヶ月の赤ん坊や、予定日より早く生まれた早産児、生まれつき心臓や肺に持病(基礎疾患)がある子どもは、気管支がもともと細いため、急激に呼吸困難に陥りやすい傾向があります。また、高齢者や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの肺の持病を持つ成人が感染した場合も、重篤な肺炎を起こして入院が必要になるケースがあります。

二つのウイルスの違い

このように共通点の多い二つのウイルスですが、科学的な調査や臨床データの分析によって、いくつかの重要な違いがあることが明らかになっています。

1.発見された歴史の違い

RSウイルスは1956年に最初に発見された、医療の世界では非常に歴史のあるウイルスです。長年にわたって世界中で詳細な研究が行われており、診断方法や対応策が確立されています。

一方、hMPVは2001年にオランダの研究チームによって初めて発見されました。それ以前も風邪の原因として存在していたものの、従来の技術では検出が難しく、21世紀になってようやくその存在が証明された比較的新しいウイルスです。当然ならが、私が大学生の時には存在が知られておらず、習っていません。4-5

2.初めて感染を経験する年齢層の違い

感染力の強さと、初感染を迎える年齢層にわずかな違いがあります。

RSウイルスは非常に感染力が強く、生後1歳までに約半数の子どもが感染し、2歳になるまでにはほぼ100パーセントの子どもが少なくとも1回は感染を経験します。

これに対し、hMPVは5歳までにほぼ100パーセントが感染するとされていますが、初めて感染する年齢のピークは1歳から3歳頃であり、RSウイルスよりもやや高い年齢層で初感染がみられます。

3.流行が本格化する季節の違い

一年の中で流行がピークに達する時期が異なります。

RSウイルスは、一般的には夏から秋にかけて発生が増え始め、冬にかけて大きな流行の山を作ることが多いです。

これに対してhMPVは、冬の終わりから春先(具体的には3月から5月頃)にかけて流行のピークを迎えるという特徴があります。ただし、近年の社会環境の変化や気候の影響により、これらの時期がずれて同時に流行することもあるため注意が必要です。

4.高熱の出やすさと年齢ごとの重症化傾向

入院した小児のデータを比較した研究によると、hMPVに感染した患者は、RSウイルスに感染した患者よりも高い熱(高熱)を出しやすいという特徴が報告されています。また、胸部レントゲン検査を行った際にも、hMPVの方が肺の炎症を示す影(浸潤影)が出やすい傾向があります。

年齢別の重症化リスクにおいては、生後6ヶ月未満の極めて小さな乳児期ではRSウイルスの方が重症化しやすいのに対し、1歳から2歳頃の幼児期においてはhMPVの方が重症化しやすいという、年齢に応じたリスクパターンの違いが科学的に示されています。

5.ワクチンや予防薬、検査をめぐる医療体制の違い

最も決定的な違いは、医療における直接的な対抗手段の有無です。

RSウイルスに対しては、重症化を防ぐための医療技術が大きく進歩しています。リスクの高い子ども向けに定期的に注射する抗体製剤に加え、近年では高齢者向けや妊婦向けのワクチン、さらにすべての新生児を対象にできる新しい予防薬が実用化され、予防の選択肢が広がっています。

しかし、hMPVに関しては、現時点で世界的に実用化されたワクチンや特異的な治療薬(特効薬)が存在しません。そのため治療は、熱を下げる薬や痰を切りやすくする薬を使い、本人の回復力をサポートする対症療法が基本となります。また、病院で行われる迅速診断キットによる検査の健康保険適用条件についても、RSウイルスは乳幼児全般に対して広く認められているのに対し、hMPVは6歳未満で、すでに肺炎が強く疑われる場合などに限定されているという違いもあります。

まとめ

RSウイルスとヒトメタニューモウイルス(hMPV)は、どちらも子どもや高齢者の呼吸器を脅かすウイルスです。基本的な症状や予防のための手洗い・消毒の重要性は同じですが、hMPVの方がやや上の年齢で高熱を出しやすいこと、正式に承認されたワクチンなどの直接的な予防手段がhMPVにはまだ無いという違いがあります。どちらのウイルスであっても、激しい咳で眠れない、息をするときに胸がペコペコ凹む、水分が摂れないといった症状が見られた場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。

参考文献

  1. Comparison of Clinical Characteristics of Human Metapneumovirus and Respiratory Syncytial Virus Infections in Hospitalized Young Children, Taniguchi A, et al. Jpn J Infect Dis . 2019 Jul 31;72(4):239-245. DOI: 10.7883/yoken.JJID.2018.480
    要約: 日本の10施設に入院した3歳未満の小児を対象に、hMPVとRSVの臨床的特徴を比較した前向き研究。hMPV感染者はRSV感染者より年齢が高く高熱や肺炎の頻度が高かったが、呼吸器症状の重症度自体に有意な差はなく、どちらも乳幼児の重症呼吸器感染症の主要な原因であることが示された。
  2. Comparing Human Metapneumovirus and Respiratory Syncytial Virus: Viral Co-Detections, Genotypes and Risk Factors for Severe Disease, Moe N, et al. PLOS One . 2017 Jan 18;12(1):e0170200. DOI: 10.1371/journal.pone.0170200
    要約: 小児におけるhMPVとRSVの重症度やリスク要因を比較した研究。hMPV感染児はRSV感染児よりも平均年齢が高かった。生後6か月未満ではRSVの方が重症化しやすかった一方、12~23か月ではhMPVの方が重症化する傾向があり、年齢によってウイルスごとの重症化パターンが異なることを明らかにした。

大阪府吹田市長野東19番6号
千里丘かがやきクリニック
院長 有光潤介

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