グルタチオンとビタミンCの違いについて|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

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グルタチオンとビタミンCの違いについて

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2025年11月14日

グルタチオンとビタミンCの違いについて

美白目的の点滴、内服薬で有名なグルタチオンとビタミンCですが、両者の違いについての問い合わせを多数受けています。
今回のブログでは、その違いについてお話ししたいと思います。

グルタチオンとビタミンCは、どちらも私たちの健康を守るために重要な役割を持つ「抗酸化物質」ですが、その正体や働き方、体との関わり方には大きな違いがあります。
どちらも「体のサビつき(酸化)を防ぐ」という共通点を持ちながら、一方は体内で作られる「司令塔」、もう一方は外から補給する「実行部隊」と例えることができます。

グルタチオンとは?

グルタチオンは、私たちの体内のほぼすべての細胞に存在する、生命維持に不可欠な物質です。

正体:体内で合成される「トリペプチド」

グルタチオンは、「グルタミン酸」「システイン」「グリシン」という3つのアミノ酸が結合してできています。
このようなアミノ酸の結合体を「ペプチド」と呼び、グルタチオンは3つ(トリ)のアミノ酸からなるためトリペプチドに分類されます。
最大の特徴は、ビタミンCとは異なり、私たちの体(主に肝臓)で自分自身で合成できることです。

主な働き:最強の「マスター抗酸化物質」

強力な抗酸化作用

体内で発生する活性酸素(細胞を傷つけ、老化や病気の原因となる物質)を直接的に除去し、細胞を酸化ストレスから守ります。

解毒(デトックス)作用

グルタチオンが最も高濃度に存在する場所は肝臓です。肝臓がアルコール、薬物、体外からの有害物質(重金属など)を分解し、無毒化して体外に排出するプロセス(「抱合反応」と呼ばれる解毒の第2段階)において、グルタチオンは不可欠な役割を担っています。

免疫機能のサポート

免疫細胞であるリンパ球の働きを正常に保ち、免疫システムが適切に機能するためにも重要です。

他の抗酸化物質の「再生」

グルタチオンの最も重要な役割の一つが、他の抗酸化物質(特にビタミンCやビタミンE)が活性酸素と戦って酸化(疲弊)した際に、それらを元の元気な状態(還元型)に戻す(再生させる)働きです。

ただし、グルタチオンは体内で作られますが、加齢、ストレス、喫煙、過度の飲酒、不規則な生活などによって、その生産量は年齢とともに減少していくことが知られています。

ビタミンCとは?

ビタミンC(化学名:アスコルビン酸)は、グルタチオンと並んで最もよく知られた抗酸化物質の一つです。

 正体:食事から摂取する「必須栄養素」

ビタミンCは、水に溶けやすい「水溶性ビタミン」の一種です。グルタチオンとの決定的な違いは、ヒトはビタミンCを体内で合成できないことです。そのため、野菜や果物などの食品から日常的に摂取し続けなければならない「必須栄養素」に分類されます。

主な働き:多方面で活躍する「万能サポーター」

ビタミンCは、抗酸化作用以外にも、体の様々な機能の維持に関わっています。

強力な抗酸化作用

グルタチオンと同様に、活性酸素やフリーラジカルを直接除去し、細胞が傷つくのを防ぎます。特に血液中などの細胞の外(水溶性の環境)でその力を発揮します。

コラーゲンの生成に必須

ビタミンCの最も重要な働きのひとつが、皮膚、骨、血管、腱などを構成する主要なタンパク質であるコラーゲンの合成を助けることです。ビタミンCが不足するとコラーゲンが正常に作られず、血管がもろくなる「壊血病」を引き起こすことは古くから知られています。

免疫機能のサポート

白血球の働きを助け、免疫システムを維持する役割があります。

鉄分の吸収促進

ほうれん草など植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」は、そのままでは体に吸収されにくいのですが、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が高まります。

ストレスへの対抗

ストレスを感じると、体はそれに対抗するために副腎皮質ホルモンを分泌します。ビタミンCはこのホルモンの合成にも使われるため、ストレスが多い人ほどビタミンCの消費が激しくなります。









決定的な違い:グルタチオン vs ビタミンC

違い 1:【生成】体内で作れるか、外から摂るか

・グルタチオン:
 体内で合成される。加齢などで減少はするが、基本的には「内因性(体内で作られる)」の物質。
・ビタミンC:
 体内で合成できない。食事から必ず摂取しなければならない「必須栄養素(外因性)」。

違い 2:【化学的な正体】アミノ酸か、ビタミンか

・グルタチオン:
 アミノ酸が3つ結合した「ペプチド(タンパク質の最小単位に近いもの)」。
・ビタミンC:
 アスコルビン酸という化学構造を持つ「ビタミン」。

違い 3:【主な役割】解毒の主役か、コラーゲンの主役か

グルタチオン:
 主な活躍の場は「細胞の内側」。特に肝臓での解毒作用において中心的な役割を果たす。
ビタミンC:
 主な活躍の場は「細胞の外側(血液中など)」。コラーゲンの合成に不可欠であり、皮膚や血管の健康維持に必須。

違い 4:【抗酸化の役割】司令塔か、実行部隊か

これが両者の関係性を理解する上で最も重要です。
・グルタチオン(司令塔・再生役):
 「マスター抗酸化物質」として、他の抗酸化物質(ビタミンCやE)が酸化して疲弊するのを再生(還元)させる役割を持つ。抗酸化ネットワーク全体の司令塔です。
・ビタミンC(実行部隊・再生される側):
 自ら活性酸素と戦い、酸化される「実行部隊」。しかし、グルタチオンによって再生されることで、再び抗酸化力を取り戻すことができます。

違い 5:【アプローチ】細胞内か、細胞外か

・グルタチオン:
主に細胞の中で働き、細胞核(DNA)やミトコンドリアといった、生命活動の「中枢」を酸化ストレスから守る役割が強い。
・ビタミンC:
水溶性であり、血液や体液にのって全身を巡り、細胞の外側や粘膜などで広範囲に抗酸化力を発揮する。

協調して働く抗酸化ネットワーク

グルタチオンとビタミンCは、どちらが優れているというものではなく、互いに協力し合う「抗酸化ネットワーク」の重要なメンバーです。

体内で活性酸素が発生すると、まずビタミンE(脂溶性)やビタミンC(水溶性)といった抗酸化物質が身代わりとなって酸化されます。

ステップ1: ビタミンC(実行部隊)が活性酸素を無害化する。ビタミンCは「酸化型ビタミンC」になり、力を失う。

ステップ2: グルタチオン(司令塔)が、力を失った「酸化型ビタミンC」に電子を与える。ビタミンCは元の元気な「還元型ビタミンC」に再生され、再び戦えるようになる。

ステップ3: ビタミンCを再生させたグルタチオンは、自身が「酸化型グルタチオン」になる。酸化型グルタチオンは、体内の「グルタチオン還元酵素」によって、再び元の還元型グルタチオンに再生される。

このように、グルタチオンはビタミンCを再生させることで、体全体の抗酸化力を高いレベルで維持する「かなめ」の役割を果たしているのです。

まとめ

項目

グルタチオン

ビタミンC (アスコルビン酸)

分類

トリペプチド(アミノ酸3つ)

水溶性ビタミン

体内での生成

〇 できる(主に肝臓で合成)

× できない(必須栄養素)

主な役割 (1)

肝臓での解毒(デトックス)

コラーゲンの生成

主な役割 (2)

免疫機能の維持

免疫機能の維持、鉄の吸収促進

抗酸化作用

強力(細胞内が主)

強力(細胞外が主)

両者の関係

ビタミンCを再生させる(司令塔)

グルタチオンに再生される(実行部隊)

グルタチオンは「体内の防御システムと解毒の要」、ビタミンCは「外から補給が必要な、コラーゲン生成と広範囲のサポーター」と理解すると良いでしょう。

どちらも健康維持に不可欠であり、両者が協力し合うことで、私たちの体は酸化ストレスや有害物質から守られています。

ビタミンCの血中濃度を上げるには、リポカプセルビタミンCか高濃度ビタミンCの点滴が必要になります。
どちらも当院で取り扱っていますので、ご興味がある方は当院にお問い合わせください。



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