知らないと損する!漢方薬は「どの会社か」で効き目が変わる|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

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知らないと損する!漢方薬は「どの会社か」で効き目が変わる

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2025年12月22日

知らないと損する!漢方薬は「どの会社か」で効き目が変わる

製薬会社で異なる漢方薬の常識・非常識

漢方エキス製剤は、メーカーによって「味」「効き目」「成分」「飲める体質(アレルギー)」が異なります。医師や薬剤師がなぜ特定のメーカーを選ぶのか、その裏側にある重要な違いをまとめました。

同じ名前でも「中身」が違う?生薬の配合バランス

最も有名な漢方薬の一つである葛根湯五苓散でも、メーカーによって微妙な違いがあります。
葛根湯(カッコントウ)
メーカーごとに生薬のグラム数が異なります。例えば、体を温め発汗を促す「麻黄(マオウ)」の量は、クラシエ(4g)やジュンコウ(4g)などが多めに配合されているのに対し、ツムラ(3g)はやや控えめであるなど、各社で構成比に差があります。

五苓散(ゴレイサン)
水分代謝を調整する漢方ですが、構成生薬の一つである「朮(ジュツ)」の種類が異なります。
蒼朮(ソウジュツ)を使用: ツムラ
白朮(ビャクジュツ)を使用: ツムラ以外の多くのメーカー(クラシエ、コタロー、三和など)
また、本草製薬の製品はエキス(抽出液)ではなく、生薬そのものを粉末にした「末剤(まつざい)」である点も特徴的です。

名前は同じでも「別物」レベルで違う漢方薬

中には、配合バランスどころか、構成生薬そのものが大きく異なるケースがあります。これらは効果や副作用に直結するため注意が必要です。
竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)
排尿痛や陰部の痒みなどに使われますが、コタロー(小太郎漢方) のものだけ処方が全く異なります。
コタロー: 「一貫堂(いっかんどう)」という流派の処方を採用しており、一般的な構成生薬に加えて、芍薬、川芎、黄連、黄柏、連翹、薄荷、浜防風という多数の生薬が追加されています。
その他のメーカー: 一般的な処方構成です。

柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)
ストレスや不眠に使われます。
ツムラ: 「大黄(ダイオウ)」が入っていません
その他のメーカー: 大黄が入っています。
大黄は便秘薬として知られますが、精神を安定させる作用もあります。お腹が緩くなりやすい人には大黄抜きのツムラが選ばれやすい一方、より強い精神安定作用を期待する場合は他社製が選ばれることがあります。

半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)
めまいや頭痛に使われます。
コタロー・三和: 消化を助ける「神麴(シンキク)」が入っています。発酵食品のため安定供給できず、大手製薬会社は入れていません。
クラシエ・ツムラ: 神麴が入っていません
また、体を温める生薬であるショウガについて、クラシエは生の「生姜」のみですが、他社は「乾姜(蒸して乾燥させたもの)」を併用するなど、温める力に差が出る可能性があります。
酸棗仁湯(サンソウニントウ)
不眠に使われます。主成分である「酸棗仁」の量が、オースギ(15g)はツムラ(10g)の1.5倍配合されています。

「保険で治せる病気」の範囲が違う(適応病名の違い)

同じ薬でも、メーカーによって添付文書に書かれている「効能・効果(適応病名)」が異なることがあります。特にコタロー(小太郎漢方) は、他社よりも広い適応を持っていることが多いのが特徴です。
桂枝湯(ケイシトウ): 通常は風邪薬ですが、コタローのみ「神経痛、リウマチ」などの適応があります。

香蘇散(コウソサン): 通常は胃腸虚弱者の風邪薬ですが、コタローのみ「神経衰弱、更年期神経症、蕁麻疹」などの適応があります。

甘麦大棗湯(カンバクタイソウトウ): 通常は夜泣きに使われますが、コタローのみ「大人の不眠症」の適応が明記されています。

加味逍遙散(カミショウヨウサン): 女性の更年期障害に使われる代表的な薬ですが、コタローの説明書きには「男性にも使える」ような記述(男性への言及や、広い神経症状への適応)が含まれています。

アレルギーや体質に関わる「添加物」の違い

漢方エキスを顆粒にするために使われる「添加物」も重要です。特に乳糖 は、乳製品でお腹がゴロゴロする人(乳糖不耐症)にとって問題となります。
五苓散の例:賦形剤の違い
A社の五苓散ではアレルギーが出ないが、B社の五苓散ではアレルギーが出るという患者の事例も報告されています。
A社では添加物が「ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物」のみであるのに対し、B社では「ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、乳糖水和物、プルラン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム」など、より多くの添加物が含まれており、この違いで薬剤アレルギーが出ることがあります。
乳糖を含まない製剤:
乳糖が苦手な方のために、乳糖不使用の製品も存在します。
クラシエ(錠剤・顆粒): 葛根湯、大柴胡湯、人参養栄湯、八味地黄丸など多数。
コタロー(カプセル): 麻黄附子細辛湯、黄連解毒湯など
ビオフェルミン: 多くの整腸剤は乳糖を含みますが、医療用のビオフェルミン錠・ビオフェルミンR錠などは乳糖フリーです。

取り扱い注意!「附子(ブシ)」の強さと安全性の違い

体を温め、痛みを止める強力な生薬「附子(トリカブトの根を加工したもの)」は、メーカーによって加工方法と毒性(副作用リスク)、効き目が大きく異なります。

【成分と作用の基本】
附子の成分「アルカロイド」は、鎮痛作用が強い反面、毒性も強くなります。一方で、加熱処理などをしっかり行うと毒性は減りますが、鎮痛作用もマイルドになります(これを減毒処理といいます)。

【メーカーごとの使い分け】
冷えを治したいなら:コタロー「炮附子(ホウブシ)」
毒性成分(アルカロイド)が非常に少ない加工がされています。
大量に使っても中毒(しびれ等)が起きにくいため、しっかりと体を温めるために量を増やしやすい特徴があります。
神経痛に対して単独で処方できる製品もあります。

痛みを止めたいなら:ツムラ「ブシ末」(調剤用)
アルカロイドの量が多く残っているため、鎮痛効果が高いです。
その分、大量に使うと「舌がしびれる」などの附子中毒が出るリスクがあるため、使用量(特に4.5g以上)には注意が必要です。

痛みと冷えの両方:アコニンサン錠(三和など)
加工附子(カコウブシ)を使用しており、痛みと冷えの両方をカバーします。
ただし、微調整が難しく、大量使用時は中毒に注意が必要です。

まとめ

漢方薬は「〇〇湯」という名前が同じでも、以下の点で異なります。
効き目のシャープさ: 生薬の配合量や種類の違い(例:大黄の有無、附子の加工法)。安全性・飲みやすさ: 乳糖の有無や、附子の毒性レベルの違い。
使える症状: メーカーによって保険適用される病名が異なる。
医師は、患者さんの「冷えの強さ」「痛みの強さ」「胃腸の強さ」「体質(アレルギー)」に合わせて、あえて特定のメーカーを指定することがあります。
もし処方された漢方薬のメーカーが変わった場合は、自己判断せず、医師や薬剤師にその意図を確認することをお勧めします。



大阪府吹田市長野東19番6号
千里丘かがやきクリニック
院長 有光潤介

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