糖尿病と歯周病の関係について|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

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糖尿病と歯周病の関係について

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2026年1月05日

糖尿病と歯周病の関係について

かつては「糖尿病の人は歯周病になりやすい」という一方通行の関係だけが知られていましたが、現在では「歯周病を放置すると糖尿病が悪化する」逆に「歯周病を治療すると血糖コントロールが改善する」という双方向の関係(双方向性)が科学的に立証されています。
この2つの病気は、お互いに悪い影響を与え合う「負の連鎖(悪循環)」を引き起こします。しかし、裏を返せば、片方をケアすることで両方の改善が見込めるということでもあります。
ここでは、なぜこの2つが深く関係しているのか、そのメカニズムと対策について、わかりやすく解説します。

糖尿病と歯周病:お互いを蝕む「負の連鎖」とは

医学界では、歯周病は「糖尿病の第6の合併症」と呼ばれています。
糖尿病の三大合併症(網膜症、腎症、神経障害)や、大血管障害(心筋梗塞、脳梗塞)に次いで、非常に発症頻度が高いからです。

糖尿病が「歯周病」を悪化させる理由

糖尿病(高血糖状態)があると、以下のような理由から歯周病にかかりやすく、また進行が非常に速くなります。
・免疫機能の低下
血液中の糖分が多いと、細菌と戦う白血球(特に好中球)の機能が低下します。歯周病菌が侵入してきても十分に戦うことができず、感染が広がりやすくなります。
血流の悪化と組織の修復不全
糖尿病は血管を傷つける病気です。歯茎の毛細血管もダメージを受けるため、酸素や栄養が届きにくくなり、歯周組織の修復能力が落ちます。
口の渇き(唾液の減少)
高血糖による脱水傾向や自律神経の乱れにより、唾液の分泌が減ります。唾液には口の中の汚れを洗い流し、細菌の繁殖を抑える作用があるため、口が乾くと歯周病菌が爆発的に増えやすくなります。
コラーゲンの代謝異常
歯茎を構成するコラーゲン繊維が、高血糖によって変性(糖化)し、もろくなります。これにより歯茎が壊れやすくなります。

歯周病が「糖尿病」を悪化させる理由

ここが近年特に注目されているポイントです。口の中の病気である歯周病が、なぜ全身の血糖値に影響するのでしょうか。
鍵となるのは「炎症」です。

炎症性物質(サイトカイン)の放出

歯周病は、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)で歯周病菌が繁殖し、慢性的な炎症が起きている状態です。この炎症が起きている場所から、「炎症性サイトカイン(TNF-αなど)」という化学物質が放出されます。

インスリンの働きをブロック

この炎症性サイトカインは血管に入り込み、全身を巡ります。そして、血糖値を下げるホルモンである「インスリン」の働きを邪魔してしまいます。
これを医学用語で「インスリン抵抗性」といいます。
 ・正常な状態: インスリンが細胞のドアを開け、血液中の糖分を細胞内に取り込む。
 ・インスリン抵抗性がある状態: サイトカインが邪魔をしてドアが開かず、糖分が血液中にあふれてしまう(=血糖値が下がらない)。
つまり、歯茎の炎症を放置しているだけで、食事制限や薬の治療をしていても血糖値が下がりにくくなる」という事態が起こり得るのです。

歯周病菌の治療効果

「歯周病を治療すれば、本当に糖尿病は良くなるのか?」という疑問に対し、多くの臨床研究が答えを出しています。
日本歯周病学会や日本糖尿病学会のガイドラインにおいても、以下のような見解が示されています。

HbA1cの改善

歯周病の治療(歯石除去や炎症のコントロール)を行うと、血糖コントロールの指標であるHbA1cの値が改善することが多くの研究で報告されています。
個人差はありますが、歯周病治療によってHbA1cが約0.4%〜0.7%程度低下するというデータがあります。これは、糖尿病薬1剤分に匹敵するほどの効果と言われることもあります。

CRP(炎症反応)の低下

歯周病治療を行うことで、全身の炎症レベルを示すCRP値が下がることが確認されています。
これはインスリン抵抗性の改善(インスリンが効きやすい体になること)につながります。

歯周病に対する対策について

この「負の連鎖」を断ち切り、「正の連鎖」に変えるためには、歯科と内科の両面からのアプローチが必須です。

【ステップ1】 歯科医院でのプロフェッショナルケア

糖尿病の方、あるいは血糖値が高めの方は、自覚症状がなくても必ず歯科を受診してください。
問診で伝える
歯科医師に「糖尿病がある」「血糖値が高めである」ことを必ず伝えてください。HbA1cの値やお薬手帳を見せると、より安全で適切な治療計画が立てられます。歯周病の精密検査
歯周ポケットの深さや出血の有無を調べ、現状を把握します。
徹底的な除菌(治療)
歯科衛生士による専門的なクリーニングで、歯石やプラーク(細菌の塊)を除去し、口の中の炎症性物質を減らします。
また、自費治療にはなりますが、ブルーラジカル治療というブルーレーザーを用いて歯周病菌を殺す最新の治療もあります。

【ステップ2】 自宅でのセルフケア(毎日の習慣)

歯科治療を受けても、毎日のケアがおろそかであれば、すぐに細菌は増殖します。
歯間ブラシ・フロスの使用
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは6割程度しか落ちません。歯周病菌が潜むのは「歯と歯の間」や「歯と歯茎の境目」です。歯間ブラシやデンタルフロスを1日1回以上必ず使用してください。
丁寧なブラッシング
力を入れすぎず、毛先を歯と歯茎の境目に当てて、小刻みに動かします。出血があっても、優しく磨き続けることで炎症が収まり、出血は止まってきます(痛みが強い場合は歯科医に相談してください)。
口内保湿
糖尿病の方は口が乾きやすいため、水分補給をこまめに行い、必要であれば口腔保湿剤などを使用します。

【ステップ3】 内科での血糖コントロール

当然ながら、歯科治療だけでは糖尿病は治りません。内科主治医の指導のもと、食事療法・運動療法・薬物療法を継続し、血糖値を安定させることが、歯茎を守ることにもつながります。

まとめ:口の健康は全身の健康のバロメーター

糖尿病と歯周病は、どちらも初期段階では自覚症状が少ない「サイレントキラー(沈黙の病気)」という共通点があります。
「歯がグラグラする」「歯茎から血が出る」といった症状に気づいた頃には、糖尿病も歯周病もかなり進行している可能性があります。

糖尿病の治療をしている方へ

血糖値を下げるために、「歯医者さんに行く」という選択肢を加えてください。口の中をきれいにすることが、内科的な数値の改善を後押しします。

歯周病と診断された方へ

一度、内科で血糖値の検査を受けてみてください。歯周病の背景に、隠れ糖尿病が潜んでいるかもしれません。
口の中の健康は、単に「噛める」ことだけではありません。全身の代謝や免疫に直結する重要な臓器の一部です。
「たかが歯周病」と侮らず、今日から口腔ケアを見直すことが、将来の健康寿命を延ばすための確実な投資となります。

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