2026年1月01日

CPAP(シーパップ)を使用していても、AHI(無呼吸低呼吸指数)が完全に「0」になることは、医学的にも機械の構造的にも極めて稀であり、また「0」である必要もありません。
たとえ健康な人(睡眠時無呼吸症候群ではない人)であっても、睡眠中には多少の呼吸の乱れが生じるため、AHIが0になることはほとんどないのです。
なぜCPAPをつけていても数値が出るのか、その主な理由は以下の4点に分類できます。
中枢性無呼吸(脳からの指令停止)の混在
CPAPは、空気の圧力をかけて「喉(気道)が塞がる」のを防ぐ装置です。これを閉塞性無呼吸といいます。 しかし、無呼吸にはもう一つ、脳からの呼吸指令が一瞬止まってしまう中枢性無呼吸(クリアエアウェイ)というタイプがあります。
CPAPの限界: CPAPは物理的に気道を広げることはできますが、脳の呼吸指令をコントロールすることはできません。
生理的な現象: 誰でも、寝入る瞬間やレム睡眠中には、生理的に呼吸が一瞬止まったり浅くなったりすることがあります(これをSleep Onset Central Apneaなどと呼びます)。機械はこれも「無呼吸・低呼吸」としてカウントしてしまいます。
体動や呼吸リズムの乱れ(誤検知)
CPAPの機械は、気流の変化を非常に敏感に感知しています。実際の無呼吸ではなくても、以下のような動作を「呼吸が止まった・浅くなった」と機械が誤判定(アーチファクト)することがあります。
寝返り: ホースが動いたり、呼吸のリズムが一瞬乱れたりしたとき。
嚥下(飲み込み): 寝ている間に唾を飲み込む際、一瞬呼吸が止まります。
深いため息: 大きく息を吸った後の長い呼気など。
マスクからの空気漏れ(リーク)
マスクと顔の隙間から空気が漏れていると、機械が正確に圧力をかけられなかったり、センサーが呼吸を正しく感知できなくなったりします。
大量のリーク: 圧力が不足して、実際に気道が塞がってしまっている(閉塞性無呼吸が残存している)可能性があります。
口呼吸: 鼻マスクを使用している場合に口が開いてしまうと、空気が口から抜けてしまい、正確なデータが取れません。
そもそも「AHI 5未満」は正常範囲
医学的な基準では、AHIが5未満(1時間に5回未満)であれば「正常(寛解)」とみなされます。 健康な人でも疲れている時やアルコールを摂取した後などは、AHIが2〜3程度になることは珍しくありません。したがって、CPAP使用中のデータが「0.8」や「2.3」といった数値であっても、それは「完全に治療がうまくいっている状態」と言えます。
まとめと確認ポイント
AHIが「0」にならないのは機械の故障でも治療の失敗でもありません。「5以下」に収まっていれば、治療は成功しています。
ただし、もしAHIが「5以上」の日が続くようであれば、以下の点をチェックする必要があります。
マスクのフィッティング: 空気が漏れていませんか?
口呼吸の有無: 起きた時に口が渇いていませんか?
生活習慣: 寝る前の飲酒や、極度の疲労はありませんでしたか?