2026年2月24日

毎晩使っているCPAP(シーパップ)の機種選びは、睡眠の質だけでなく、日々の生活の利便性にも直結するため非常に重要ですね。他社製品からの乗り換えを検討される際の参考になるよう、村田製作所「ムラタ CPAP MX」の特徴と、実際の患者さん目線でのメリット・デメリットを整理して解説します。
ムラタ CPAP MX の主な特徴
「ムラタ CPAP MX」は、電子部品メーカーとして世界トップクラスの技術を持つ村田製作所が、設計から製造までを日本国内で行った純国産のCPAP装置です(2023年発売・グッドデザイン賞受賞)。最大の特徴は、独自の小型化技術と流体制御技術を活かした「携帯性」と「快適な治療」の両立にあります。
着脱式「2WAY SMART UNIT」
装置が「メインユニット(本体)」と「ベースユニット(加湿・静音機能)」に分かれており、レバーひとつで分離可能です。メインユニットのみなら重量約370g、厚さ約3.9cmのスマートフォン並みのサイズとなり、手軽に持ち出せます。

3つのAuto CPAPモード
睡眠中の無呼吸や低呼吸を検知した際の「圧力の上がり方」を、患者さんの状態に合わせて「ソフト・ノーマル・ハード」の3段階から選択可能です。
高い静音性と独自の加温加湿機能
ベースユニットには独自の吸気サイレンサが内蔵されており、寝室での気になる吸気音を大幅に抑制します。また、加湿機能にも工夫が凝らされており、チューブ内での結露(水滴が溜まって鳴る不快な音)を防ぐ設計が施されています。
クラウドでのデータ管理システム
無線通信モデムを内蔵しており、日々の睡眠データや使用状況が自動でクラウド上のシステムに送信されます。
他社CPAPを使用中の患者さんから見た「メリット」
圧倒的な持ち運びのしやすさ(旅行・出張時の負担減)
これまで、外泊のたびに大きくて重いCPAP一式をカバンに詰めていた方にとって、約370gのメインユニットだけを取り外して持っていける点は最大のメリットです。さらに、電源ユニットも他社にくらべてコンパクトです。荷物が劇的に軽くなり、手荷物検査もスムーズになるため、機内やホテルでの使用ハードルが大きく下がります。

コンパクトな電源ユニット
圧力による「息苦しさ・中途覚醒」の軽減
他社のCPAPを使用していて「無呼吸時の急な圧力上昇で目が覚めてしまう」「息を吐き出しにくくて苦しい」と感じている方に非常に有効です。ムラタ独自の非直線的なアルゴリズムと「ソフトモード」の組み合わせにより、圧の上昇がマイルドになり、CPAP特有の風圧の違和感が軽減されます。
通院時のSDカード持参が不要
無線通信でデータが自動転送されるため、毎月の診察時にSDカードを抜き差しして病院へ持っていく手間や、持参忘れの心配がなくなります。医師側も常に最新のデータを確認できるため、より的確な診療に繋がります。
結露音(ゴボゴボ音)の抑制と高い静音性
従来のCPAPで冬場によく起こる、ホース内に水滴が溜まる結露音を軽減する設計になっています。また、ベースユニット装着時(自宅での使用時)は、村田製作所の技術を活かしたサイレンサーにより、同室の家族の睡眠を妨げないレベルの静かさを実現しています。
他社CPAPを使用中の患者さんから見た「デメリット・注意点」
外出時(メインユニットのみ使用時)は加湿・静音機能が低下する
本体を分離して手軽に持ち運べる反面、ベースユニット側に残る「加湿機能」と「吸気サイレンサ」は外出先では使えなくなります。そのため、出張先のホテルなどでは、自宅(一体型)で使用している時よりも作動音が少し気になったり、空調による喉の乾燥を感じやすくなる可能性があります。
取り扱いクリニックがまだ限られている
フィリップスやレスメドといった海外大手メーカーの製品に比べると、ムラタ CPAP MXは比較的新しい機種であるため、全国すべての睡眠外来や耳鼻咽喉科で取り扱っているわけではありません。現在の主治医の提携医療機器メーカーによっては、そのままでは機種変更ができず、最悪の場合、取り扱いのあるクリニックへの転院が必要になるケースがあります。
アルゴリズムの違いによる一時的な違和感
メーカーごとに「無呼吸を検知して圧力を上げるタイミングや強さ」のプログラムは異なります。他社製の直線的に圧が上がるタイプに長年慣れ親しんでいる方の場合、ムラタ製のマイルドな送気アルゴリズムに変更した直後は、かえって「空気の送り込みが足りない」といった違和感を覚える期間が数日〜数週間あるかもしれません。
まとめ
全体として「ムラタ CPAP MX」は、「出張や旅行によく行く方」や「現在のCPAPの圧力変化や作動音が不快で、治療継続にストレスを感じている方にとって、現状の不満を劇的に解消してくれる可能性を秘めた優秀なデバイスです。純国産ならではの細やかな配慮が光る製品と言えます。
当院では、2026年2月より取扱を開始しました。
出張が多いCPAP使用中の方は、お気軽に当院にお問い合わせください。
大阪府吹田市長野東19番6号
千里丘かがやきクリニック
有光潤介