【朝の頭痛の原因】睡眠時無呼吸症候群(SAS)の特徴・メカニズムと治療による改善効果|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

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【朝の頭痛の原因】睡眠時無呼吸症候群(SAS)の特徴・メカニズムと治療による改善効果

【朝の頭痛の原因】睡眠時無呼吸症候群(SAS)の特徴・メカニズムと治療による改善効果|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

2026年6月03日

睡眠時無呼吸症候群と頭痛の深い関係

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。この病気の代表的な症状として、日中の強い眠気や激しいいびきが知られていますが、実は頭痛も非常に深く関係していることが科学的に明らかになっています。朝起きたときに頭が痛い、あるいは午前中に頭痛が続くという場合、その原因が睡眠時無呼吸症候群である可能性が考えられます。

当院のスタッフ家族にも、朝の頭痛発作がきっかけで重症の睡眠時無呼吸症候群が判明した方がおられます。

ここでは、睡眠時無呼吸症候群と頭痛の関係について、その特徴や原因となる仕組み、治療による変化を解説します。

睡眠時無呼吸症候群による頭痛の特徴

睡眠時無呼吸症候群が原因で起こる頭痛は、医学的には「睡眠時無呼吸頭痛」と呼ばれ、国際的な頭痛の診断基準(国際頭痛分類第3版:ICHD-3)にも正式に登録されています。この頭痛には以下のような明確な特徴があります。

発生する時間帯

朝、目が覚めたときにすでに頭痛を感じていることが多いのが最大の特徴です。

痛みの性質

頭の片側だけではなく、両側が締め付けられるように鈍く痛むことが多いとされています。ズキズキとした脈打つような痛みではなく、重い感じや圧迫感が特徴です。

持続時間

起きてからしばらく活動していると、多くの場合は4時間以内に自然と痛みが和らぎ、消失します。

その他の症状

一般的な片頭痛とは異なり、吐き気を伴ったり、光や音が異常に眩しく感じられたりすることは基本的にはありません。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんのうち、およそ10パーセントから30パーセント以上がこのような早朝の頭痛を経験しているという研究データもあります。

なぜ睡眠中に呼吸が止まると頭が痛くなるのか

睡眠中に呼吸が止まることと、頭痛が起きることの間には、体内の酸素や二酸化炭素のバランス、そして脳の血管の動きが関係しています。主な仕組みとして、以下の3つの要素が研究で挙げられています。

酸素不足と二酸化炭素の蓄積

睡眠中に呼吸が何度も止まると、血液中の酸素が不足し(低酸素血症)、逆に吐き出されるべき二酸化炭素が体内に溜まります(高二酸化炭素血症)。二酸化炭素には脳の血管を広げる作用があります。血管が急激に広がることで、その周囲にある神経が刺激され、頭痛が引き起こされます。

脳にかかる圧力の上昇

呼吸が止まった状態から再び息を吸い込もうとするとき、胸の内部の圧力が大きく変化します。これにより脳から心臓へと戻る血液の流れが一時的に滞り、脳全体の圧力(頭蓋内圧)が高まることも頭痛の原因の一つと考えられています。

睡眠の分断

呼吸が止まるたびに、脳は窒息を防ぐために一瞬だけ目を覚まします。本人は気づいていなくても、一晩に何十回も脳が叩き起こされるため、深い睡眠をとることができません。この睡眠の質の著しい低下や、脳の特定の領域の疲労が、痛みに敏感な状態を作るとされています。

片頭痛や他の頭痛への悪影響

睡眠時無呼吸症候群は、それ自体が原因となる頭痛を引き起こすだけでなく、もともと片頭痛などの持病を持っている人の症状をさらに悪化させる可能性があることも分かっています。

日本の研究でも、早朝に頭痛が起こる片頭痛患者さんを詳しく調べたところ、高い割合で睡眠時無呼吸症候群を合併していたという報告があります。睡眠の質が悪化することによって片頭痛の発作が起きやすくなったり、痛みが強くなったりする悪循環に陥ることがあります。そのため、持病の頭痛がなかなか治らない原因が、実は睡眠時の無呼吸にあったというケースも少なくありません。

治療による頭痛の改善効果

睡眠時無呼吸症候群による頭痛の最も重要な特徴は、「無呼吸の治療を行うことで、頭痛も一緒に解消または大きく軽減する」という点です。

代表的な治療法として、睡眠中に鼻にマスクを装着し、持続的に空気を送り込んで気道を広げる「CPAP(持続陽圧呼吸療法)」があります。科学的な研究において、睡眠時無呼吸症候群の患者さんがCPAP治療を適切に行うと、睡眠中の酸素不足が解消され、朝の頭痛の強さや発生頻度が有意に改善することが確認されています。治療を開始してから数日以内に頭痛が消失することも珍しくありません。

まとめ

「朝起きたときにいつも頭が重い」「午前中に頭痛がするけれど午後には治る」といった症状がある場合、それは単なる疲れや寝不足ではなく、睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれません。睡眠中の無呼吸は、頭痛だけでなく、高血圧や心臓病などの重大な病気のリスクも高めます。

科学的なデータに基づいても、適切な治療を行うことで朝の頭痛ははっきりと改善することが分かっています。心当たりがある場合は、早めに睡眠医療や頭痛の専門医を受診し、検査を受けることが大切です。

参考文献

1.Improvement of morning headache in adults with obstructive sleep apnea after positive airway pressure therapy, Min Young Seo, Min Kyu Lee, Mun Soo Han, Jun Yoo & Seung Hoon Lee. Scientific Reports . 2023 Sep 5;13(1):14620. DOI: 10.1038/s41598-023-34896-0
要約: 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)患者における早朝頭痛の頻度や特徴、および陽圧呼吸療法(PAP)による改善効果を検証した研究。対象者の53.4%に早朝頭痛が認められたが、PAP治療によって頭痛の強さや頻度が有意に改善することを示し、睡眠時無呼吸と頭痛の因果関係を科学的に裏付けた。

2.早朝頭痛を認めた片頭痛患者における閉塞性睡眠時無呼吸症候群の検討, 関口 耕史, 渡邊 成美, 渡辺 理沙, 臼田 頌, 山澤 稚子, 柴田 護, 福永 興壱, 中原 仁, 滝沢 翼. 日本頭痛学会誌 . 2022 年 48 巻 3 号 p. 566-570. DOI: 10.50860/jjho.48.3_566
要約: 早朝頭痛を伴う片頭痛患者における閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の合併率を調査した日本の原著論文。対象となった患者の多くにOSASの合併が確認され、無呼吸の重症度と早朝頭痛の発生割合に正の相関傾向が見られたことから、OSASが片頭痛を悪化させる要因である可能性を示した。

3.Polysomnographic and clinical characteristics of sleep apnea headache patients, Sunbul Karacı, Füsun Mayda Domaç, et al. Sleep and Breathing . 2024 Dec;28(6):2591-2596. DOI: 10.1007/s11325-024-03117-x
要約: 睡眠時無呼吸頭痛(SAH)患者の睡眠ポリグラフ検査および臨床的特徴を分析した研究。SAHを持つ患者は、頭痛を持たない無呼吸患者と比較して、日中の眠気スコアが高く、睡眠の質が著しく低下していることが判明した。頭痛の発生には夜間の睡眠障害や脳の感覚調整の乱れが関連していることを示唆している。

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