2026年9月30日

【警告】遅延型アレルギー(IgG)検査を信じてはいけない?不必要な食事制限が引き起こす深刻な健康リスク
Food-specific IgG Test
食べ物のIgG抗体検査で「陽性」でも、アレルギーの証拠にはなりません
執筆:千里丘かがやきクリニック 院長 有光 潤介(日本アレルギー学会専門医)
公開日:2026年5月3日/更新日:2026年9月30日
「少量の血液で、数十〜百種類以上の食べ物について『遅延型フードアレルギー』がわかる」。インターネットや一部の医療機関で、こうした検査の案内を目にすることがあります。
頭痛やだるさ、肌荒れ、おなかの不調など、原因のはっきりしない不調が続くと、「食べ物のせいかもしれない」と手がかりを求めたくなるものです。実際に、この検査の結果をもとに、いくつもの食品を食事から外している方もいらっしゃいます。
結論からお伝えします。この検査で測っているのは、食べ物に対するIgG(またはIgG4)という抗体です。IgG抗体は、その食品を食べている健康な人にもふつうにできる抗体です。日本小児アレルギー学会と日本アレルギー学会は、この検査を食物アレルギーの原因食品を調べる方法としては推奨しないと公式に表明しており、欧米の学会も同じ立場をとっています[1][2]。
この記事では、なぜIgG検査で食物アレルギーがわからないのか、結果をもとに食事を制限するとどんな危険があるのか、そしてすでに検査を受けた方はどうすればよいのかを、順にご説明します。
Point
この記事のポイント
- 食べ物に対するIgG抗体は、その食品を食べていれば健康な人にもできます。値が高いのは「よく食べている」ことの表れで、アレルギーや不調の原因を示すものではありません
- 日本小児アレルギー学会と日本アレルギー学会をはじめ、欧州・米国・カナダの学会が、この検査を食物アレルギーの診断に使わないよう求めています
- 結果をもとに多くの食品を除くと、栄養の偏り、本当の病気の見逃し、食べられていた食品への新たなアレルギー、本物のアレルギーの見落としといった危険があります
- 食べて数時間たってから症状が出るアレルギーも実在しますが、問診やIgE抗体の検査などで調べるもので、IgG検査では診断できません
- すでにIgG検査を受けて食品を避けている方は、結果を持って医師にご相談ください。長く避けてきた食品を再開するときは、確認が必要な場合があります
「遅延型フードアレルギー検査」とは
この検査は、血液中にある、食べ物ごとのIgG抗体(またはIgG4抗体)の量を調べるものです。数十〜百種類以上の食品について、結果が数段階のレベルで示されるのが一般的です。医療機関で受けるもののほか、指先から少量の血液をとって郵送する検査キットもインターネットなどで販売されています。
宣伝では、「食べてから数時間〜数日たって現れる不調の原因がわかる」とうたわれることが多く、頭痛、慢性的な疲れ、肌荒れ、腹痛や下痢、体重の増加などが例に挙げられます。「陽性の食品をしばらくやめると体調がよくなる」と説明されることもあります。
日本では保険診療の対象ではなく、自費で受ける検査です。そして何より、ここで測っているIgG抗体は、いわゆる食物アレルギーを起こす抗体とは別のものです。次の章で、そのちがいをみていきましょう。
IgE抗体とIgG抗体は、役割がまったくちがう
抗体は、体に入ってきたものに目印をつけるために、免疫がつくるたんぱく質です。食べ物との関係でよく話題になるのが、IgEとIgGの2種類です。
いわゆる食物アレルギー(即時型)を起こすのは、IgE抗体です。特定の食べ物に対するIgE抗体をもつ人がその食品を食べると、多くは2時間以内に、じんましん、せき、息苦しさ、嘔吐などが起こり、重いときは命にかかわるアナフィラキシーになります。
一方のIgG抗体は、日々食べているものに対して、健康な人の体でもふつうにつくられる抗体です。日本アレルギー学会は、食べ物に対するIgG抗体について、食物アレルギーのない健康な人にも存在すること、食物アレルギーを確かめる負荷試験の結果と一致しないこと、値は食べている量に比例しているにすぎないことを挙げています[2]。卵や牛乳、小麦など、ふだんよく口にする食品ほど高く出やすいのはこのためです。IgG検査の結果は、いわば「最近よく食べてきたものの記録」なのです。
| 比べる点 | IgE抗体 | IgG抗体(IgG4を含む) |
|---|---|---|
| 主な働き | アレルギー反応の引き金になる | 食べ物などに対する、ふだんの免疫反応 |
| 陽性になる人 | その食品に感作された人。ただし陽性でも、食べて症状が出ない人は多い | その食品をよく食べている人。健康な人でもふつうに陽性になる |
| 値が示すもの | 症状が出る可能性の目安(値が高いほど出やすい傾向) | その食品をどれくらい食べているか |
| 診断での扱い | 問診とあわせて、原因を見きわめる手がかりにする | 国内外の学会が、診断に使わないよう求めている |
日本アレルギー学会の学会見解[2]と、食物アレルギー診療ガイドライン2021[3]をもとに作成。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
IgG4は、むしろアレルギーを抑える側に働く
IgG抗体のうち、IgG4という種類は、アレルギー反応を抑える働きをもつことがわかっています。欧州アレルギー臨床免疫学会の報告は、食べ物に対するIgG4を、食べ物に触れたあとに起こる生理的な免疫反応であり、むしろ耐性(その食べ物を受け入れている状態)の目印と考えるべきだとしています[4]。
カナダアレルギー臨床免疫学会も、経口免疫療法(原因となる食品を医師の管理のもとで少しずつ食べて慣らしていく治療)の研究などをもとに、食べ物に対するIgGは、その食品に触れていることと、耐性の目印だとしています[5]。
ピーナッツに対するIgE抗体をもちながら、食べても症状が出ない子どもたちを調べた研究では、IgG4抗体が、IgEによるマスト細胞や好塩基球(アレルギー反応を起こす細胞)の活性化を抑えていることが確かめられました[6]。「IgGの値が高い=アレルギー」という考え方は、こうした免疫のしくみとは逆向きなのです。
国内外の学会は、そろって診断に使わないよう求めている
日本では、日本小児アレルギー学会の食物アレルギー委員会が2014年11月に注意喚起を出し、食べ物に対するIgG抗体検査を、食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しないと表明しました[1]。翌2015年2月には、日本アレルギー学会もこの注意喚起を支持する学会見解を発表しています[2]。
英文で公表された日本の食物アレルギー診療ガイドライン(2020年)も、IgG4抗体は症状のない人や健康な人にも検出されるため食物アレルギーの診断には使えず、偽陽性によって原因ではない食品まで除去すると、多品目では健康被害につながりうると明記しています[7]。
海外の主な学会や専門家パネルの見解を、発表された順にまとめます。
| 発表年 | 学会・文書 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 2008年 | 欧州アレルギー臨床免疫学会(EAACI)のタスクフォース報告 | 食べ物に対するIgG4は、食べ物に触れたあとの正常な反応で、耐性の目印。食物アレルギーや不耐症の検査として行うべきではない[4] |
| 2010年 | 米国アレルギー喘息免疫学会(AAAAI) | EAACIの見解を支持。抗体があるだけでは病気を意味せず、問題なく食べている食品は、検査が陽性でも除去すべきではない[8] |
| 2010年 | 米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)主導の診療ガイドライン | 食物特異的IgG4を含む、標準化されていない検査を、食物アレルギーの日常の診断に使わないよう勧告[9] |
| 2012年 | カナダアレルギー臨床免疫学会(CSACI) | 食べ物に対するIgGは曝露と耐性の目印で、健康な人でも陽性になる。食べ物への反応を見つけたり予測したりする目的で、この検査を行わないよう強く求めた[5] |
| 2014年 | 米国の食物アレルギー診療指針(AAAAI・ACAAI) | IgEを介さないタイプの食物アレルギーの診断にも、食物特異的IgG・IgG4の測定は勧められない[10] |
| 2023年 | EAACIの食物アレルギー診断ガイドライン | IgE型の食物アレルギーが疑われる人に、IgGやIgGサブクラスの検査を単独で用いないよう推奨[11] |
各文書をもとに作成。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
これらは一部の医師の個人的な意見ではありません。各国の学会が、それぞれ研究を検討したうえで示した共通の結論です。
「遅れて出る食物アレルギー」は本当にあるのか
「遅延型」という言葉から、IgG検査は「遅れて出るアレルギー」を調べる検査のように聞こえます。実際に、食べてから時間がたって症状が出る食物アレルギーは存在します。ただし、その正体はIgG抗体ではありません。
| タイプ | 症状が出るまで | 主なしくみ | 調べ方 |
|---|---|---|---|
| 即時型 | 多くは2時間以内 | IgE抗体 | 問診、IgE抗体検査、必要に応じて食物経口負荷試験 |
| 運動誘発型 | 食べたあとに運動したとき | IgE抗体 | 問診(食事と運動の関係)、IgE抗体検査 |
| α-gal症候群 | 獣肉を食べて3〜6時間後 | α-galという糖に対するIgE抗体 | 問診、牛肉・豚肉などに対するIgE抗体検査 |
| FPIES | 食べて1〜4時間後の嘔吐 | IgE抗体を介さない反応 | 問診、必要に応じて食物経口負荷試験 |
食物アレルギー診療ガイドラインと、以下で紹介する論文をもとに作成。症状が出るまでの時間は目安です。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
獣肉を食べて数時間後に起こるアレルギー(α-gal症候群)
牛肉や豚肉などの獣肉を食べて3〜6時間たってから、じんましんやアナフィラキシーを起こすタイプがあります。原因は、獣肉に含まれるα-gal(アルファガル)という糖に対するIgE抗体です。最初にまとまって報告された24人では、牛肉や豚肉、牛乳などに対するIgE抗体の検査も陽性でした[12]。マダニに刺されることが感作のきっかけになると考えられており、日本を含む世界各地から報告されています[13]。
食べたあとの運動で起こるアレルギー(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)
特定の食べ物を食べただけでは何も起こらないのに、そのあとに運動をしたときにだけ、じんましんや息苦しさ、アナフィラキシーが起こるタイプです。日本のガイドラインでは、IgE抗体が関わる即時型食物アレルギーの特殊な型に位置づけられています[7]。原因としては小麦やエビなどが知られており、食事と症状が結びつきにくいのが特徴です。
IgE抗体を介さない食物アレルギー(FPIESなど)
食物蛋白誘発胃腸炎(FPIES)は、IgE抗体を介さずに起こる食物アレルギーです。原因となる食品を食べて1〜4時間後に、くり返す嘔吐が起こるのが特徴で、重いとショックに至ることもあります[14]。主に乳幼児にみられる病気で、詳しい問診と、必要に応じた負荷試験で診断します。米国の診療指針は、こうしたIgEを介さないタイプの診断にも、IgGやIgG4の測定は勧められないとしています[10]。
このように、時間がたってから症状が出るアレルギーは、それぞれ別の方法で調べます。「遅れて出る不調」の原因を、IgG検査で見つけることはできません。
「IgG検査をもとにした食事で症状が良くなった」という研究について
一方で、IgG検査の結果をもとにした食事制限で、症状が軽くなったと報告した研究もあります。主に、腹痛や便通の異常が続く過敏性腸症候群(IBS)での研究です。ここは公平にご紹介します。
2004年に英国で行われた研究では、IBSの患者さんを、IgG抗体が陽性だった食品を除く食事と、同じ数の別の食品を除く偽の食事に分けて比べました[15]。
研究の種類ランダム化比較試験/対象 英国の過敏性腸症候群の外来患者150人
12週間後の症状スコアの改善は、IgG陽性の食品を除いた群のほうが10%大きく、食事の指示を完全に守れた人に限ると26%大きくなりました。著者らは、効果がある可能性があり、さらに研究する価値があると結論しています[15]。
2025年には、米国の8施設で、IBS向けに開発された18品目のIgG検査を使った試験の結果が報告されました[16]。
研究の種類多施設共同ランダム化比較試験(二重盲検)/対象 米国8施設の過敏性腸症候群の患者238人(解析は223人)
8週間の食事療法の最後の4週のうち2週以上で、腹痛の強さが3割以上軽くなった人は、IgG陽性の食品を除いた群で59.6%、偽の食事の群で42.1%でした。便秘型と混合型のIBSで、差が大きく出ています[16]。
ただし、これらの結果には注意して読むべき点があります。偽の食事の群でも約4割の人が改善しており、便秘型や混合型だけを取り出した分析は、とくに慎重に解釈する必要があります。2025年の試験には、除去食を守れた割合が偽の食事より低かったこと、途中でやめた人がいたこと、IgG抗体がどのようにおなかの症状を起こすのかがまだわかっていないことといった限界も指摘されています[17]。
また、この試験で使われたのは、IBSの患者さん向けに作られた18品目の検査です。一般に売られている数十〜百種類以上の「遅延型フードアレルギー検査」とは別のもので、この結果は「IgG陽性の食品にアレルギーがある」ことを示すものでもありません。
米国消化器病学会のIBS診療ガイドラインは、食物アレルギーを疑わせる再現性のある症状がない限り、IBSの患者さん全員に食物アレルギーや食物過敏の検査をすることは勧めていません。そのうえで、食事療法としては、低FODMAP食(おなかで発酵しやすい糖質を控える食事)を期間を区切って試すことを勧めています[18]。おなかの症状で食事を見直したい方は、過敏性腸症候群のページもご覧ください。
IgG検査の結果で食事を制限する4つの危険
栄養が偏り、子どもでは成長にも影響する
IgG検査では、ふだんよく食べている食品ほど陽性と出やすいため、卵、牛乳、小麦、大豆など、毎日の食事の柱になる食品がずらりと並ぶことがあります。これらを一度に食事から除くと、たんぱく質やカルシウム、ビタミンなどが不足しやすくなります。
日本アレルギー学会も、陽性の食品を除去すると原因ではない食品まで除くことになり、多品目に及べば健康被害を招くおそれがあると警告しています[2]。成長期の子どもでは、乳製品や小麦、卵などを除く食事が、成長の遅れや栄養不良につながるおそれも指摘されています[5]。
本当の病気の発見が遅れる
頭痛やだるさ、長引く腹痛の背景には、片頭痛、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、甲状腺の病気、貧血、睡眠時無呼吸症候群など、食べ物とは別の原因が隠れていることがあります。米国のガイドラインは、根拠のない検査による誤った診断が、不必要な食事制限や、本来必要な検査の遅れを招くと指摘しています[9]。
体重が減ってきた、便に血が混じる、夜中に目が覚めるほどおなかが痛む、といった症状がある場合は、食事の工夫で様子をみるのではなく、早めに受診してください。だるさが続いている方は、全身倦怠感のページもあわせてご覧ください。
食べられていた食品に、新たなアレルギーが起こることがある
体は、食べ物を日常的に口から取り入れることで、「これは安全なもの」という状態(耐性)を保っていると考えられています。そのため、問題なく食べていた食品を長いあいだ避けると、かえって反応が起こりやすくなる場合があります。
食べ物が悪化に関わるアトピー性皮膚炎の子どもを調べた、米国の研究があります[19]。
研究の種類後ろ向き研究(診療記録の調査)/対象 食物が関わるアトピー性皮膚炎が疑われて受診した子ども298人
それまで即時型の症状が出たことのなかった子どものうち19%が、除去食を始めたあと、避けていた食品を口にしたときに、新たに即時型の症状を起こしました。そのうち30%はアナフィラキシーで、原因は牛乳と卵が多くみられました[19]。
これは子どもの研究で、大人にそのまま当てはまるとは限りません。それでも、「念のため」の除去が、けっして安全な選択とはいえないことを示しています。アトピー性皮膚炎がある方は、アトピー性皮膚炎のページもご覧ください。
本物のアレルギーを見落とすことがある
逆向きの危険もあります。カナダアレルギー臨床免疫学会は、アナフィラキシーを起こしうるIgE型の食物アレルギーがある人でも、その食品に対するIgG抗体は高くないことがあり、誤って再び食べるよう勧められるおそれがあると警告しています[5]。欧州のガイドラインも、根拠のない検査が、不要な食事制限や費用の負担、生活の質の低下に加えて、原因食品を口にしてしまう危険につながると指摘しています[11]。
以前に食べてじんましんや息苦しさが出た食品を、IgG検査の結果だけを頼りに食べ直すのは危険です。
食物アレルギーは、どうやって診断するのか
出発点は、詳しい問診
診断の基本は、「何を、どれだけ、どんな状況で食べて、どのくらいの時間でどんな症状が出たか」を詳しくうかがうことです。日本のガイドラインも、食べたものと症状の関係を問診で明らかにすることが診断につながるとしています[3]。食後の運動や痛み止めの服用、飲酒が重なっていなかったかも、大切な手がかりです。
血液検査は、疑わしい食品にしぼって行う
そのうえで、疑わしい食品について、特異的IgE抗体の血液検査や皮膚テストを行います。ただし、IgE抗体が陽性でも、実際に食べて症状が出るとは限りません。ガイドラインは、抗体があること(感作)を証明しただけで安易に除去を指導しないよう求めています。また、食品のなかの原因たんぱく質ごとに調べるアレルゲンコンポーネント検査で、診断の精度を上げられるとしています[3]。
米国アレルギー喘息免疫学会も、問診にもとづかずに多くの項目をまとめて調べると、問題なく食べている食品が陽性になって混乱を招くことがあると指摘しています。そして、よく食べられている食品は、検査が陽性でも除去すべきでないとしています[8]。
最終的な確認は、食物経口負荷試験
それでも判断がつかないときは、医師の管理のもとで、疑わしい食品を少しずつ食べて症状が出るかを確かめる食物経口負荷試験を行います。欧州のガイドラインは、この負荷試験を食物アレルギー診断の基準としています[11]。
除去は、必要最小限に
食物アレルギーと診断された場合も、管理の原則は、正しい診断にもとづく必要最小限の除去です。食事全体を見て、必要に応じて管理栄養士が栄養の状態を確認し、食べられる範囲で食べていくことが勧められています[20]。詳しくは食物アレルギーのページをご覧ください。
すでにIgG検査を受けた方へ
検査を受けたこと自体を気に病む必要はありません。大切なのは、結果をどう扱うかです。
これまで症状なく食べていた食品は、IgG検査の結果だけを理由に避ける必要はありません。一方で、すでに長いあいだ避けている食品を再開するときは、状況によって確認が必要になります。とくに、アトピー性皮膚炎やほかのアレルギーがある方、以前にその食品で症状が出たことがある方は、再開の前にご相談ください。
- IgG検査の結果をもとに、いくつもの食品を避けている
- 食事を制限してから、体重が減った、疲れやすくなった
- 避けている食品を食べたときに、じんましんや口のかゆみ、息苦しさが出たことがある
- アトピー性皮膚炎やほかのアレルギーがあり、長く避けてきた食品を再開したい
- 食品を除いても、もともとの症状がよくならない
ひとつでも当てはまる方は、検査結果をお持ちのうえでご相談ください。お子さまの場合は、自己判断で除去を続けたり急に再開したりせず、小児科や、お子さまの負荷試験に対応した専門の医療機関にご相談ください。
食べたあとに、全身のじんましん、息苦しさやゼーゼーする呼吸、くり返す嘔吐、ぐったりする・意識がぼんやりするといった症状が出たときは、アナフィラキシーの可能性があります。ためらわずに救急車(119番)を呼んでください。アナフィラキシーのページもあわせてご覧ください。
よくあるご質問
IgG検査で「強い陽性」だった食品は、食べないほうがいいですか?
これまで症状なく食べていたのであれば、結果だけを理由に避ける必要はありません。値が高いのは、多くの場合、その食品をよく食べていることの表れです。ただし、以前にその食品で症状が出たことがある場合は、別の問題として一度ご相談ください。
IgG4が「耐性の目印」なら、測る意味はあるのですか?
経口免疫療法の研究などで、治療による免疫の変化を調べる目的で測られることはあります。しかし、日常の診療で食物アレルギーがあるかどうかや、その原因を判断するために使う検査ではありません。
IgG4関連疾患の検査と同じものですか?
別のものです。IgG4関連疾患の診断では、血液中のIgG4全体の量を測ります。特定の食べ物に対するIgG4抗体を調べる検査とは、目的も意味もまったく異なります。詳しくはIgG4関連疾患のページをご覧ください。
保険で受けられるアレルギーの血液検査はありますか?
食物アレルギーの原因を調べる特異的IgE抗体検査は、保険診療で受けられます。症状に合わせて医師が項目を選びます。ただし、IgE抗体検査も「陽性=食べられない」ではないため、結果は問診とあわせて判断します。
検査は受けていませんが、食後の不調が続きます。何を調べればよいですか?
食後の腹痛や下痢、胃もたれは、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシア、乳糖不耐症など、アレルギー以外の原因で起こることも少なくありません。症状が出た状況をメモしてお持ちいただければ、アレルギーと消化器の両面から、必要な検査を一緒に考えます。
当院でのサポート
当院では、日本アレルギー学会専門医が、症状が出たときの状況を詳しくうかがったうえで、必要な項目にしぼって特異的IgE抗体検査やアレルゲンコンポーネント検査を行います。ほかの医療機関や検査キットで受けたIgG検査の結果も、お持ちいただければ一緒に確認し、避ける必要がある食品と、これまでどおり食べてよい食品を整理します。
おなかの症状が中心の方は、消化器内科として、胃カメラや大腸カメラを含めて原因を調べます。食事の見直しや、除去によって栄養が偏っていないかの確認は、管理栄養士4名の体制でお手伝いします(栄養指導)。皮膚テストや食物経口負荷試験が必要と判断した場合は、実施できる医療機関をご紹介します。
この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の診断や治療については、医師にご相談ください。
参考文献
- 血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起著者:日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会媒体:日本小児アレルギー学会ウェブサイト(PDF)発行日:2014年11月19日/閲覧日:2026年9月30日URL:https://www.jspaci.jp/uploads/2021/05/kenkai_IgG4.pdf要約:日本小児アレルギー学会の公式見解。食べ物に対するIgG抗体は食物アレルギーのない健康な人にもある抗体で、陽性を根拠に除去を指導すると原因でない食品まで除き、多品目では健康被害のおそれがあるとして、原因食品の診断法としては推奨しないとした。
- 〔学会見解〕血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起著者:日本アレルギー学会(理事長 斎藤博久)媒体:日本アレルギー学会ウェブサイト発行日:2015年2月25日/閲覧日:2026年9月30日URL:https://www.jsaweb.jp/modules/important/index.php?content_id=51要約:日本小児アレルギー学会の注意喚起を支持した学会見解。IgG抗体は健康な人にもあり、負荷試験の結果と一致せず、値は食べ物の摂取量に比例するだけだと理由を示し、食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しないとした。
- 食物アレルギー診療ガイドライン2021 ダイジェスト版 第8章 診断と検査(総論)著者:日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会媒体:日本小児アレルギー学会ウェブサイト閲覧日:2026年9月30日URL:https://www.jspaci.jp/guide2021/jgfa2021_8.html要約:日本の食物アレルギー診療ガイドラインの要約版。診断は摂取と症状の関係を詳しい問診で明らかにすることから始まり、IgE抗体検査などで感作を証明しただけで安易に除去を指導しないよう求めた。コンポーネント検査で診断精度が上がるとした。
- Testing for IgG4 against foods is not recommended as a diagnostic tool: EAACI Task Force Report著者:Stapel SO, Asero R, Ballmer-Weber BK, ほか(EAACIタスクフォース)雑誌:Allergy. 2008;63(7):793-796発行日:2008年7月DOI:10.1111/j.1398-9995.2008.01705.x要約:欧州アレルギー臨床免疫学会のタスクフォース報告。食べ物に対するIgG4は、食べ物に触れたあとの生理的な免疫反応で、むしろ耐性の目印と考えるべきだとし、食物アレルギーや不耐症の検査として行うべきではないとした。
- CSACI Position statement on the testing of food-specific IgG著者:Carr S, Chan E, Lavine E, Moote W雑誌:Allergy Asthma Clin Immunol. 2012;8:12発行日:2012年7月26日DOI:10.1186/1710-1492-8-12要約:カナダアレルギー臨床免疫学会の声明。食物特異的IgGは曝露と耐性の目印で、健康な人でも陽性になるとした。不必要な食事制限や子どもの成長障害のおそれに加え、IgE型の重いアレルギーを見落として再摂取を勧めてしまう危険も指摘した。
- IgG4 inhibits peanut-induced basophil and mast cell activation in peanut-tolerant children sensitized to peanut major allergens著者:Santos AF, James LK, Bahnson HT, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2015;135(5):1249-1256発行日:2015年5月DOI:10.1016/j.jaci.2015.01.012要約:ピーナッツに対するIgE抗体をもちながら、食べても症状が出ない子どもを調べた研究。IgG4抗体が、IgEによる好塩基球やマスト細胞の活性化を抑えていることを示し、IgG4がアレルギー反応を抑える側に働くことを裏づけた。
- Japanese guidelines for food allergy 2020著者:Ebisawa M, Ito K, Fujisawa T, ほか(日本小児アレルギー学会・日本アレルギー学会)雑誌:Allergol Int. 2020;69(3):370-386発行日:2020年7月DOI:10.1016/j.alit.2020.03.004要約:日本の食物アレルギー診療ガイドラインの英語版。IgG4抗体は症状のない人や健康な人にも検出されるため診断に使えず、偽陽性で原因でない食品まで除去すると多品目では健康被害につながりうると明記した。運動誘発型は即時型の特殊型に分類した。
- AAAAI support of the EAACI Position Paper on IgG4著者:Bock SA雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2010;125(6):1410発行日:2010年6月DOI:10.1016/j.jaci.2010.03.013要約:米国アレルギー喘息免疫学会がEAACIの見解を支持した声明。十分な問診や負荷試験なしに血液の抗体検査で食物アレルギーは診断できず、抗体があるだけでは病気を意味しないとした。問題なく食べている食品は、陽性でも除去すべきでないと強調した。
- Guidelines for the diagnosis and management of food allergy in the United States: report of the NIAID-sponsored expert panel著者:Boyce JA, Assa’ad A, Burks AW, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2010;126(6 Suppl):S1-S58発行日:2010年12月DOI:10.1016/j.jaci.2010.10.007要約:米国国立アレルギー感染症研究所が主導した診療ガイドライン。食物特異的IgG4を含む標準化されていない検査を、食物アレルギーの日常の診断に使わないよう勧告し、誤った診断が不必要な食事制限や適切な検査の遅れを招くとした。
- Food allergy: a practice parameter update—2014著者:Sampson HA, Aceves S, Bock SA, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2014;134(5):1016-1025.e43発行日:2014年11月DOI:10.1016/j.jaci.2014.05.013要約:米国のアレルギー関連学会(AAAAI・ACAAI)の合同委員会による食物アレルギー診療指針。根拠の証明されていない検査を勧めず、IgEを介さない食物アレルギーの診断にも、食物特異的IgG・IgG4の測定は推奨しないとした。
- EAACI guidelines on the diagnosis of IgE-mediated food allergy著者:Santos AF, Riggioni C, Agache I, ほか雑誌:Allergy. 2023;78(12):3057-3076発行日:2023年12月(オンライン公開は2023年10月10日)DOI:10.1111/all.15902要約:欧州アレルギー臨床免疫学会によるIgE型食物アレルギーの診断ガイドライン。診断は問診から始め、IgE抗体検査や皮膚テストで裏づけ、食物経口負荷試験を基準とした。IgGやIgGサブクラスの検査を単独で使わないよう推奨した。
- Delayed anaphylaxis, angioedema, or urticaria after consumption of red meat in patients with IgE antibodies specific for galactose-alpha-1,3-galactose著者:Commins SP, Satinover SM, Hosen J, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2009;123(2):426-433発行日:2009年2月DOI:10.1016/j.jaci.2008.10.052要約:牛肉・豚肉などの獣肉を食べて3〜6時間後にアナフィラキシーやじんましんを起こした24人を報告した研究。症状は、糖鎖α-galに対するIgE抗体で説明された。牛肉や豚肉、牛乳などに対するIgE抗体の検査も陽性だった。
- Tick-induced allergies: mammalian meat allergy and tick anaphylaxis著者:van Nunen SA雑誌:Med J Aust. 2018;208(7):316-321発行日:2018年4月16日DOI:10.5694/mja17.00591要約:マダニが関わるアレルギーの総説。マダニに刺されたあとに獣肉アレルギーを発症する例は、マダニに刺される地域があるすべての大陸から報告され、日本も含まれる。症状は獣肉を食べて3〜6時間後に出ることが多く、IgEを介する反応だとした。
- International consensus guidelines for the diagnosis and management of food protein-induced enterocolitis syndrome: Executive summary著者:Nowak-Węgrzyn A, Chehade M, Groetch ME, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2017;139(4):1111-1126.e4発行日:2017年4月DOI:10.1016/j.jaci.2016.12.966要約:FPIESに関する初の国際的な診療指針。FPIESはIgEを介さない細胞性の食物アレルギーで、重症ではショックに至ることもあるとした。原因食品を食べて1〜4時間後の嘔吐と、じんましんなどIgE型の症状がないことを診断の主な基準とした。
- Food elimination based on IgG antibodies in irritable bowel syndrome: a randomised controlled trial著者:Atkinson W, Sheldon TA, Shaath N, Whorwell PJ雑誌:Gut. 2004;53(10):1459-1464発行日:2004年10月DOI:10.1136/gut.2003.037697要約:過敏性腸症候群の外来患者150人を、IgG陽性の食品を除く食事と、同じ数の別の食品を除く偽の食事に分けた試験。12週後の症状スコアの改善は前者が10%大きく、完全に守った人では26%大きかった。著者はさらなる研究が必要とした。
- A Novel, IBS-Specific IgG ELISA-Based Elimination Diet in Irritable Bowel Syndrome: A Randomized, Sham-Controlled Trial著者:Singh P, Chey WD, Takakura W, ほか雑誌:Gastroenterology. 2025;168(6):1128-1136.e4発行日:2025年6月(オンライン公開は2025年1月31日)DOI:10.1053/j.gastro.2025.01.223要約:米国8施設の過敏性腸症候群の患者238人を対象にした試験。IBS用に開発された18品目のIgG検査で陽性の食品を8週間除いた群では、腹痛の改善目標を満たした人が59.6%で、偽の食事の42.1%より多かった。便秘型と混合型で差が大きかった。
- Is there a place for an IgG antibody-based elimination diet in irritable bowel syndrome?著者:Tulewicz-Marti E媒体:世界消化器病学会(WGO)ウェブサイト「News You Can Use」閲覧日:2026年9月30日URL:https://worldgastroenterology.org/publications/news-you-can-use/is-there-a-place-for-an-igg-antibody-based-elimination-diet-in-irritable-bowel-syndrome要約:Singhらの試験に対する専門家の論評。この分野で最大規模の研究と評価しつつ、偽の食事でも約4割が改善した点、除去食を守れた割合が偽の食事より低かった点、脱落者がいた点を限界に挙げ、IgGが症状を起こす仕組みの解明が必要だとした。
- ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome著者:Lacy BE, Pimentel M, Brenner DM, ほか雑誌:Am J Gastroenterol. 2021;116(1):17-44発行日:2021年1月DOI:10.14309/ajg.0000000000001036要約:米国消化器病学会による過敏性腸症候群の診療ガイドライン。食物アレルギーを疑わせる再現性のある症状がない限り、すべての患者に食物アレルギーや食物過敏の検査を行うことは勧めないとし、低FODMAP食を期間を区切って試すことを推奨した。
- Natural History of Food-Triggered Atopic Dermatitis and Development of Immediate Reactions in Children著者:Chang A, Robison R, Cai M, Singh AM雑誌:J Allergy Clin Immunol Pract. 2016;4(2):229-236.e1発行日:2016年3月(オンライン公開は2015年11月17日)DOI:10.1016/j.jaip.2015.08.006要約:食物が関わるアトピー性皮膚炎で受診した子ども298人の診療記録を調べた研究。即時型反応の既往がなかった子どもの19%が除去食の開始後に新たな即時型反応を起こし、その30%がアナフィラキシーだった。牛乳と卵が多かった。
- 食物アレルギー診療ガイドライン2021 ダイジェスト版 第10章 食物アレルギー患者の管理著者:日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会媒体:日本小児アレルギー学会ウェブサイト閲覧日:2026年9月30日URL:https://www.jspaci.jp/guide2021/jgfa2021_10.html要約:食物アレルギー管理の原則を、正しい診断にもとづく必要最小限の原因食物の除去と定めた。食事全体を評価し、必要に応じて管理栄養士による栄養評価と栄養食事指導を行い、負荷試験などで食べられる範囲を確かめて摂取を指導するよう求めた。
大阪府吹田市長野東19番6号
千里丘かがやきクリニック
院長 有光潤介(日本アレルギー学会専門医)