食物アレルギーIgG検査で食事を制限しないで!世界のアレルギー学会が警鐘を鳴らす理由|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

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食物アレルギーIgG検査で食事を制限しないで!世界のアレルギー学会が警鐘を鳴らす理由

食物アレルギーIgG検査で食事を制限しないで!世界のアレルギー学会が警鐘を鳴らす理由|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

2026年9月30日

食物アレルギーIgG検査で食事を制限しないで!世界のアレルギー学会が警鐘を鳴らす理由

【警告】遅延型アレルギー(IgG)検査を信じてはいけない?不必要な食事制限が引き起こす深刻な健康リスク

Food-specific IgG Test

食べ物のIgG抗体検査で「陽性」でも、アレルギーの証拠にはなりません

執筆:千里丘かがやきクリニック 院長 有光 潤介(日本アレルギー学会専門医)
公開日:2026年5月3日/更新日:2026年9月30日

「少量の血液で、数十〜百種類以上の食べ物について『遅延型フードアレルギー』がわかる」。インターネットや一部の医療機関で、こうした検査の案内を目にすることがあります。

頭痛やだるさ、肌荒れ、おなかの不調など、原因のはっきりしない不調が続くと、「食べ物のせいかもしれない」と手がかりを求めたくなるものです。実際に、この検査の結果をもとに、いくつもの食品を食事から外している方もいらっしゃいます。

結論からお伝えします。この検査で測っているのは、食べ物に対するIgG(またはIgG4)という抗体です。IgG抗体は、その食品を食べている健康な人にもふつうにできる抗体です。日本小児アレルギー学会と日本アレルギー学会は、この検査を食物アレルギーの原因食品を調べる方法としては推奨しないと公式に表明しており、欧米の学会も同じ立場をとっています[1][2]。

この記事では、なぜIgG検査で食物アレルギーがわからないのか、結果をもとに食事を制限するとどんな危険があるのか、そしてすでに検査を受けた方はどうすればよいのかを、順にご説明します。

Point

この記事のポイント

  1. 食べ物に対するIgG抗体は、その食品を食べていれば健康な人にもできます。値が高いのは「よく食べている」ことの表れで、アレルギーや不調の原因を示すものではありません
  2. 日本小児アレルギー学会と日本アレルギー学会をはじめ、欧州・米国・カナダの学会が、この検査を食物アレルギーの診断に使わないよう求めています
  3. 結果をもとに多くの食品を除くと、栄養の偏り、本当の病気の見逃し、食べられていた食品への新たなアレルギー、本物のアレルギーの見落としといった危険があります
  4. 食べて数時間たってから症状が出るアレルギーも実在しますが、問診やIgE抗体の検査などで調べるもので、IgG検査では診断できません
  5. すでにIgG検査を受けて食品を避けている方は、結果を持って医師にご相談ください。長く避けてきた食品を再開するときは、確認が必要な場合があります

参考文献

  1. 血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起著者:日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会媒体:日本小児アレルギー学会ウェブサイト(PDF)発行日:2014年11月19日/閲覧日:2026年9月30日URL:https://www.jspaci.jp/uploads/2021/05/kenkai_IgG4.pdf要約:日本小児アレルギー学会の公式見解。食べ物に対するIgG抗体は食物アレルギーのない健康な人にもある抗体で、陽性を根拠に除去を指導すると原因でない食品まで除き、多品目では健康被害のおそれがあるとして、原因食品の診断法としては推奨しないとした。
  2. 〔学会見解〕血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起著者:日本アレルギー学会(理事長 斎藤博久)媒体:日本アレルギー学会ウェブサイト発行日:2015年2月25日/閲覧日:2026年9月30日URL:https://www.jsaweb.jp/modules/important/index.php?content_id=51要約:日本小児アレルギー学会の注意喚起を支持した学会見解。IgG抗体は健康な人にもあり、負荷試験の結果と一致せず、値は食べ物の摂取量に比例するだけだと理由を示し、食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しないとした。
  3. 食物アレルギー診療ガイドライン2021 ダイジェスト版 第8章 診断と検査(総論)著者:日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会媒体:日本小児アレルギー学会ウェブサイト閲覧日:2026年9月30日URL:https://www.jspaci.jp/guide2021/jgfa2021_8.html要約:日本の食物アレルギー診療ガイドラインの要約版。診断は摂取と症状の関係を詳しい問診で明らかにすることから始まり、IgE抗体検査などで感作を証明しただけで安易に除去を指導しないよう求めた。コンポーネント検査で診断精度が上がるとした。
  4. Testing for IgG4 against foods is not recommended as a diagnostic tool: EAACI Task Force Report著者:Stapel SO, Asero R, Ballmer-Weber BK, ほか(EAACIタスクフォース)雑誌:Allergy. 2008;63(7):793-796発行日:2008年7月DOI:10.1111/j.1398-9995.2008.01705.x要約:欧州アレルギー臨床免疫学会のタスクフォース報告。食べ物に対するIgG4は、食べ物に触れたあとの生理的な免疫反応で、むしろ耐性の目印と考えるべきだとし、食物アレルギーや不耐症の検査として行うべきではないとした。
  5. CSACI Position statement on the testing of food-specific IgG著者:Carr S, Chan E, Lavine E, Moote W雑誌:Allergy Asthma Clin Immunol. 2012;8:12発行日:2012年7月26日DOI:10.1186/1710-1492-8-12要約:カナダアレルギー臨床免疫学会の声明。食物特異的IgGは曝露と耐性の目印で、健康な人でも陽性になるとした。不必要な食事制限や子どもの成長障害のおそれに加え、IgE型の重いアレルギーを見落として再摂取を勧めてしまう危険も指摘した。
  6. IgG4 inhibits peanut-induced basophil and mast cell activation in peanut-tolerant children sensitized to peanut major allergens著者:Santos AF, James LK, Bahnson HT, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2015;135(5):1249-1256発行日:2015年5月DOI:10.1016/j.jaci.2015.01.012要約:ピーナッツに対するIgE抗体をもちながら、食べても症状が出ない子どもを調べた研究。IgG4抗体が、IgEによる好塩基球やマスト細胞の活性化を抑えていることを示し、IgG4がアレルギー反応を抑える側に働くことを裏づけた。
  7. Japanese guidelines for food allergy 2020著者:Ebisawa M, Ito K, Fujisawa T, ほか(日本小児アレルギー学会・日本アレルギー学会)雑誌:Allergol Int. 2020;69(3):370-386発行日:2020年7月DOI:10.1016/j.alit.2020.03.004要約:日本の食物アレルギー診療ガイドラインの英語版。IgG4抗体は症状のない人や健康な人にも検出されるため診断に使えず、偽陽性で原因でない食品まで除去すると多品目では健康被害につながりうると明記した。運動誘発型は即時型の特殊型に分類した。
  8. AAAAI support of the EAACI Position Paper on IgG4著者:Bock SA雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2010;125(6):1410発行日:2010年6月DOI:10.1016/j.jaci.2010.03.013要約:米国アレルギー喘息免疫学会がEAACIの見解を支持した声明。十分な問診や負荷試験なしに血液の抗体検査で食物アレルギーは診断できず、抗体があるだけでは病気を意味しないとした。問題なく食べている食品は、陽性でも除去すべきでないと強調した。
  9. Guidelines for the diagnosis and management of food allergy in the United States: report of the NIAID-sponsored expert panel著者:Boyce JA, Assa’ad A, Burks AW, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2010;126(6 Suppl):S1-S58発行日:2010年12月DOI:10.1016/j.jaci.2010.10.007要約:米国国立アレルギー感染症研究所が主導した診療ガイドライン。食物特異的IgG4を含む標準化されていない検査を、食物アレルギーの日常の診断に使わないよう勧告し、誤った診断が不必要な食事制限や適切な検査の遅れを招くとした。
  10. Food allergy: a practice parameter update—2014著者:Sampson HA, Aceves S, Bock SA, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2014;134(5):1016-1025.e43発行日:2014年11月DOI:10.1016/j.jaci.2014.05.013要約:米国のアレルギー関連学会(AAAAI・ACAAI)の合同委員会による食物アレルギー診療指針。根拠の証明されていない検査を勧めず、IgEを介さない食物アレルギーの診断にも、食物特異的IgG・IgG4の測定は推奨しないとした。
  11. EAACI guidelines on the diagnosis of IgE-mediated food allergy著者:Santos AF, Riggioni C, Agache I, ほか雑誌:Allergy. 2023;78(12):3057-3076発行日:2023年12月(オンライン公開は2023年10月10日)DOI:10.1111/all.15902要約:欧州アレルギー臨床免疫学会によるIgE型食物アレルギーの診断ガイドライン。診断は問診から始め、IgE抗体検査や皮膚テストで裏づけ、食物経口負荷試験を基準とした。IgGやIgGサブクラスの検査を単独で使わないよう推奨した。
  12. Delayed anaphylaxis, angioedema, or urticaria after consumption of red meat in patients with IgE antibodies specific for galactose-alpha-1,3-galactose著者:Commins SP, Satinover SM, Hosen J, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2009;123(2):426-433発行日:2009年2月DOI:10.1016/j.jaci.2008.10.052要約:牛肉・豚肉などの獣肉を食べて3〜6時間後にアナフィラキシーやじんましんを起こした24人を報告した研究。症状は、糖鎖α-galに対するIgE抗体で説明された。牛肉や豚肉、牛乳などに対するIgE抗体の検査も陽性だった。
  13. Tick-induced allergies: mammalian meat allergy and tick anaphylaxis著者:van Nunen SA雑誌:Med J Aust. 2018;208(7):316-321発行日:2018年4月16日DOI:10.5694/mja17.00591要約:マダニが関わるアレルギーの総説。マダニに刺されたあとに獣肉アレルギーを発症する例は、マダニに刺される地域があるすべての大陸から報告され、日本も含まれる。症状は獣肉を食べて3〜6時間後に出ることが多く、IgEを介する反応だとした。
  14. International consensus guidelines for the diagnosis and management of food protein-induced enterocolitis syndrome: Executive summary著者:Nowak-Węgrzyn A, Chehade M, Groetch ME, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2017;139(4):1111-1126.e4発行日:2017年4月DOI:10.1016/j.jaci.2016.12.966要約:FPIESに関する初の国際的な診療指針。FPIESはIgEを介さない細胞性の食物アレルギーで、重症ではショックに至ることもあるとした。原因食品を食べて1〜4時間後の嘔吐と、じんましんなどIgE型の症状がないことを診断の主な基準とした。
  15. Food elimination based on IgG antibodies in irritable bowel syndrome: a randomised controlled trial著者:Atkinson W, Sheldon TA, Shaath N, Whorwell PJ雑誌:Gut. 2004;53(10):1459-1464発行日:2004年10月DOI:10.1136/gut.2003.037697要約:過敏性腸症候群の外来患者150人を、IgG陽性の食品を除く食事と、同じ数の別の食品を除く偽の食事に分けた試験。12週後の症状スコアの改善は前者が10%大きく、完全に守った人では26%大きかった。著者はさらなる研究が必要とした。
  16. A Novel, IBS-Specific IgG ELISA-Based Elimination Diet in Irritable Bowel Syndrome: A Randomized, Sham-Controlled Trial著者:Singh P, Chey WD, Takakura W, ほか雑誌:Gastroenterology. 2025;168(6):1128-1136.e4発行日:2025年6月(オンライン公開は2025年1月31日)DOI:10.1053/j.gastro.2025.01.223要約:米国8施設の過敏性腸症候群の患者238人を対象にした試験。IBS用に開発された18品目のIgG検査で陽性の食品を8週間除いた群では、腹痛の改善目標を満たした人が59.6%で、偽の食事の42.1%より多かった。便秘型と混合型で差が大きかった。
  17. Is there a place for an IgG antibody-based elimination diet in irritable bowel syndrome?著者:Tulewicz-Marti E媒体:世界消化器病学会(WGO)ウェブサイト「News You Can Use」閲覧日:2026年9月30日URL:https://worldgastroenterology.org/publications/news-you-can-use/is-there-a-place-for-an-igg-antibody-based-elimination-diet-in-irritable-bowel-syndrome要約:Singhらの試験に対する専門家の論評。この分野で最大規模の研究と評価しつつ、偽の食事でも約4割が改善した点、除去食を守れた割合が偽の食事より低かった点、脱落者がいた点を限界に挙げ、IgGが症状を起こす仕組みの解明が必要だとした。
  18. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome著者:Lacy BE, Pimentel M, Brenner DM, ほか雑誌:Am J Gastroenterol. 2021;116(1):17-44発行日:2021年1月DOI:10.14309/ajg.0000000000001036要約:米国消化器病学会による過敏性腸症候群の診療ガイドライン。食物アレルギーを疑わせる再現性のある症状がない限り、すべての患者に食物アレルギーや食物過敏の検査を行うことは勧めないとし、低FODMAP食を期間を区切って試すことを推奨した。
  19. Natural History of Food-Triggered Atopic Dermatitis and Development of Immediate Reactions in Children著者:Chang A, Robison R, Cai M, Singh AM雑誌:J Allergy Clin Immunol Pract. 2016;4(2):229-236.e1発行日:2016年3月(オンライン公開は2015年11月17日)DOI:10.1016/j.jaip.2015.08.006要約:食物が関わるアトピー性皮膚炎で受診した子ども298人の診療記録を調べた研究。即時型反応の既往がなかった子どもの19%が除去食の開始後に新たな即時型反応を起こし、その30%がアナフィラキシーだった。牛乳と卵が多かった。
  20. 食物アレルギー診療ガイドライン2021 ダイジェスト版 第10章 食物アレルギー患者の管理著者:日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会媒体:日本小児アレルギー学会ウェブサイト閲覧日:2026年9月30日URL:https://www.jspaci.jp/guide2021/jgfa2021_10.html要約:食物アレルギー管理の原則を、正しい診断にもとづく必要最小限の原因食物の除去と定めた。食事全体を評価し、必要に応じて管理栄養士による栄養評価と栄養食事指導を行い、負荷試験などで食べられる範囲を確かめて摂取を指導するよう求めた。

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千里丘かがやきクリニック

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