2026年7月14日

なぜ「野菜は1日350g」必要なのか?生活習慣病を防ぐ科学的根拠と無理なく食べる具体的なコツ
「野菜をもっと食べなさい」——子どもの頃から言われ続けてきたこの言葉、実は厚生労働省がきちんと数字で目標を示していることをご存知でしょうか。
その数字が「1日350g以上」。健康づくり運動「健康日本21」で掲げられている、日本人の野菜摂取目標です。今回は、この350gという数字の根拠と、無理なく達成するコツをまとめてみました。
なぜ「350g」なのか
350gという数字は、なんとなく決められたわけではありません。国内外の長年の研究の積み重ねから導き出された、根拠のある目標値です。
生活習慣病のリスクを下げる
最大の理由は、野菜の摂取量と生活習慣病の関係を調べた研究の結果にあります。
- 心疾患・脳卒中:野菜や果物をたくさん摂る人ほど発症リスクが低いという結果が、国内外の複数の研究で一貫して見られています。摂取量が100g増えるごとに、リスクが少しずつ下がっていく傾向があるそうです。
- がん:世界的な研究機関の報告書では、特に非でんぷん質の野菜が、口腔・咽頭・食道・胃などのがんのリスクを下げる可能性が高いと評価されています。
- 高血圧:野菜に多く含まれるカリウムには、余分な塩分を体外に出す働きがあります。塩分の多い食生活になりがちな日本人にとって、これは見逃せないポイントです。
いくつかの研究では「400g以上摂ると死亡リスクが最も低い」というデータもあるそうですが、日本人の今の食生活を踏まえて、まずは現実的に達成できる目標として350gが設定されました。
野菜は栄養素の宝庫
野菜には、体を健康に保つための栄養素がぎゅっと詰まっています。
- 食物繊維:腸内環境を整えるほか、血糖値の急上昇を抑えたり、コレステロールを下げたりする働きも。
- ビタミンC・葉酸:コラーゲンの生成や細胞の新生に必要な栄養素で、抗酸化作用も持っています。
- カリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラル:体の機能を正常に保つサポート役。
- ファイトケミカル:トマトのリコピン、にんじんのβ-カロテンなど、野菜の色や香りのもとになる成分。強い抗酸化作用で、細胞の老化やがんの予防に役立つと考えられています。
350gの内訳:緑黄色野菜と淡色野菜
厚労省は、350gを次のバランスで摂ることを勧めています。
| 種類 | 目安量 | 例 |
|---|---|---|
| 緑黄色野菜 | 120g | ほうれん草、にんじん、かぼちゃ、トマト、ブロッコリーなど |
| 淡色野菜など | 230g | キャベツ、レタス、大根、玉ねぎ、きのこ類、海藻類など |
なお、じゃがいもなどのイモ類は「主食」寄りの扱いになるため対象外、大豆は「タンパク源」として別枠です。枝豆やさやいんげんは野菜としてカウントされることもあります。
現実:日本人はまだ届いていない
とはいえ、目標はあくまで目標。厚労省の調査(2019年)によると、日本人成人の野菜摂取量の平均は280.5g。目標まで、あと約70g足りていません。特に20〜40代の若い世代で不足が目立つそうです。
「あと70g」というのは、だいたい小鉢1皿分のイメージです。野菜のおひたしやサラダをもう一品追加する、そんな感覚で十分ということですね。
無理なく350gに近づくコツ
1. 「小鉢5皿」で数える
小鉢1皿がだいたい70g。5皿食べれば350gに届く計算です。
- 朝食:野菜スープやサラダ(1皿)
- 昼食:定食の小鉢やラーメンの野菜トッピング(1皿)
- 夕食:付け合わせ、サラダ、具だくさんの味噌汁、炒め物(3皿)
こんなふうに、毎食に少しずつ取り入れるのがコツです。
2. 加熱して「カサ」を減らす
350gと聞くと多く感じますが、これは生の状態での重さ。生野菜サラダだけで摂ろうとすると大変ですが、おひたしや蒸し物、炒め物、鍋料理にすればカサが減り、意外とペロッと食べられます。
3. 汁物を具だくさんに
味噌汁やスープに、玉ねぎ・大根・にんじん・きのこ・わかめなどをたっぷり入れるだけで、手軽に摂取量が増やせます。
4. 冷凍・加工野菜も味方に
忙しいときは、冷凍のほうれん草やブロッコリー、カット野菜、トマト缶なども活用しましょう。
野菜ジュースはあくまで「補助」
野菜ジュースは手軽ですが、製造過程で不溶性食物繊維の多くが失われてしまうため、生の野菜と同じとは言えません。糖分や塩分が添加されている商品もあるので、あくまで補助的なものと考え、できるだけ「噛んで食べる」野菜を優先するのがおすすめです。
まとめ
- 目標は「1日350g以上」(緑黄色野菜120g+それ以外230g)
- 生活習慣病の予防や、体に必要な栄養素の補給という、しっかりした根拠がある
- 現状の平均摂取量は280.5gで、あと70g=小鉢1皿分が足りない
- 「小鉢5皿」を意識し、加熱調理でカサを減らすのが近道
まずは「今日の食事にあと一皿」を意識するところから始めてみませんか。
出典
- 厚生労働省「健康日本21(第三次)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21_00006.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「野菜1日350gで健康増進」https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-03-015.html
- 厚生労働省「令和元年『国民健康・栄養調査』の結果」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html
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