4〜6歳に急増?子どものいびきや激しい寝返りは「睡眠時無呼吸症候群」の危険信号|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

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4〜6歳に急増?子どものいびきや激しい寝返りは「睡眠時無呼吸症候群」の危険信号

4〜6歳に急増?子どものいびきや激しい寝返りは「睡眠時無呼吸症候群」の危険信号|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

2026年6月04日

4〜6歳に急増?子どものいびきや激しい寝返りは「睡眠時無呼吸症候群」の危険信号

子どもの睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群と聞くと、お腹の出た大人の男性がかかる病気というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、実はこの病気は子どもにも決して珍しいものではありません。子どもの睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に空気の通り道である気道が完全にふさがって息が止まったり、あるいは空気の通り道が狭くなって呼吸が非常に浅くなったりする状態が繰り返される病気です。

医学的な統計によると、子ども全体のうち約1%から5%がこの病気に罹患している(病気にかかっている)と報告されており、特に4歳から6歳頃の子どもに多く見られるという特徴があります。子どもの健やかな成長や脳の発達には、質の良い睡眠が不可欠です。しかし、睡眠中に何度も呼吸が妨げられると、脳や体に十分な酸素が行き届かなくなり、日中の行動や体全体の成長に重大な悪影響を及ぼすことが科学的に分かっています。

発症の原因:大人との大きな違い

大人の睡眠時無呼吸症候群では、肥満や加齢、飲酒などが原因で喉の周りに脂肪がつき、気道が狭くなることが一般的です。これに対して、子どもの場合は骨格や組織の発達段階に特有の原因があります。

最も一般的な原因は、喉や鼻の奥にあるリンパ組織の肥大です。具体的には、のどの両脇にある「口蓋扁桃(こうがいへんとう:一般的に扁桃腺と呼ばれる組織)」や、鼻の奥の突き当たりにある「アデノイド(腺様体)」という組織が、生まれつき、あるいは免疫反応の活性化によって大きく腫れ上がってしまうことです。これらの組織は、幼児期に細菌やウイルスから体を守るために急激に大きくなり、4歳から6歳頃に肥大のピークを迎えます。そのため、この時期の子どもは物理的に空気の通り道が狭くなりやすく、睡眠中に筋肉が緩むと気道が完全にふさがれてしまうのです。

その他の原因としては、近年の食生活の変化に伴う子どもの「肥満」が挙げられます。体重が増えて首の周りに脂肪がつくと、やはり気道を圧迫します。また、生まれつき顎が小さい、あるいは後ろに引っ込んでいるといった「骨格的な特徴」や、ダウン症などの染色体異常、筋肉の働きが弱くなる神経や筋肉の病気を持つ子どもの場合も、気道が崩れやすいため発症のリスクが高くなります。

見逃しやすい症状:夜間と日中のチェックポイント

子どもの睡眠時無呼吸症候群を見つけるためには、夜寝ているときだけでなく、昼間の様子も含めて総合的に観察することが重要です。子どもは大人のように「夜眠れなくて昼間に眠い」と素直に訴えることが少なく、一見すると無呼吸とは関係なさそうな行動として症状が現れるため、周囲の大人が気づいてあげることが欠かせません。

夜間の睡眠中に見られる代表的なサイン

1.激しいいびき

週に3日以上、日常的に大きないびきをかいている場合は注意が必要です。いびきは、狭くなった気道を空気が無理に通るときに周囲の粘膜が振動して鳴る音です。

2.陥没呼吸(かんぼつこきゅう)

息を吸い込もうとするときに、鎖骨の上や胸の真ん中、肋骨の間がペコペコと不自然に凹む現象です。狭い気道から一生懸命に空気を吸おうとするため、胸の中の圧力が異常に下がってしまうことで起こります。

3.不自然な寝相や激しい寝返り

呼吸を少しでも楽にしようと、首を極端に後ろに反らせて顎を突き出した姿勢で寝たり、座ったような姿勢のまま寝てしまったりすることがあります。また、何度も窒息しかけるために一晩中激しく寝返りを打ち、寝相が非常に悪くなります。

4.口呼吸と寝汗

鼻の奥のアデノイドが詰まっているため、常に口を開けて呼吸をするようになります。また、呼吸をするために必死で体力を消耗するため、室温が高くないにもかかわらず、大量の寝汗をかくことがあります。

5.夜尿(おねしょ)の継続や再発

これまでおねしょをしなかった子が急にするようになったり、年齢が上がっても夜尿が治らなかったりすることがあります。これは、無呼吸によるストレスで尿の量を調節するホルモンの分泌が乱れるためです。

日中の睡眠中に見られる代表的なサイン

1.イライラや落ち着きのなさ

睡眠が細切れになり、脳が十分に休まらないため、昼間に感情のコントロールが効かなくなります。些細なことで激しく怒ったり、常にソワソワと落ち着きがなくなったりします。この症状は、注意欠陥多動性障害(ADHD)の行動特性と非常に酷似しているため、誤って診断されるケースもあります。

2.集中力の低下と学力への影響

授業中に集中して話を聞くことができず、記憶力や思考力も低下するため、学校の成績が落ちてしまう原因になります。

3.成長の遅れ(成長障害)

人間は、夜間の深い睡眠のときに「成長ホルモン」を多く分泌します。しかし、無呼吸があると、呼吸が止まるたびに脳が危険を察知して目覚めてしまう(微小覚醒)ため、深い睡眠に入ることができません。その結果、成長ホルモンの分泌が滞り、身長や体重の伸びが悪くなることがあります。

放置することによる深刻な悪影響

子どものいびきを「よく寝ている証拠」と見過ごして放置してしまうと、子どもの将来にわたる身体的・精神的な発達に深刻な影響を残すことになります。

医学的な研究では、無呼吸による慢性的な酸素不足と睡眠の断片化(睡眠が細切れになること)が、脳の認知機能に永続的な悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。特に、物事を計画したり感情をコントロールしたりする「実行機能」の低下が懸念されます。

さらに、体への肉体的な負担も甚大です。息が止まるたびに、心臓や血管には強いストレス(血圧の上昇や自律神経の乱れ)がかかります。これが長期間続くと、子どものうちから血圧が高くなったり、将来的に心血管疾患(心臓や血管の重大な病気)を発症するリスクを著しく高めたりすることが科学的に実証されています。

どのように診断されるのか

子どもの睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、医療機関では段階を踏んで検査が行われます。まずは、保護者から寝ているときの様子を詳しく聞き取ります。この際、スマートフォンなどで子どものいびきや呼吸の様子、陥没呼吸の有無を動画で撮影して持参すると、医師が状況を把握しやすくなり非常に有用です。

耳鼻咽喉科では、内視鏡(小さなカメラ)を鼻から入れて、アデノイドや扁桃がどの程度気道を塞いでいるかを直接観察します。

そして、最も確実な診断を行うための基準となるのが「睡眠ポリグラフ検査(ポリーソムノグラフィー:PSG検査)」です。この検査では、病院に一泊して、頭や顔、胸、足などにたくさんのセンサーを装着した状態で眠ります。睡眠中の脳波、呼吸の有無、空気の流れ、血液中の酸素飽和度(酸素の量)、心電図などを一晩かけて精密に記録します。これにより、1時間に何回呼吸が止まったり浅くなったりしているか(無呼吸低呼吸指数)を算出し、病気の有無や重症度(軽症、中等症、重症)を正確に判定します。

ただし、小さな子どもにとって、体中にセンサーをつけられた状態で病院で眠ることは大きな負担となります。そのため、明らかな扁桃肥大があり、いびきや呼吸停止の症状が顕著な場合は、この詳細な検査を省略して臨床的な判断のみで治療に踏み切ることも一般的に行われています。

効果的な治療法:劇的な改善をもたらす手術

子どもの睡眠時無呼吸症候群の治療において、第一選択(最も推奨される治療)となるのは、外科的な手術である「腺様体・扁桃摘出術(せんようたい・ほんとうてきしゅつじゅつ)」です。これは、気道を塞いでいる原因そのものであるアデノイドと口蓋扁桃を、手術によって切り取る方法です。

世界的な大規模臨床試験(有名なCHAT試験など)において、アデノイドや扁桃の肥大がある学童期の子どもに対してこの手術を行うと、約8割近くの症例で睡眠中の呼吸状態が正常化することが確認されています。手術によって気道がしっかりと確保されると、いびきや無呼吸が消失するだけでなく、熟睡できるようになるため、日中のイライラや多動傾向が治まり、生活の質(QOL)が劇的に向上することが科学的に証明されています。

ただし、手術には当然ながら、術後の痛みや出血(後出血)、全身麻酔のリスクが伴います。特に3歳未満の非常に小さなお子さんの場合は、術後に一時的な呼吸の管理が必要になるなど、合併症のリスクが比較的高くなるため、手術のタイミングや実施については専門医と慎重に相談する必要があります。

また、肥満がある子どもの場合は、手術を行っても喉の周りの脂肪が残るため、無呼吸が完全に治りきらない(残存する)確率が高くなることが分かっており、手術と並行して食事や運動による減量管理を行うことが不可欠です。

手術以外の治療法としては、以下のような選択肢があります。

薬物療法(お薬による治療)

無呼吸の程度が軽症である場合や、手術を待つ間の対応として、鼻の中に吹き付ける「ステロイド点鼻薬」や、アレルギー性の炎症を抑える「ロイコトリエン受容体拮抗薬」という飲み薬が使用されることがあります。これにより、鼻の粘膜やアデノイドの腫れをわずかに縮小させ、鼻の通りを良くして呼吸をサポートします。

持続陽圧呼吸療法(CPAP:シーパップ)

重度の無呼吸があるにもかかわらず、骨格の異常や持病(神経や筋肉の病気など)のために手術が受けられない場合、あるいは手術をしても無呼吸が残ってしまった場合に用いられます。寝るときに鼻にマスクを装着し、機械から一定の圧力をかけた空気を送り込むことで、空気の力で気道を無理なく押し広げて呼吸を維持する治療法です。非常に効果的ですが、子どもが毎晩マスクを嫌がらずにつけ続けられるかという、保護者による根気強いケアが必要になります。

ご家族のみなさんへのメッセージ

子どものいびきや寝相の悪さは、一見すると「ぐっすり元気に眠っている証拠」のように勘違いされがちです。しかし、それが毎晩のように続き、昼間の行動に落ち着きがなかったり、成長の遅れが気になったりする場合は、睡眠時無呼吸症候群という病気が隠れているサインかもしれません。

子どもの無呼吸は、大人と違って原因がはっきりしていることが多く、適切な治療を行うことで劇的に改善し、本来持っている健やかな発達や学習能力を取り戻すことができる病気です。「ただのいびきだから」と軽く考えず、少しでも気になる症状があれば、まずはかかりつけの小児科や耳鼻咽喉科、あるいは睡眠医療の専門クリニックを受診し、専門医の診察を受けることを強くお勧めします。

参考文献

1.A Randomized Trial of Adenotonsillectomy for Childhood Sleep Apnea, Marcus CL, et al. N Engl J Med . 2013 Jun 20;368(25):2366-76. DOI: 10.1056/NEJMoa1215881
要約: 学童期の睡眠時無呼吸症候群患者を対象に早期の腺様体・扁桃摘出術(AT)と経過観察の効果を比較した多施設ランダム化比較試験。術後に認知機能の有意な改善は見られなかったが、行動面、生活の質(QOL)、および睡眠ポリグラフ検査の指標において、経過観察群と比較して大幅な改善が認められた。

2.Pediatric obstructive sleep apnea, Bhatt A, St-Laurent A, Graham ME. CMAJ . 2024 Feb 20;196(6):E241. DOI: 10.1503/cmaj.230897
要約: 小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に関する最新の知見をまとめた臨床レビュー。主なリスク要因としてアデノイド・扁桃肥大や肥満を挙げ、大人のような日中の眠気ではなく、多動やイライラ、夜尿といった行動異常が現れやすい特徴を解説。第一選択となる外科的手術や薬物療法の基準を明記。

3.Obstructive sleep apnea in children: a critical update, Tan HL, Gozal D, Kheirandish-Gozal L. Nature and Science of Sleep . 2013 Oct;5:109-123. DOI: 10.2147/NSS.S51907
要約: 小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の病態生理、合併症、診断、治療に関する包括的なアップデート。小児OSAは心血管、認知機能、代謝システムに重大な影響を及ぼすリスクがあり、アデノイド・扁桃肥大に対する第一選択の治療法として外科的手術を推奨する一方、軽症例への薬物療法の有効性にも言及。

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