食物アレルギー
食物アレルギー
大人の食物アレルギー外来
「果物を食べると口の中がかゆくなる」「食後に運動したらじんましんが出た」——食物アレルギーは子どもだけのものではなく、大人になってから初めて発症することもあります。当院ではアレルギー診療と消化器内科の両方の視点から原因を見きわめ、管理栄養士とともに「必要最小限の除去」で日常生活を守る診療を行っています。
思い当たるものがあれば、一度ご相談ください。原因が特定できれば、避けるべき食品を最小限にしぼり込めることも少なくありません。
乳幼児期は卵・牛乳・小麦が中心で、成長とともに食べられるようになることが多い一方、成人の食物アレルギーは花粉症や運動、寄生虫、虫刺されなどが背景にあるタイプが目立ちます。原因の探し方も対策も異なるため、まず「どのタイプか」を見きわめることが出発点です。
花粉症の方が、似た構造のたんぱく質をもつ果物・野菜・豆乳などを食べたときに、口や喉のかゆみ・違和感を起こすタイプ。カバノキ科(シラカンバ・ハンノキ)花粉とリンゴ・モモ・大豆、ブタクサ花粉とメロン・スイカなど、花粉の種類ごとに関係する食品の傾向があります。
原因食品を食べただけ、運動しただけでは症状が出ず、食後数時間以内に運動が重なったときに全身のじんましんや血圧低下を起こすタイプ。小麦や甲殻類が代表的で、解熱鎮痛薬や飲酒、疲労が引き金になることもあります。
魚に寄生するアニサキスに対するアレルギー。「魚に当たった」と思われている症状のなかに、加熱調理した魚でも起こる本症が隠れていることがあります。魚そのもののアレルギーとの区別が必要です。
マダニに刺された後に、牛肉・豚肉などの獣肉を食べて数時間後にじんましんやアナフィラキシーを起こすタイプ。時間差があるため、原因食品と結びつけにくいのが特徴です。
エビ・カニなどの甲殻類、そば、ナッツ類、魚類などに、成人になってから新たに発症するタイプ。食後2時間以内のじんましん、腹痛、喉の違和感などで気づかれます。
食後の不調がすべてアレルギーとは限りません。乳糖不耐症、ヒスタミンによる中毒、機能性ディスペプシア、過敏性腸症候群なども似た症状を起こします。消化器内科としての視点で、あわせて確認します。
検査で陽性でも、実際には食べられることがあります
血液検査で分かるのは、その食品に反応する抗体(特異的IgE抗体)を持っているかどうか(=感作)です。抗体を持っていても症状が出ない方は多く、陽性というだけで食品を除去する根拠にはなりません。
診断でもっとも重要なのは、「何を、どれだけ、どんな状況で食べて、何分後にどんな症状が出たか」という実際の経過です。検査結果はそれを裏づけるために使います。
不必要な除去は、それ自体が負担になります
自己判断で食品を広く避けると、栄養の偏りや体重減少につながるほか、外食や会食が制限され、生活の質そのものが下がってしまいます。食物アレルギー診療の原則は「正しく診断し、必要最小限の除去にとどめる」ことです。
問診でうかがった経過をもとに、必要な検査を選びます。やみくもに項目を増やすのではなく、症状の説明がつくかどうかを軸に組み立てます。
| 特異的IgE抗体検査 | 疑われる食品を個別に、あるいは複数項目をまとめて調べる血液検査です。花粉やダニなど吸入アレルゲンもあわせて確認し、花粉との関連を評価します。 |
|---|---|
| アレルゲンコンポーネント検査 | 食品を丸ごとではなく、原因となるたんぱく質の単位で調べる血液検査です。小麦のω‒5グリアジン、ピーナッツのAra h 2、大豆のGly m 4などを測ることで、重い症状を起こしやすいタイプか、口の中の症状にとどまりやすいタイプかを推定する手がかりになります。 |
| 血液一般・総IgE・好酸球数 | アレルギー体質の全体像や、ほかの疾患が隠れていないかを確認します。 |
| 消化器内科としての評価 | 腹痛・下痢・つかえ感などが主体の場合、内視鏡検査を含めて消化器疾患の可能性を検討します。 |
| 専門施設との連携 | 診断の確定に食物経口負荷試験が必要と判断した場合や、皮膚テストが有用な場合は、実施可能な医療機関へご紹介します。 |
ALLERGY
アレルギー診療の専門的な視点で原因をしぼり込む
当院はアレルギー科としての診療も行い、花粉症・気管支喘息・アトピー性皮膚炎・じんましんなど、アレルギー疾患全般を継続して診ています。食物アレルギーは花粉症や喘息と地続きの問題であることが多く、体質全体を見わたしたうえで原因を検討します。
DIGESTIVE
消化器内科として、紛らわしい症状を切り分ける
食後の腹痛や下痢は、食物アレルギー以外にも多くの原因があります。当院は内科・消化器内科として内視鏡検査にも対応しており、必要に応じて消化器疾患の可能性まで含めて確認できます。原因が食事の内容にある場合は、低FODMAP食などの食事療法もご提案します。
LONG TERM
診断した後も、かかりつけとして継続して診ます
食物アレルギーは、年月とともに反応の強さが変わることがあります。検査して終わりにせず、症状の経過を確認しながら、除去する範囲を見直していきます。ほかの持病や健診結果とあわせて相談できるのも、内科のかかりつけ医ならではの利点です。
まずは丁寧な問診から
いつ、何を、どのくらい食べて、何分後にどんな症状が出たか。運動や飲酒、薬の服用、体調との関係もうかがいます。症状が出たときの食事の内容や、可能であれば症状の写真があると診断の大きな助けになります。
必要な検査を選んで行う
問診で立てた見立てをもとに、血液検査などを行います。結果が出るまでの間、当面どのように過ごしていただくかもお伝えします。
結果を照らし合わせて診断する
検査結果と実際の経過を突き合わせ、避けるべき食品と、食べて差し支えない食品を整理します。診断の確定に負荷試験が必要な場合は、実施可能な医療機関をご紹介します。
日常生活の対策を組み立てる
食品表示の読み方、外食時の伝え方、症状が出たときの対応を確認します。ご希望に応じて管理栄養士による栄養指導を行い、その後も定期的に経過を確認していきます。
次の症状があるときは、すぐに救急要請を
複数の臓器にまたがる症状が急速に進む場合はアナフィラキシーが疑われます。ためらわず救急車を呼び、横になって足を高くした状態で待ってください。アドレナリン製剤をお持ちの場合は、迷わず使用してください。
アナフィラキシーの治療で最も重要なのは、できるだけ早くアドレナリンを投与することです。現在は、注射のほかに点鼻という選択肢も加わりました。いずれも救急要請の代わりになるものではなく、使用後は必ず医療機関を受診してください。
| アドレナリン点鼻液 (ネフィー®) |
2025年9月に国内で承認された、日本で初めてのアドレナリン点鼻薬です。片方の鼻の穴に1回スプレーするだけで投与でき、注射の手技を身につける必要がありません。効果が不十分な場合は、10分以降を目安に、同じ側の鼻の穴へ2回目を投与します。注射が苦手な方や、外出先で自分1人で対応する場面が多い方にとって、備えやすい選択肢です。 |
|---|---|
| アドレナリン自己注射薬 (エピペン®) |
太ももの外側に注射する、従来から使われてきた製剤です。使用できる年齢や体重の幅が広く、意識がはっきりしない場面でも介助者が投与しやすいという利点があります。 |
どちらも「アナフィラキシーの既往がある方」「アナフィラキシーを起こす危険が高い方」が対象です。過去にアナフィラキシーを起こしたことがある方や、その危険が高いと考えられる方には、どちらが生活に合うかを含めてご相談に応じます。
あります。花粉症を発症した後に、果物や野菜で口の中の症状が出るようになるケースは代表的です。ほかにも甲殻類やナッツ類、小麦などが、成人になってから新たに原因となることがあります。「昔は平気だったから」という理由で、可能性から外す必要はありません。
陽性というだけでは、除去する理由になりません。抗体を持っていても症状が出ない方は多くいらっしゃいます。実際に食べて症状が出ていないのであれば、自己判断で中止せず、まずは検査結果をお持ちのうえでご相談ください。不必要な除去を減らすことも、診療の大切な目的のひとつです。
意味があります。食物依存性運動誘発アナフィラキシーやα‒Gal症候群のように、食べてから時間が経ってから、あるいは運動と重なったときにだけ症状が出るタイプは、ご本人には結びつきにくいものです。症状が出た日の食事や行動を思い出せる範囲で書き留めてお持ちいただくと、大きな手がかりになります。
検査そのものは可能ですが、症状の経過をうかがったうえで項目を選ばないと、結果の解釈ができず、かえって不安を強めてしまうことがあります。まずは診察でお話をうかがい、必要な検査をご提案する形をおすすめしています。
成人発症の食物アレルギーは、自然に反応がなくなることは多くありません。ただし、反応の強さや、症状が出る量が変わることはあります。だからこそ定期的に経過を確認し、除去する範囲が今も適切かを見直していくことが大切です。
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