胃がん
胃がん
胃がんの早期発見と胃内視鏡検査
胃がんは、早く見つかれば内視鏡だけで治せることの多いがんです。一方で、早期の段階ではほとんど症状がなく、「胃の調子が悪くないから大丈夫」という判断が発見を遅らせてしまいます。当院では、ピロリ菌感染の有無や胃粘膜の状態からリスクを見きわめ、その方に合った間隔で内視鏡検査を続けていく診療を行っています。
当てはまるものがあれば、症状の有無にかかわらず一度お話をうかがわせてください。検査を受ける必要があるのか、あるとすればどの間隔で受けるのかを、一緒に整理します。
国立がん研究センターの統計では、2023年に新たに胃がんと診断された方は約10万5千人、2024年に胃がんで亡くなった方は約3万8千人でした。全体の5年相対生存率は66.1%(2018年診断例)ですが、これは進行した状態で見つかった方を含めた数字です。胃の中にとどまっている段階で見つかった場合、5年相対生存率は9割を超えます。早期であれば、開腹手術ではなく内視鏡で粘膜を切除し、胃を残せることも少なくありません。
早期の胃がんは、ほとんど症状を出しません
胃の壁の表面にとどまっている段階では、痛みも、つかえ感も、体重の減少も起こらないのが普通です。実際に、早期胃がんの多くは症状ではなく検診や別の目的で受けた内視鏡で見つかっています。逆に、はっきりした症状が出てから受診した場合、すでに進行していることがあります。
胃もたれや痛みといった症状は、胃炎や機能性ディスペプシアなど、がん以外の原因で起こることのほうがはるかに多いものです。症状の強さと病気の重さは一致しません。だからこそ、症状の有無とは別に、リスクに応じて定期的に見ておく必要があります。
胃薬でよくなったことが、安心の理由にはなりません
市販薬や胃酸を抑える薬で症状が和らぐことは、胃がんであっても起こり得ます。症状が軽くなったために受診が先延ばしになり、その間に進行してしまうことは避けたい経過です。薬で様子を見る前に、一度胃の中を見ておくことをおすすめします。
胃がんの多くは、ピロリ菌の感染によって長い年月をかけて進んだ胃炎(萎縮性胃炎)を土台に発生します。つまり「今、胃がんがあるか」だけでなく、「これから胃がんが出てきやすい胃かどうか」を知ることが、検査の間隔を決めるうえで重要になります。
胃がんの最大の原因です。感染が続くと胃の粘膜に慢性的な炎症が起こり、萎縮性胃炎へと進みます。感染がわかった場合は、除菌治療によってその後の胃がんの発生を減らせることが示されています。
除菌後もリスクはゼロにはなりません。感染していた期間に進んだ萎縮が残るため、そこから胃がんが発生することがあります。除菌後こそ、定期的な内視鏡検査を続けることが大切です。
胃の粘膜が薄くなり、腸のような粘膜に置き換わった状態です。範囲が広いほど胃がんが発生しやすくなります。内視鏡で観察すれば、その程度を評価できます。
親や兄弟姉妹に胃がんの方がいる場合、リスクは高くなります。同居によるピロリ菌の感染歴が共通していることも多く、ご自身の感染の有無を確認する意味があります。
喫煙は胃がんのリスクを確実に高めます。塩分の多い食品を習慣的にとることもリスクを上げると考えられています。いずれもご自身で変えられる要因です。
数は多くありませんが、感染したことがない方にも胃がんは起こります。若い方や女性に見られるタイプもあり、「陰性だから一生受けなくてよい」とは言い切れません。
症状の内容やこれまでの経過をうかがったうえで、必要な検査を選びます。検査そのものより、結果をどう次につなげるかを重視しています。
| 胃内視鏡検査 (胃カメラ) |
胃の中を直接観察する検査です。粘膜の色や凹凸をその場で確かめられるほか、気になる部分があれば組織を採って(生検)調べられます。同時に食道や十二指腸も観察するため、逆流性食道炎や潰瘍の有無もわかります。ピロリ菌感染や萎縮の程度もあわせて評価します。 |
|---|---|
| ピロリ菌の検査 | 内視鏡で採った組織を用いる方法のほか、尿素呼気試験、血液・尿・便を用いる方法があります。除菌後に成功したかどうかを確かめる判定も行います。 |
| ピロリ菌の除菌治療 | 抗菌薬と胃酸を抑える薬を1週間内服します。1回目で除菌できなかった場合は、薬を替えて2回目を行います。健康保険で除菌治療を受けるには、内視鏡でピロリ菌による胃炎と診断されていることが必要です(血液検査で陽性というだけでは対象になりません)。 |
| 血液検査 | 貧血の有無や全身の状態を確認します。ペプシノゲン値とピロリ抗体を組み合わせたリスク分類(ABC分類)は、胃の状態を推定する参考にはなりますが、胃がんの有無を調べる検査ではありません。分類の結果だけで内視鏡の代わりにはならない点にご注意ください。 |
| 専門施設との連携 | がんが見つかった場合や、内視鏡治療・手術が必要と判断した場合は、連携する専門病院へ速やかにご紹介します。治療後の経過観察を当院で分担することもできます。 |
国の指針では、対策型の胃がん検診は50歳以上を対象に、胃部X線検査(バリウム)または胃内視鏡検査を2年に1回受けることが推奨されています(40歳代の方や、X線を選んだ方には年1回の実施が認められています)。ただしこれは、症状のない方全体に対する目安です。ピロリ菌感染や萎縮性胃炎がある方は、これより短い間隔での内視鏡検査が望ましい場合があります。
| バリウムと内視鏡の違い | どちらも胃がん検診として死亡率を下げる効果が認められています。内視鏡は粘膜を直接見られるため小さな病変を捉えやすく、その場で組織を採って診断を確定できる点が異なります。バリウムで「要精密検査」となった場合は、いずれにしても内視鏡での確認が必要です。 |
|---|---|
| ピロリ菌に感染している方 | まず除菌治療を行い、成功を確認します。そのうえで、萎縮の程度に応じて1〜2年ごとの内視鏡検査をご提案します。 |
| 除菌に成功した方 | 除菌後10年以上経ってから胃がんが見つかることもあります。自覚症状がなくても、定期的な内視鏡検査を続けてください。 |
| ピロリ菌に感染したことがない方 | リスクは低く、頻回の検査は必要ありません。国の指針に沿った間隔を目安とし、症状が出たときに改めて検討します。 |
| 症状がある場合 | 年齢や検診の間隔にかかわらず、健康保険での検査の対象になります。「次の検診まで待つ」必要はありません。 |
ENDOSCOPY
消化器内視鏡専門医が、胃の背景まで含めて観察します
当院は日本消化器内視鏡学会の専門医による検査を行っています。病変を探すだけでなく、ピロリ菌感染の有無、萎縮や腸上皮化生の広がりといった「胃がんが出てきやすい状態かどうか」まで評価し、次回の検査間隔をお伝えします。
FOLLOW UP
除菌後も、間隔を決めて追い続けます
胃がん対策で最も惜しいのは、一度検査を受けて安心し、その後が途切れてしまうことです。当院は内科のかかりつけ医として、生活習慣病や他の健診結果とあわせて経過を確認し、次に検査を受けていただく時期をご案内します。
DAILY LIFE
検査の後の生活まで、あわせてご相談ください
減塩や禁煙は、ご自身で取り組めるリスク低減策です。当院には管理栄養士が在籍し、食事の内容に踏み込んだ相談に対応できます。検査で異常がなかったにもかかわらず胃の不調が続く場合は、機能性ディスペプシアなどの可能性を検討し、漢方薬を含めた治療をご提案します。
診察でご相談ください
症状の経過、これまでに受けた検査、ピロリ菌の除菌歴、ご家族の病歴などをうかがいます。過去の検診結果や内視鏡の報告書、お薬手帳をお持ちいただくと、必要な検査の判断がしやすくなります。
検査日の予約と準備
検査の日時を決め、前日の食事や当日の絶食についてご説明します。血液をさらさらにする薬を服用中の方は、中止の要否を主治医と確認したうえで判断します。自己判断で中止しないでください。
検査当日
喉やお鼻の麻酔を行ってから観察します。所要時間は観察のみであれば5〜10分程度です。組織を採取した場合は、結果が出るまでに1週間ほどかかります。
結果の説明と、その後の計画
観察した画像をお見せしながらご説明します。ピロリ菌が陽性であれば除菌治療を行い、成功したかどうかの判定まで確認します。そのうえで、次回いつ検査を受けるとよいかを決めてお伝えします。
次の症状があるときは、検診の時期を待たずにご相談ください
吐血や大量の下血がある場合、意識がもうろうとする場合は、ためらわず救急要請をしてください。それ以外の症状であれば、まずは外来でご相談いただければ、必要な検査を判断します。
口から入れる方法のほかに、鼻から細い内視鏡を入れる方法があり、舌の付け根に触れにくいため吐き気が起こりにくいという特徴があります。ご希望や過去の経験をうかがったうえで、どの方法が向いているかをご相談します。以前つらい思いをされた方ほど、その時の状況を教えていただけると助かります。
バリウム検査も胃がん検診として有効な方法です。ただし、粘膜の色の変化でしか見分けられない早期の病変は捉えにくく、異常が疑われた場合は結局内視鏡での確認が必要になります。ピロリ菌の感染歴がある方や萎縮性胃炎を指摘されている方には、内視鏡をおすすめしています。
除菌によって胃がんの発生は減りますが、なくなるわけではありません。感染していた期間に進んだ粘膜の萎縮は残るため、そこから胃がんが出てくることがあり、除菌から10年以上経って見つかる例も報告されています。除菌が成功した後こそ、定期的な内視鏡検査を続けていただきたいと考えています。
一律には決まりません。ピロリ菌に感染したことがなく萎縮もない方と、除菌後で広い萎縮が残る方とでは、適切な間隔が異なります。当院では、内視鏡で見た胃の状態をもとに、その方に合った間隔をお伝えしています。国の指針で示されている「50歳以上・2年に1回」は、症状のない方全体に対する目安とお考えください。
あります。むしろ症状のない段階で見つけることが、内視鏡だけで治療を終えられるかどうかの分かれ目になります。早期胃がんの多くは無症状で発見されており、「調子が悪くないこと」は胃がんがないことの証明にはなりません。
ご家族に胃がんの方がいる場合は、ご自身のピロリ菌感染の有無をまず確認することをおすすめします。感染がわかれば年齢にかかわらず除菌の対象になり、その後の検査間隔もそれに応じて決めていきます。40歳代であっても、一度ご相談いただく価値があります。
胃の症状がある場合や、バリウム検査で精密検査が必要と判断された場合は、健康保険での検査となります。症状がまったくない方が検診として受ける場合は、自治体の胃がん検診の対象になるか、自費での検査になります。どちらに当てはまるかは、診察の際にご案内します。
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