リウマチ・膠原病
リウマチ・膠原病
CONNECTIVE TISSUE DISEASE
膠原病・リウマチ性疾患
膠原病は、本来は細菌やウイルスに向かうはずの免疫が自分自身の体を攻撃してしまう病気の総称です。関節、皮膚、筋肉、血管、そして肺や腎臓といった臓器に炎症が起こります。はじまりは「なんとなく調子が悪い」という漠然とした不調であることが多く、複数の科を回ったまま診断に至らない方も少なくありません。当院では、原因のはっきりしない発熱や関節痛、健診での異常値をきっかけに必要な検査を行い、専門医療機関と役割を分けながら診療にあたっています。
当てはまるものがあれば、症状が軽いうちにお話をうかがわせてください。膠原病を考えるべきかどうかを確かめる手順は決まっており、検査を進める必要があるかどうかは診察の場で整理できます。
膠原病とは、全身の結合組織(体のあらゆる場所で組織どうしをつなぎ、支えている部分)に免疫の異常による炎症が起こる、いくつもの病気をまとめた呼び名です。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性強皮症などが含まれます。決して珍しい病気ではなく、たとえば関節リウマチだけでも、国内の患者数は60万人から100万人と推定されています。
一つひとつの症状は、ありふれたものです
だるさ、微熱、関節の痛み、手の冷え、目や口の乾き。どれも単独では珍しくない症状で、それぞれ別の科で相談すると、別々の説明がついてしまうことがあります。膠原病は、こうした症状が同じ時期に、重なって、長く続くところに特徴があります。
一方の科では「異常なし」と言われ、もう一方では別の診断がついたまま、全体像が見えないまま時間が過ぎてしまう。膠原病でしばしば起こることです。全身を一度に見渡して並べ直すと、それまで別々に見えていた症状が一つの線でつながることがあります。
自己抗体が陽性というだけでは、診断にはなりません
抗核抗体(ANA)やリウマトイド因子(RF)は、膠原病を考えるときによく用いられる検査ですが、健康な方でも一定の割合で陽性になります。とくに低い抗体価では、症状のない方にもしばしば見られます。つまり「陽性=病気」ではありません。
大切なのは、症状があるかどうか、そして抗DNA抗体や抗CCP抗体といった特異性の高い自己抗体、補体の低下、尿や血球の異常、臓器の所見が伴っているかどうかです。陽性と言われて不安を抱えたままにせず、一度整理にお越しください。何もなければ「今は心配ない」とお伝えできますし、経過を見るべき場合はその間隔をご提案します。
同じ膠原病でも、現れ方も治療も病気ごとに異なります。また、一つの病気にきれいに当てはまらず、複数の特徴が混ざる方や、時間の経過とともに診断が定まってくる方もおられます。
膠原病の始まりには、本人も「病気」と結びつけにくい変化が現れます。次のようなサインは、診察でぜひお聞かせください。
| レイノー現象 | 寒さや緊張で指先が白くなり、続いて紫、赤へと色が変わります。膠原病、とくに強皮症や混合性結合組織病では、他の症状に何年も先立って現れることがあります。単なる冷え症と片づけず、一度ご相談ください。 |
|---|---|
| 朝のこわばり | 起床時に手指が固まって動かしにくく、その状態が長く続きます。使い過ぎによる痛みとは異なり、体を動かしているうちに楽になっていくのが特徴です。こわばりの続く時間は、炎症の強さを知る手がかりになります。 |
| 説明のつかない発熱 | 感染症を思わせる所見がないのに、微熱や発熱が数週間以上続きます。強い倦怠感、寝汗、体重減少を伴うときは、炎症が全身に及んでいる可能性を考えます。 |
| 目と口の乾き | 目がごろごろする、水がないとパンや米が飲み込みにくい、虫歯が急に増えた。年齢や薬の影響のこともありますが、シェーグレン症候群でみられる代表的な症状です。 |
| 皮膚の変化 | 指先の皮膚が硬くつまみにくい、指が細くなった、日光に当たった部分に発疹が出る、指先に治りにくい潰瘍ができる。皮膚は、体の中で起きていることが最も見えやすい場所です。 |
| 咳と息切れ | 痰のない乾いた咳が続く、坂道や階段で以前より息が切れる。膠原病に伴う間質性肺炎は、自覚症状が乏しいまま進むことがあり、関節や皮膚の症状より先に見つかることもあります。 |
| 健診の異常値 | 炎症反応(CRP・赤沈)の高値、尿蛋白や尿潜血、白血球・血小板の減少、貧血、肝機能や腎機能の異常。自覚症状がない時期に、検査値だけが先に動くことがあります。 |
症状の経過をうかがったうえで、必要な検査を選びます。まず感染症や甲状腺の病気、貧血、薬の影響など、似た症状を起こす他の原因を確かめ、そのうえで自己抗体と臓器の状態を調べるという順序で進めます。
| 問診と診察 | 最も情報量の多い検査です。症状の始まった時期と順序、左右差、日内変動、日光や寒さとの関係、家族歴、服用中の薬を丁寧にうかがいます。関節の腫れや圧痛、皮膚、爪のまわりの血管、筋力、口や目の乾きを実際に確認します。 |
|---|---|
| 血算・生化学・炎症反応 | 白血球やリンパ球、血小板の減少、貧血の有無を確認します。肝機能、腎機能、筋肉の酵素(CK)、CRPや赤沈といった炎症の指標をあわせて調べ、他の病気との区別と、臓器がどの程度影響を受けているかの評価に用います。 |
| 抗核抗体 (ANA) |
多くの膠原病で陽性となる、出発点の検査です。ただし健康な方でも陽性になることがあるため、抗体価と染色パターン、そして症状とあわせて判断します。陰性であれば、可能性の高い病気をかなり絞り込めます。 |
| 疾患ごとの自己抗体 | 症状から考えられる病気に応じて選びます。抗CCP抗体・リウマトイド因子(関節リウマチ)、抗DNA抗体・抗Sm抗体(SLE)、抗SS-A/SS-B抗体(シェーグレン症候群)、抗RNP抗体(MCTD)、抗Scl-70抗体・抗セントロメア抗体(強皮症)、ANCA(血管炎)などです。 |
| 尿検査・腎機能 | 腎臓の炎症は、初期には自覚症状がありません。尿蛋白、尿潜血、尿沈渣を確認し、必要に応じて尿蛋白/クレアチニン比で蛋白の量を評価します。症状のない時期にこそ意味のある検査です。 |
| 胸部X線・間質性肺炎の評価 | 乾いた咳や息切れがある場合、また強皮症や筋炎が疑われる場合には、胸部X線と血液検査(KL-6など)で間質性肺炎の有無を確認します。より詳しい評価が必要なときは、胸部CTの撮影を連携医療機関に依頼します。 |
| 専門施設との連携 | 膠原病が強く疑われる場合、腎生検や筋生検が必要な場合、臓器に及ぶ活動性の高い病態が疑われる場合は、膠原病・リウマチの専門医療機関へ速やかにご紹介します。診断の確定と治療方針の決定は専門施設で行うことを基本としています。 |
治療は、炎症を鎮めて症状を落ち着かせる段階と、その状態を保ちながら薬の量を減らしていく段階に分けて考えます。同じ膠原病でも、どの病気か、どの臓器にどの程度の炎症があるかによって選ぶ薬は大きく変わります。だからこそ、診断を正確につけることが出発点になります。
| 抗リウマチ薬 | 関節リウマチの治療の中心となる薬で、メトトレキサートが基本になります。痛みを抑えるだけでなく、関節が壊れていくのを食い止めることが目的です。効果が不十分な場合には、生物学的製剤やJAK阻害薬を検討します。 |
|---|---|
| ステロイド | 炎症が強いときに、短期間で鎮めるために使います。効果は高い一方、長く続けると骨粗鬆症、糖尿病、感染症、動脈硬化といった副作用が問題になります。減量の見通しを立てながら使い、できるだけ少ない量で維持することを目指します。 |
| 免疫抑制薬 | ステロイドを減らすと再燃してしまう場合や、腎臓や肺など重要な臓器に炎症が及ぶ場合に用います。ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン、タクロリムス、シクロホスファミドなどがあり、定期的な血液検査で血球や肝腎機能を確認しながら継続します。 |
| ヒドロキシクロロキン | 全身性エリテマトーデスでは治療の土台となる薬です。皮膚や関節の症状を和らげるだけでなく、再燃を減らし、臓器障害の蓄積を抑えることが知られています。網膜への影響を確認するため、開始前と定期的な眼科受診が必要です。 |
| 症状に応じた治療 | レイノー現象には保温とカルシウム拮抗薬、目や口の乾きには点眼薬や唾液を促す薬、逆流性食道炎には胃酸を抑える薬というように、免疫を抑える治療とは別に、日々の困りごとへの対応を組み合わせます。生活の質に直結する部分です。 |
| 合併症の予防 | 免疫を抑える治療中は、感染症が最も注意すべき合併症になります。インフルエンザや肺炎球菌などのワクチン、体調不良時の早めの受診が重要です。ステロイドを続ける場合は骨粗鬆症の予防、長期的には脂質異常症や高血圧、動脈硬化への対策もあわせて行います。 |
| 禁煙・紫外線対策 | 喫煙は関節リウマチの発症と悪化に関わり、薬の効きも弱めます。禁煙は治療の一部と考えてください。また紫外線は、SLEをはじめとする病気で皮膚症状や全身の再燃の引き金になります。日焼け止め、帽子、衣類での遮光を一年を通じて続けてください。 |
医療費の助成を受けられる場合があります
膠原病のうち、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、混合性結合組織病、各種の血管炎などは指定難病に定められています。重症度の基準を満たす場合、または一定以上の医療費が続いている場合(軽症高額該当)には、申請により医療費の自己負担に上限が設けられます。申請には難病指定医が作成する臨床調査個人票が必要です。制度の内容や手続きの進め方については、診察の際にご説明します。
SCREENING
「原因がわからない不調」を、内科として一度に整理します
だるさ、微熱、関節痛、手の冷え、健診の異常値。それぞれ別の科で相談すると、全体像が見えにくくなることがあります。当院では、まず甲状腺、貧血、感染症、薬の影響といった頻度の高い原因を確かめたうえで、必要なら自己抗体と尿の検査に進みます。膠原病を考えるべきかどうかを判断する材料を、一度の受診でそろえることを目指しています。
CO-MANAGEMENT
専門施設と役割を分け、通いやすさを保ちます
診断の確定、生検、治療方針の決定や強い治療の導入は、膠原病・リウマチの専門医療機関が担います。一方、状態が安定している時期の処方、月々の血液検査と尿検査、副作用や感染症への対応などは、通院しやすい当院で分担できる場合があります。どこで何を診るのかをはっきりさせておくことを大切にしています。
COMORBIDITY
長く付き合ううえでの合併症にも、内科として目を配ります
治療が長くなると、骨粗鬆症、脂質異常症、高血圧、糖尿病、動脈硬化といった問題が重なってきます。これらは病気そのものと同じくらい、その後の生活を左右します。当院は一般内科として、こうした併存疾患の管理、予防接種、健診結果の解釈まで含めて継続的に対応します。
NUTRITION
食事の悩みには、管理栄養士が個別に対応します
ステロイドを使っている時期は、体重の増加、血糖や血圧の上昇、骨の弱まりが気になります。当院には管理栄養士が在籍し、減塩、たんぱく質やカルシウムの取り方、間食との付き合い方など、生活に沿った形で相談に応じます。腎臓に炎症がある方、飲み込みにくさのある方には、その時期に合わせた食べ方をご提案します。
KAMPO
標準的な治療を土台に、残る症状への対応も相談できます
炎症が落ち着いた後も、疲れやすさ、冷え、手指のこわばり、乾燥感、気分の落ち込みが残ることがあります。当院は漢方専門医としての診療も行っており、標準的な治療を続けたうえで、残る症状に漢方薬を併用する選択肢をご提案できます。標準治療に置き換えるものではなく、あくまで補う位置づけとして検討します。
診察でご相談ください
症状がいつから、どのような順序で現れているか、こわばりや皮疹、日光や寒さとの関係、これまでに受けた検査や治療についてうかがいます。過去の血液検査や健診の結果、お薬手帳をお持ちいただくと判断がしやすくなります。他院で診断を受けている方は、紹介状があればご持参ください。
血液と尿の検査で、全身の状態を確かめます
炎症の程度、血球の減少、腎臓や肝臓、筋肉の状態を確認し、あわせて抗核抗体などの自己抗体を調べます。甲状腺の病気や感染症など、似た症状を起こす他の原因もこの段階で確かめます。必要に応じて胸部X線も撮影します。結果が出るまでには数日から1週間ほどかかります。
結果をご説明し、方針を決めます
検査の意味を一つずつご説明します。膠原病が疑われる場合は、確定診断と治療方針の決定のため、膠原病・リウマチの専門医療機関へご紹介します。膠原病らしくない場合も、症状の原因として何を考え、次に何を確かめるかをお伝えします。今の時点で判断がつかない場合は、どのくらいの間隔で見直すかをご提案します。
安定した後の通院を分担します
専門施設で治療方針が決まり、状態が落ち着いた後は、日常の処方と定期的な血液・尿検査を当院で担当できる場合があります。再燃の兆しを早くつかむこと、副作用と感染症に備えること、そして治療を長く続けられる形に整えることが、この時期の目的です。
次の症状があるときは、次回の予約を待たずにご相談ください
けいれん、意識がもうろうとする、片側の手足が動かない、突然の激しい胸痛や呼吸困難といった場合は、ためらわず救急要請をしてください。それ以外の症状であれば、まずは外来でご相談いただければ、必要な対応を判断します。
重なりの大きい言葉です。膠原病は、免疫の異常によって全身の結合組織に炎症が起こる病気の総称で、関節リウマチはそのなかで最も患者数の多い病気です。医療の現場では「リウマチ・膠原病」とひとまとまりで扱われることが多く、診療する科も同じです。なお、加齢に伴う変形性関節症は免疫の病気ではなく、別のものです。
それだけでは判断できません。抗核抗体は健康な方でも一定の割合で陽性になり、とくに低い抗体価では珍しくありません。大切なのは、症状があるかどうか、抗DNA抗体などの特異性の高い自己抗体や補体の低下、尿や血球の異常を伴っているかどうかです。診察と追加の検査で整理できますので、不安を抱えたままにせずご相談ください。
親から子へそのまま受け継がれる病気ではありません。ただし、なりやすさに関わる体質が家族内で共有されることはあり、血縁者に膠原病や甲状腺の病気がある方では、ご本人の発症頻度がやや高くなることが知られています。心配な症状がなければ、予防のために特別な検査を受ける必要はありません。気になる症状が出たときに、家族歴を含めてご相談ください。
病気によりますが、薬で完全に治しきることは難しいものが多いのが現状です。ただし治療によって症状のない状態を長く保つことは十分に可能で、多くの方が仕事や学業、妊娠・出産を含めた生活を続けておられます。目標は「治す」ことよりも、「炎症のない状態をいかに長く保ち、臓器の傷みを積み重ねないか」に置かれます。
一度ご相談ください。指先が白から紫、赤へと色を変えるレイノー現象は、膠原病、とくに全身性強皮症や混合性結合組織病で、他の症状に何年も先立って現れることがあります。冷え症との区別は、色の変化がはっきり境目をもって起こるかどうかが目安になります。検査で他の異常がなければ、保温と生活の工夫で対応していきます。
あります。膠原病の治療薬の多くは、症状を抑えるためだけでなく、症状のない時期に炎症がくすぶるのを防ぎ、関節や臓器の障害が積み重なるのを抑えるために続けます。自己判断での中断は再燃の引き金になります。減量や中止を考える場合は、検査所見をふまえて相談のうえで判断しますので、まずはご相談ください。
可能です。ただし、病気の勢いが落ち着いている時期に、計画的に進めることが前提になります。薬のなかにはメトトレキサートのように妊娠前に中止が必要なものがあり、一方で妊娠中も続けたほうがよい薬もあります。また、抗SS-A抗体や抗リン脂質抗体を持つ方では、妊娠中に特別な注意が必要です。妊娠を考え始めた段階で、早めに主治医とご相談ください。
特定の食品で膠原病が治ることはありません。ただし、ステロイドを使っている時期の減塩やカルシウム、免疫を抑える治療中の食中毒への注意など、時期に応じて気をつけたい点はあります。とくに、免疫を高めるとうたう健康食品には、症状を悪化させる可能性が指摘されているものがあります。市販薬を含め、使っているものがあれば診察の際にお知らせください。当院では管理栄養士による個別の栄養相談も行っています。
標準的な治療を続けたうえで、残る症状に漢方薬を併用することは選択肢になります。冷えやレイノー現象、こわばり、疲れやすさ、乾燥感などが対象になりやすい症状です。ただし自己判断での使用はおすすめできません。当院は漢方専門医として、現在の治療内容と検査所見をふまえたうえで、適否と使い方をご提案します。
状態が安定している方であれば、日常の処方と定期的な血液・尿検査を当院で担当し、必要な時期に専門施設へつなぐという形をとれます。合併症の管理や予防接種、体調を崩したときの初期対応もお引き受けします。まずは現在の治療内容がわかる資料をお持ちのうえ、ご相談ください。
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