胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
「みぞおちが痛む」「空腹時や夜中に胃が痛くなる」「市販薬でしのいでいる」——胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、原因を突き止めれば治し切ることができ、再発も防げる病気です。一方で、痛みがないまま出血や穿孔として現れることもあります。当院では消化器内視鏡専門医が潰瘍そのものを確認し、ピロリ菌の有無や服用中のお薬まで含めて原因を整理したうえで、繰り返さないための治療を組み立てます。
胃の痛みは「よくあること」として流されがちですが、潰瘍は原因が比較的はっきりしている病気です。何が潰瘍をつくっているのかを確かめれば、治すだけでなく、再発を防ぐところまで見通しが立てられます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の多くは、ピロリ菌の感染か、痛み止めなどの薬剤によって起こります。「ストレスでできた」と説明されることの多い病気ですが、原因をそこで終わらせてしまうと、同じことが繰り返されます。まずどの背景に当てはまるのかを見極めることが出発点です。
痛みがないことは、潰瘍がないことを意味しません
とくに痛み止めや低用量アスピリンを服用している方、高齢の方では、痛みをほとんど感じないまま潰瘍が進み、吐血・黒い便・貧血といった出血の症状で初めて見つかることがあります。症状の強さと潰瘍の深さは必ずしも一致しません。危険な兆候があれば、痛みの有無にかかわらずご相談ください。
症状を抑えることと、再発を防ぐことは別です
胃酸を抑える薬は潰瘍をよく治しますが、原因そのものには手が届きません。ピロリ菌がいるなら除菌を、原因が薬剤ならその薬の見直しを行わなければ、薬をやめた後に同じことが起こります。当院では「今の潰瘍を治す」ことと「次をつくらない」ことを、はじめから分けて考えて治療を組み立てます。
症状の出方と服用中のお薬をうかがったうえで、必要な検査を選びます。潰瘍が疑われる場合、診断の中心になるのは内視鏡検査です。
| 上部消化管内視鏡検査 (胃カメラ) |
潰瘍の有無、部位、深さ、出血しやすい状態かどうかを直接確認します。治りかけているのか、活動期なのかという段階も判断できます。食道から十二指腸まで観察するため、みぞおちの症状を起こす他の病変もあわせて調べられます。 |
|---|---|
| 生検・病理検査 | 胃潰瘍では、内視鏡の際に潰瘍の縁から組織を採取して調べます。見た目が似ているくぼみ型の胃がんを除外するために必要な手順で、同時にピロリ菌の感染や胃粘膜の炎症の程度も評価できます。 |
| ピロリ菌検査 | 尿素呼気試験、便中抗原検査、血液の抗体検査、内視鏡時の迅速検査などから、状況に応じて適した方法を選びます。除菌後には、成功したかどうかを確かめる判定検査を必ず行います。 |
| 血液検査 | 貧血の有無とその程度、炎症の状態を確認します。じわじわとした出血が続いている場合、自覚症状より先に検査値に変化が出ることがあります。 |
| 便潜血検査 | 目に見えない出血の手がかりとして用います。ただし陰性であっても潰瘍を否定できるものではないため、あくまで補助的な位置づけです。 |
| 腹部超音波検査 | 胆のう、膵臓、肝臓など、みぞおちの痛みを起こしうる他の臓器の状態を確認します。潰瘍以外の原因を見落とさないための検査です。 |
潰瘍の治療は、酸を抑えて粘膜を治すことと、原因を取り除くことの二本立てで進めます。どちらが欠けても、治療は途中で終わってしまいます。
| 酸分泌抑制薬 (P-CAB・PPI) |
胃酸の分泌を強く抑え、潰瘍を治す薬です。治療期間は潰瘍の部位によって目安が定められており、症状が消えても粘膜が治り切るまでには時間がかかります。痛みが取れた時点で自己判断で中止しないことが、再発と出血を防ぐうえで重要です。 |
|---|---|
| ピロリ菌の除菌治療 | 感染が確認された場合、抗菌薬と酸分泌抑制薬を組み合わせて1週間内服します。一度目で除菌できなかった場合は、薬を変えて二次除菌を行います。潰瘍で除菌を行う場合は保険診療の対象です。除菌が成功すれば、潰瘍の再発は大きく減ります。 |
| 原因となる薬剤の見直し | 痛み止めが原因の場合、可能であれば中止や変更を検討します。心臓や血管の病気のために抗血栓薬を続ける必要がある方には、胃を守る薬を併用しながら継続する方法をとります。これらの薬を自己判断で中止すると危険ですので、必ずご相談ください。 |
| 漢方薬 | 潰瘍そのものを治す土台はあくまで酸分泌抑制薬と除菌治療ですが、みぞおちのつかえ、胃もたれ、食欲低下といった残る症状に対して、体質と症状の出方を診たうえで漢方薬を組み合わせることがあります。西洋薬との併用が可能です。 |
| 食事・生活習慣の調整 | 管理栄養士による栄養指導を行い、治療期の食事のとり方から、治った後に続けられる形までを具体的に組み立てます。禁煙と飲酒の見直しは、治りの早さと再発率に直接関わります。 |
| 出血・穿孔への対応 | 出血している潰瘍には内視鏡による止血処置が必要です。穴が開いている(穿孔)場合や大量出血が疑われる場合は、入院・手術が可能な医療機関へ速やかにご紹介し、連携して対応します。 |
すべてを一度に変える必要はありません。ご自身の潰瘍にとって影響の大きいものから取り組んでいただけるよう、診察のなかで優先順位をつけてご説明します。
ENDOSCOPY
消化器内視鏡専門医が、潰瘍を見て診断し、がんとの鑑別まで行います
当院では消化器内視鏡専門医・消化器病専門医が内視鏡検査を担当します。潰瘍の段階を評価するだけでなく、くぼみ型の胃がんが隠れていないかを組織検査で確かめ、治療後には治癒の確認まで責任をもって行います。
ERADICATION
ピロリ菌の除菌を、判定まで見届けます
除菌治療は、薬を飲み終えた時点では完了しません。一定期間をおいて成否を判定し、除菌できていなければ次の治療に進む必要があります。当院では判定検査の時期をあらかじめお伝えし、除菌後の胃の状態を定期的に確認する体制まで含めてご案内します。
KAMPO
漢方専門医として、治った後に残る症状にも向き合います
潰瘍が治っても、胃もたれや食欲の落ち込みが続く方は少なくありません。当院は漢方専門医としての診療も行っており、体質や症状の出方を診たうえで漢方薬を組み合わせます。標準的な治療を土台にしながら、その先の選択肢を持てることが強みです。
NUTRITION
管理栄養士とともに、食事の中身まで踏み込みます
当院には管理栄養士が在籍し、栄養指導を行える体制を整えています。「刺激物を控えましょう」で終わらせず、治療中に何をどう食べるか、治った後に何を続けるかを、実際の生活に合わせて具体的に組み立てます。
問診で症状と服薬状況をうかがう
痛みが出る時間帯、食事との関係、これまでの経過をうかがいます。潰瘍では原因薬剤の確認が特に重要ですので、市販薬やサプリメントも含め、現在お使いのお薬が分かるものを必ずお持ちください。健診でピロリ菌を指摘された記録があれば、あわせてご持参ください。
内視鏡検査で潰瘍と原因を確かめる
潰瘍の有無と状態を確認し、必要に応じて組織を採取します。同じ機会にピロリ菌の感染についても調べられます。検査の受け方についてはご希望をうかがったうえで決めますので、不安な点は遠慮なくお伝えください。
結果を照らし合わせて治療方針を決める
潰瘍の状態、組織検査の結果、ピロリ菌の有無、服用中の薬を突き合わせ、何が潰瘍をつくったのかを整理してご説明します。そのうえで、治療期間と除菌の要否をお伝えします。
治し切り、再発しない状態まで確認する
酸分泌抑制薬で潰瘍を治し、ピロリ菌がいる場合は除菌を行って判定まで進めます。治癒の確認と、その後の胃の状態を診ていくところまでを一連の治療と考え、かかりつけ医として継続して拝見します。
次の症状があるときは、市販薬で様子を見ずにご相談ください
これらは潰瘍からの出血や、他の病気が隠れているときに現れやすい症状です。なお、突然の激しい腹痛が続き、お腹が板のように硬くなる場合は、潰瘍に穴が開いている(穿孔)可能性があります。この場合は受診をお待ちいただかず、ただちに救急要請をしてください。
ストレスは潰瘍を悪化させる要因ではありますが、それだけで説明がつくことはむしろ少数です。実際にはピロリ菌の感染か、痛み止めなどの薬剤が背景にあることが大半で、そこに生活の負荷が重なって発症します。ストレスを原因として納得してしまうと、除菌や薬の見直しという打つ手を逃すことになります。まずは調べられる原因を確かめることをおすすめします。
症状が抑えられていても、潰瘍が治っているとは限りません。また、くぼみ型の胃がんは市販薬で一時的に症状が和らぐことがあり、それが受診の遅れにつながることもあります。とくに数週間以上市販薬を使い続けている方、やめると再発する方は、一度内視鏡で状態を確かめておく意味があります。
潰瘍があってピロリ菌の感染が確認された場合、除菌は再発を防ぐうえで最も効果の大きい治療です。将来の胃がんのリスクを下げることにもつながります。副作用としては下痢や軟便、味覚の変化、発疹などが起こることがありますが、多くは内服終了とともに改善します。事前に起こりうることと対処法をご説明し、途中で気になる症状が出た場合の連絡方法もお伝えしたうえで開始します。
あります。抗菌薬が効きにくい菌の場合、一度目の治療で除菌できないことがあり、その際は薬の組み合わせを変えて二次除菌を行います。除菌できたかどうかは飲み終えた時点では分からないため、一定期間をおいてから判定検査を行うことが必要です。判定を受けずに終わってしまう方が少なくないため、当院では検査の時期を明確にお伝えしています。
自己判断での中止は避けてください。とくに心筋梗塞や脳梗塞の予防に使われている薬を中止すると、重い合併症につながる危険があります。実際の診療では、薬を続ける必要性と潰瘍のリスクを比べたうえで、胃を守る薬を併用しながら継続する、あるいは処方元の医師と相談して種類を調整するといった方法をとります。まずは現在の処方内容をお持ちください。
良性の潰瘍がそのままがんに変わるわけではありません。問題になるのは、はじめから胃がんであったものが潰瘍のように見えている場合です。この2つは内視鏡の見た目だけでは確実に区別できないため、組織を採って調べ、治療後にもう一度確認します。なお、潰瘍の原因であるピロリ菌の感染自体は、胃がんのリスクを高めることが分かっています。
潰瘍がきちんと治り切っているかを確認するためと、初回では判断し切れなかったがんの可能性を改めて確かめるためです。症状は治療開始後まもなく消えることが多い一方、粘膜が治るまでには時間差があります。「症状が消えた」ことと「治った」ことを一致させるための確認と考えていただければと思います。
かつて言われたような厳格な食事制限は、現在では必須とされていません。治療の中心は薬と原因の除去です。ただし、症状が出ている時期に刺激の強いものを控える、食事の間隔を空けすぎない、空腹での飲酒を避けるといった工夫は役立ちます。当院では管理栄養士が、治療中と治癒後それぞれについて、続けられる形をご提案します。
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