急性胃炎
急性胃炎
急性胃炎
急性胃炎は、胃の粘膜に急に炎症が起こり、みぞおちの痛みや吐き気として現れる状態です。痛み止めの服用、飲みすぎ、強いストレス、生魚に潜む寄生虫など、はっきりした引き金があることが多く、原因を取り除けば数日で落ち着きます。一方で、同じような痛みは心臓や膵臓、胆のうの病気でも起こり、なかには急を要するものが含まれます。また「急性胃炎」と言われ続けている症状の中には、別の病気が隠れていることもあります。当院では、急ぐべき状態かどうかを見極めたうえで治療を行い、繰り返している方には原因を確かめる検査までを担当しています。
吐血や黒い便を伴う場合、痛みが強く続く場合は、様子を見ずにご相談ください。原因によって対応がまったく異なります。
みぞおちの痛みは胃から来ることが最も多いのですが、その周囲には心臓、膵臓、胆のう、腸があり、いずれも似た場所の痛みを起こします。まずここを整理することが、診察の最初の役割です。
みぞおちの痛みが、胃以外から来ていることがあります
心筋梗塞の一部は、胸ではなくみぞおちの痛みとして現れます。急性膵炎では背中に抜ける痛みが続き、胆石の発作では右上腹部からみぞおちにかけて強く痛みます。冷や汗を伴う、痛みが持続して和らがない、背中まで痛む、息苦しさがあるといった場合には、これらを念頭に置く必要があります。
当院では、痛みの出方と診察所見、血液検査、腹部超音波、必要に応じて心電図を組み合わせて、急を要する状態でないかをまず確認します。胃薬を出す前に確かめるべきことがある、という考え方をとっています。
生魚を食べた後の激痛は、アニサキスを考えます
サバ、アジ、イカ、サンマ、カツオなどの生魚を食べて数時間から半日ほどで、これまで経験したことのない強い腹痛が起こる場合、寄生虫であるアニサキスが胃の壁に入り込んでいる可能性があります。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
この場合、胃薬では良くなりません。内視鏡で虫体を確認して取り除くと、多くの方が速やかに楽になります。当院は内視鏡検査を院内で行っていますので、状況から疑われる場合には、検査を含めた対応を検討します。心当たりのある方は、何をいつ食べたかをお伝えください。
急性胃炎には、多くの場合はっきりした引き金があります。原因が分かれば、取り除くことがそのまま治療になります。
まず、急を要する病気でないことを確かめます。そのうえで、原因に応じた対応を決めます。何度も繰り返している方では、確かめておくべきことが変わります。
| 問診と診察 | 痛みがいつ始まり、どこがどのように痛むか、食事や飲酒、薬との関係、生魚を食べていないか、吐き気や発熱、便の色をうかがいます。おなかを押したときの痛み方から、急ぐ状態かどうかを判断します。お薬手帳は必ずご持参ください。 |
|---|---|
| 血液検査 | 炎症の程度、貧血の有無、膵臓や肝臓、胆道の状態を調べます。膵炎や胆のうの病気は、血液検査で見当をつけられます。嘔吐が続いている方では、脱水や電解質の状態も確認します。 |
| 腹部超音波検査 | 胆石や胆のうの炎症、膵臓の腫れ、腹水の有無を、被ばくなくその場で確認できます。痛みのある部位に当てながら評価できるため、みぞおちの痛みの原因を絞り込むのに役立ちます。 |
| 心電図 | みぞおちの痛みとして現れる心臓の病気を見逃さないために行います。冷や汗を伴う、締めつけられるような痛み、動くと悪化するといった特徴がある場合や、年齢や持病から危険が高いと判断される場合に実施します。 |
| 上部消化管 内視鏡検査 |
胃の粘膜の状態を直接確認します。びらんや潰瘍の有無、出血しているかどうか、アニサキスがいないかを調べられます。アニサキスが確認された場合は、その場で取り除くことで症状が速やかに改善します。症状や状況から必要と判断した場合には、速やかな実施を検討します。 |
| 繰り返す場合の 確認 |
「急性胃炎」を何度も繰り返している場合、背景に別の原因があることがあります。ピロリ菌の感染、胃潰瘍、機能性ディスペプシア、そして胃がんも含まれます。落ち着いている時期に一度内視鏡で確かめておくことをおすすめします。 |
原因を取り除くことが治療の中心です。多くは数日から1週間ほどで落ち着きます。症状を抑える薬と、食事の戻し方をあわせてお伝えします。
| 原因を取り除く | 痛み止めが原因であれば、中止できるものか、別の薬に変えられるかを検討します。飲酒が引き金であれば、しばらく控えていただきます。原因を残したまま胃薬だけを足しても、繰り返します。他院で処方されている薬も含めて整理します。 |
|---|---|
| 酸を抑える薬 | 胃酸を抑える薬(PPI・P-CAB)や粘膜を保護する薬を用います。粘膜のただれが強い場合や、痛み止めを続けざるを得ない場合には、しっかり効かせる必要があります。症状が落ち着けば、続ける必要性を見直します。 |
| アニサキスへの 対応 |
内視鏡で虫体を確認し、取り除きます。処置そのものは短時間で終わり、痛みは速やかに軽くなることがほとんどです。薬で虫を退治する方法はないため、疑わしい場合は内視鏡での確認が確実です。 |
| 食事と水分 | 症状の強い時期は無理に食べず、水分を中心に過ごしていただきます。嘔吐が続いて水分もとれない場合は点滴で補います。落ち着いてきたら、消化のよいものから少しずつ戻します。脂肪の多いもの、刺激物、アルコール、コーヒーはしばらく控えます。 |
| 漢方薬という 選択肢 |
急性期を過ぎても胃の不快感やもたれが残る方には、漢方薬を併用することがあります。冷えを伴う胃の痛みには安中散、みぞおちのつかえと吐き気には半夏瀉心湯、胃腸が弱って食欲が戻らない場合には六君子湯などを用います。当院は漢方専門医としての診療も行っており、状態に合わせて選びます。 |
| 繰り返さない ための対応 |
痛み止めを長く使う必要がある方では、胃を守る薬を併用する形を検討します。飲酒の量とタイミング、食事の内容、生活のリズムについても具体的にご相談します。ピロリ菌の感染が見つかった場合は、除菌をおすすめします。 |
「繰り返す急性胃炎」は、一度確かめておく意味があります
胃の症状が出るたびに「急性胃炎ですね」と胃薬を処方され、それを何年も繰り返している方がおられます。ところが、症状のもとが慢性の胃炎やピロリ菌の感染であったり、胃潰瘍や機能性ディスペプシアであったり、まれに胃がんであることもあります。急性胃炎は、原因を取り除けば治る病気です。同じ症状を繰り返しているのであれば、それは急性胃炎ではない可能性を考えるべきサインです。落ち着いている時期に一度内視鏡で確かめておくと、その後の対応が変わります。
TRIAGE
胃薬を出す前に、確かめるべきことを確かめます
みぞおちの痛みは、心臓、膵臓、胆のうの病気でも起こります。当院では診察に加え、血液検査、腹部超音波、必要に応じて心電図を院内で行い、急を要する状態でないかを先に確認します。安全を確かめたうえで治療に入ることを、順序として大切にしています。
ENDOSCOPY
アニサキスにも、内視鏡で対応できます
生魚を食べた後の激しい腹痛は、内視鏡で虫体を取り除くことで速やかに改善します。当院は消化器内視鏡専門医が在籍し、内視鏡検査を院内で実施しています。疑われる状況では、検査を含めた対応を検討しますので、いつ何を食べたかをお知らせください。
MEDICATION
原因になっているお薬を、整理します
急性胃炎の原因として最も多いのは痛み止めです。複数の医療機関から処方を受けている方では、全体を見る役割が必要になります。当院は一般内科として、お薬手帳をもとに、中止できるもの、変更できるもの、胃を守る薬を併用すべきものを整理します。
FOLLOW-UP
繰り返している方には、原因を確かめます
同じ症状を何度も繰り返しているなら、それは急性胃炎ではないかもしれません。ピロリ菌の検査から除菌、内視鏡による確認まで院内で行えます。症状が落ち着いた時期に一度調べておくことで、毎回同じ薬を飲む生活から抜け出せることがあります。
診察でご相談ください
痛みの始まり方と場所、食事や飲酒との関係、生魚を食べたかどうか、便の色をうかがいます。お薬手帳、市販薬を含めて飲んでいるもの、健診結果をお持ちください。他院で処方された痛み止めが原因になっていることがよくあります。
急を要する状態でないかを確かめます
診察に加え、血液検査、腹部超音波、必要に応じて心電図を行います。膵炎や胆のうの病気、心臓の病気が疑われる場合は、その時点で適切な対応をとります。入院が必要と判断した場合は、連携先を手配します。
原因に応じた治療を始めます
薬が原因であれば整理し、必要に応じて胃酸を抑える薬を処方します。食事の戻し方と、悪化したときにすぐ連絡いただく目安をお伝えします。アニサキスが疑われる場合は、内視鏡による確認と処置を検討します。
落ち着いた後の確認をします
症状が治まったら、繰り返している方や薬を長く使う必要のある方には、内視鏡やピロリ菌の検査をご案内します。原因を確かめておくことが、次に同じことを繰り返さないための備えになります。
次の症状があるときは、様子を見ずにご相談ください
冷や汗や息苦しさを伴う痛み、意識がもうろうとする、血圧が下がっているといった場合は、ためらわず救急要請をしてください。みぞおちの痛みは心筋梗塞や急性膵炎、消化管に穴があいた状態でも起こり、いずれも時間が結果を左右します。市販の胃薬で様子を見ずに、受診をお願いします。
軽い症状で、飲みすぎや食べすぎといった心当たりがはっきりしている場合は、数日様子を見ていただいて構いません。ただし、痛みが強い、吐血や黒い便がある、冷や汗を伴う、数日たっても良くならないという場合は受診してください。市販薬で症状が隠れると、他の病気の発見が遅れます。
アニサキスの場合、自然に治まることもありますが、強い痛みが続くことが多く、内視鏡で取り除くと速やかに楽になります。薬で虫を退治する方法はありません。何をいつ食べたかをお知らせいただければ、対応を判断します。冷凍や加熱をした魚では起こりませんので、生食との関連が手がかりになります。
自己判断での中止は避けてください。とくに、血液をさらさらにする目的で少量のアスピリンを飲んでいる方は、中止すると脳梗塞や心筋梗塞の危険が高まります。中止できるもの、別の薬に変えられるもの、続けながら胃を守る薬を併用すべきものを、処方元の状況も含めて整理します。
原因を取り除ければ、多くは数日から1週間ほどで落ち着きます。粘膜のただれが強い場合や潰瘍ができている場合は、数週間かかることもあります。症状が消えても薬を指示された期間は続けてください。逆に、2週間以上経っても良くならない場合は、別の原因を考える必要があります。
痛みや吐き気が落ち着いてきたら、おかゆやうどん、スープなど消化のよいものから始めます。脂肪の多いもの、香辛料、アルコール、コーヒー、炭酸飲料はしばらく控えてください。無理に食べる必要はありませんが、水分は意識してとってください。戻し方に迷う場合は、管理栄養士が具体的にご説明します。
なります。精神的な負担だけでなく、手術やけが、重い感染症といった体へのストレスでも、胃の粘膜に急な傷害が起こります。ただし「ストレスのせい」で片づけると、薬や飲酒、ピロリ菌といった取り除ける原因を見落とすことがあります。他の要因も一通り確認したうえで判断します。
体質と考える前に、確かめておきたいことがあります。急性胃炎は原因を取り除けば治る病気ですので、繰り返しているのであれば、慢性の胃炎やピロリ菌の感染、胃潰瘍、機能性ディスペプシアなど別の背景がある可能性があります。落ち着いている時期に一度内視鏡で確かめておくことをおすすめします。
場合によります。アニサキスが疑われる場合や、出血が疑われる場合は、症状のあるときに行う意味があります。一方、繰り返す症状の原因を調べる目的であれば、落ち着いた時期のほうが観察しやすくなります。どちらが適しているかは、診察のうえでお伝えします。ご希望に応じて鎮静剤を用いた検査にも対応しています。
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