胆石症
胆石症
胆石症
胆石症は、胆汁の成分が固まって、胆嚢や胆管の中に石ができる病気です。決して珍しいものではなく、その多くは健診の腹部エコーで偶然見つかります。胆嚢の中に石をお持ちの方のおよそ8割は自覚症状がなく、石があるというだけで治療が必要になるわけではありません。一方で、石が胆嚢の出口や胆管に詰まると、強い痛みや胆嚢炎、胆管炎、膵炎といった急を要する状態を招くことがあります。当院では、院内の腹部エコーと血液検査で「経過を見てよい石」と「治療を考えるべき石」を見極め、手術が必要な場合は連携病院へ速やかにおつなぎしています。
痛みに加えて発熱や黄疸を伴う場合は、胆嚢炎や胆管炎に進んでいる可能性があります。日を置かずにご受診ください。
健診で胆石を指摘された方の多くは、何の症状もありません。症状のない胆嚢結石の方を平均で9年近く追った研究でも、その間に症状が出たのは約2割にとどまっています。
石があることと、治療が必要なことは別の話です
胆嚢の中の石は、症状を起こしてはじめて治療の対象になるのが原則です。日本消化器病学会の指針でも、症状のない胆嚢結石は、胆嚢がんの合併がないことを確かめたうえで、治療をせずに定期的な経過観察とすることが可能とされています。「胆石がある=手術」ではありません。まずは、その石が今どのような状態にあるのかを確かめることから始めます。
ただし、経過観察には前提があります。石の大きさや数、胆嚢の壁の状態、ポリープの有無を定期的に確認し、変化がないことを確かめていく必要があります。「指摘されたまま放置している」状態と、「診察を受けたうえで経過を見ている」状態は、まったく異なります。
胆嚢の石と、胆管の石では、方針が異なります
胆石には、胆嚢の中にある「胆嚢結石」と、胆汁の通り道である胆管の中にある「総胆管結石」などがあります。胆嚢結石は症状がなければ経過観察とできるのに対し、総胆管結石は症状がなくても原則として治療の対象です。胆管に石がとどまると、胆管炎や膵炎といった重い状態を前触れなく起こすことがあるためです。
総胆管結石は腹部エコーでは写りにくいことが多く、血液検査で肝胆道系の数値が上がっている、エコーで胆管が太くなっているといった手がかりから疑います。疑わしい場合は、MRCPや超音波内視鏡(EUS)といった精密検査を行える連携病院へご紹介します。
胆石は、成分とできる場所によっていくつかの種類に分かれます。種類によって、できやすい方の背景や、選べる治療が変わります。
胆石の診療で最も大切なのは、「今、炎症や詰まりが起きていないか」と「経過を見てよい石か」を見分けることです。当院では腹部エコーと血液検査をもとに、診察の場で方針をお伝えします。
| 問診と診察 | 痛みの場所、起こる時間帯、食事との関係、持続時間、発熱や黄疸の有無を詳しくうかがいます。健診でいつ指摘されたか、石の大きさや数がどう記載されていたかも大切な情報です。過去の健診結果や画像があればご持参ください。 |
|---|---|
| 腹部エコー | 胆嚢結石を見つけるのに最も適した検査で、体への負担がなく、その場で結果が分かります。石の大きさと数、胆嚢の壁の厚さ、胆嚢の腫れ、ポリープの有無、胆管の太さを確認します。経過観察中の方は、この検査を年に一度受けていただきます。 |
| 血液検査 | 肝胆道系の数値(AST、ALT、ALP、γ-GTP)、ビリルビン、炎症の指標(白血球、CRP)、膵臓の酵素を調べます。エコーで写りにくい総胆管結石は、これらの数値の上がり方から疑うことができます。 |
| 精密検査の ご紹介 |
総胆管結石が疑われる場合や、胆嚢の壁に気になる所見がある場合には、MRCP(MRIによる胆管の撮影)、超音波内視鏡(EUS)、造影CTを行える連携病院へご紹介します。検査の結果は当院にも共有され、その後の経過を一緒に見ていきます。 |
| 胆嚢の壁の 確認 |
胆嚢がんの方の多くに胆石が見られることが知られていますが、胆石が原因でがんになるという明らかな根拠はありません。ただし、胆嚢が石で満たされている場合や大きな石がある場合は、石の陰になって壁の変化が見えにくくなります。年に一度のエコーで、胆嚢の壁の厚さやポリープの変化を確実に追っていきます。 |
治療は、症状の有無、石の場所、石の性質によって選びます。症状のない胆嚢結石は経過観察、症状のある胆嚢結石は手術、総胆管結石は内視鏡での摘出が基本の組み立てです。
| 経過観察 | 症状のない胆嚢結石の標準的な方針です。年に一度、腹部エコーで石と胆嚢の壁の状態を確認します。あわせて、胆道痛や合併症のサインをあらかじめ知っておいていただき、症状が出たときに迷わず受診できるようにしておきます。 |
|---|---|
| 胆石溶解療法 (内服薬) |
ウルソデオキシコール酸という薬を長期間内服し、石を溶かす治療です。効果が期待できるのは、石灰化のない小さな(おおむね15mm以下の)コレステロール結石で、胆嚢がよく働いている場合に限られます。年単位の内服が必要で、すべての方で溶けるわけではなく、溶けても再びできることがあります。手術を希望されない方の選択肢の一つとして、当院で処方できます。 |
| 腹腔鏡下 胆嚢摘出術 |
症状のある胆嚢結石に対する標準的な治療です。おなかに数か所の小さな穴をあけ、胆嚢ごと取り除きます。傷が小さく術後の痛みも少ないため、多くは数日で退院できます。手術である以上、合併症の可能性はゼロではなく、重い合併症は0.4%程度と報告されています。当院から連携病院の外科へご紹介し、退院後の経過は当院で分担します。 |
| 内視鏡的 結石除去(ERCP) |
総胆管結石に対する治療です。口から内視鏡を入れ、胆管の出口から石を取り出します。胆管炎を起こしている場合は、まず胆汁の流れを確保する処置を優先します。総胆管結石を取り除いたあと、胆嚢にも石がある場合は、再発を防ぐために胆嚢摘出術を続けて検討するのが一般的です。 |
| 胆嚢摘出後の 生活 |
胆嚢は胆汁をためておく袋で、胆汁そのものは肝臓で作られ続けます。そのため、胆嚢がなくても消化や吸収に大きな影響はないとされています。術後しばらくは脂っこい食事で下痢をしやすいことがありますが、多くは時間とともに落ち着きます。術後の肝機能の確認や食事の調整は、当院で対応できます。 |
手術をおすすめする場合、おすすめしない場合
胆道痛を一度でも経験した方は、痛みを繰り返しやすく、胆嚢炎などの合併症につながることもあるため、手術をおすすめします。症状がなくても、胆嚢が石で満たされていて壁の状態が確認できない場合、胆嚢の壁が厚くがんの合併が否定できない場合、胆嚢の壁が石灰化している場合、10mm以上のポリープを合併している場合には、手術を検討します。
一方、症状がなく、エコーで胆嚢の壁がきちんと確認でき、変化もない方に、手術をすすめることはありません。ご自身の石がどちらにあたるのか、診察の際にはっきりとお伝えします。
SAME DAY
エコーと採血で、急ぐべき状態かを見極めます
胆石の診療で最初に必要なのは、「今日、急いで対応すべき状態かどうか」の判断です。当院では腹部エコーと血液検査を院内で行い、胆嚢炎や胆管炎、膵炎が疑われる場合には、その場で連携病院へ連絡し、入院での治療につなぎます。月・火・木・金曜は19時まで診療しています。
WATCHFUL
「様子を見る」を、年に一度の検査で支えます
症状のない胆石は経過観察が原則ですが、経過観察とは放置することではありません。当院では年に一度の腹部エコーで、石の大きさ、胆嚢の壁の厚さ、ポリープの有無を記録し、前回との変化を比べていきます。胆嚢の壁に起こる変化を早い段階で捉えることが、経過観察の目的です。
COORDINATION
手術が必要なときは、時期を逃さずおつなぎします
胆嚢摘出術やERCPは、当院では行っていません。その代わり、必要と判断したときには時期を逃さず連携病院へご紹介します。紹介状には当院で行った検査の結果と経過をまとめ、先方での判断が早く進むようにしています。退院後の経過や術後の食事のご相談は、再び当院でお引き受けします。
NUTRITION
石ができやすい背景にも、目を向けます
コレステロール結石の背景には、肥満、脂質の多い食事、急激な減量、長時間の絶食といった生活の要素があります。当院には管理栄養士が4名在籍しており、発作を招きにくい食事の組み立てをご相談いただけます。減量に取り組む場合も、短期間に大きく体重を落とすと胆石ができやすくなるため、無理のないペースで進めます。脂肪肝や脂質異常症を合併している方には、あわせて対応します。
まずは診察でご相談ください
症状の有無と内容、健診で指摘された時期と内容、これまでの経過をうかがいます。健診結果、過去のエコーやCTの記録、お薬手帳をお持ちいただくと、変化の有無を比べることができます。痛みがあるときは、我慢せず早めにご受診ください。
腹部エコーと血液検査
腹部エコーで石と胆嚢の状態を確認し、血液検査で炎症や胆汁の流れの異常がないかを調べます。エコーは食事の影響を受けるため、可能であれば朝食を抜いてお越しください。難しい場合は、改めて日を設けます。
方針のご説明
検査の結果をもとに、経過観察でよいのか、精密検査や手術を考えるべきかをお伝えします。経過観察となる場合は、次にエコーを受ける時期と、症状が出たときの受診の目安をご説明します。精密検査や手術が必要な場合は、連携病院へご紹介します。
年に一度の確認、あるいは治療後の経過
経過観察の方は、年に一度のエコーで変化を追います。手術やERCPを受けた方は、退院後の体調や肝機能の確認、食事の調整を当院で行います。いずれの場合も、経過を記録として残し、長い目で見守ります。
次の症状があるときは、様子を見ずにご受診ください
胆道痛は、多くの場合数時間以内に自然と引いていきます。引かない痛みは、胆嚢炎や胆管炎、膵炎へ進んでいる可能性があります。とくに発熱と黄疸を伴う場合は、細菌が血液に入り込む重い状態に至ることがあり、一刻を争います。夜間や休診日など診療時間外であれば、ためらわず救急外来を受診するか、救急要請をしてください。
症状がなければ、原則として手術は必要ありません。胆嚢の中の石は、多くの方が症状のないまま過ごしています。ただし、胆嚢が石で満たされていて壁の状態が確認できない場合や、壁に気になる所見がある場合には、症状がなくても手術を検討することがあります。まずは一度、エコーで現在の状態を確認させてください。
ウルソデオキシコール酸という薬で溶かせる場合がありますが、条件があります。石灰化のない小さなコレステロール結石で、胆嚢の働きが保たれている場合に限られ、色素結石や石灰化した石には効きません。年単位の内服が必要で、中止すると再びできることもあります。適応となるかどうかは、エコーなどの所見をもとに判断します。
胆汁は肝臓で作られ続けるため、胆嚢がなくても消化はできます。術後しばらくは、脂っこい食事のあとに下痢をしやすいことがありますが、多くは時間とともに落ち着きます。極端な制限は必要なく、脂質の多い食事を一度に取りすぎないことから始めていただければ十分です。管理栄養士による食事のご相談もご利用いただけます。
必ずしもそうではありません。小さな石はむしろ胆嚢の出口や胆管に落ち込みやすく、総胆管結石や膵炎の原因になることがあります。一方、大きな石や、石で胆嚢が満たされている状態では、エコーで壁の変化を確認しにくくなります。大きさだけで安心したり心配したりせず、全体の所見で判断します。
年に一度の腹部エコーを目安にしています。石の大きさや数の変化だけでなく、胆嚢の壁の厚さやポリープの有無を確認することが目的です。胆嚢ポリープを合併している方や、胆嚢の壁に所見がある方は、間隔を短くすることがあります。症状が出た場合は、時期にかかわらずご受診ください。
脂質の多い食事は胆嚢を強く収縮させるため、発作の引き金になることがあります。一度に大量に取らないようにするのは理にかなっています。ただし、食事の工夫だけで石がなくなるわけではなく、発作を完全に防げるわけでもありません。すでに胆道痛を経験された方は、食事の注意に加えて手術を検討することをおすすめします。
胆嚢がんの方の多くに胆石が見られることは知られていますが、胆石が原因でがんになるという明らかな根拠はなく、胆石をお持ちの方の大半はがんにはなりません。大切なのは、胆石と診断されたときにがんの合併がないかを確かめ、その後も経過観察を続けることです。胆嚢が石で満たされている方や壁の石灰化がある方など、壁の評価が難しい場合は、手術を含めてご相談します。
体重を適正に保つことは、胆石の予防や脂肪肝の改善につながるため、減量そのものには意味があります。注意したいのは、極端な食事制限や長時間の絶食で短期間に大きく体重を落とす方法です。胆汁が滞りやすくなり、石ができやすくなったり、発作の引き金になったりすることがあります。無理のないペースで進められるよう、管理栄養士とご相談いただけます。
妊娠中はホルモンの影響で胆汁が滞りやすく、胆石ができやすい時期です。症状がなければ、出産後まで経過観察とするのが一般的です。症状がある場合も、まずは食事の調整と痛みへの対応を優先し、手術が必要な場合は産科と相談しながら時期を選びます。産科の主治医と連携して対応します。
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