全身倦怠感
全身倦怠感
全身倦怠感
だるさが抜けない、休んでも回復しない、朝から疲れている。倦怠感は誰にでも起こる一方で、その裏に治療できる病気が隠れていることがあります。貧血、甲状腺の機能低下、糖尿病、肝臓や腎臓の障害、心臓の負担、膠原病、睡眠時無呼吸、飲んでいるお薬、こころの負担。原因の幅が非常に広く、しかも検査で異常が出ないことも多いため、「疲れですね」「年のせいです」で終わってしまいがちな症状です。当院では、まず血液検査で調べるべきものを確実に調べ、見落とされやすい睡眠の問題も院内で評価します。そのうえで残る倦怠感に対して、漢方専門医として漢方薬を用いた治療を行っています。
倦怠感は、我慢して過ごされることの多い症状です。しかし血液検査と睡眠の評価を行うだけで、原因がはっきりすることは少なくありません。体重が減ってきている場合や、息切れをともなう場合は、先送りにしないでください。
倦怠感は症状であって、病名ではありません。背後に治療すべき病気が隠れていることもあれば、検査では何も出てこないこともあります。どちらであるかを確かめてから次に進むことが、遠回りに見えて最も確実です。
「疲れ」で片づける前に、確かめておくべき原因があります
貧血、甲状腺の機能低下、糖尿病、肝臓や腎臓の障害、心不全、膠原病などの炎症性の病気、慢性の感染症、悪性腫瘍、そして飲んでいるお薬そのもの。これらはいずれも全身倦怠感として現れることがあり、多くは血液検査で見当をつけられます。
とくに、体重が減っている、発熱が続いている、少し動くだけで息切れがする、といった症状をともなう場合は、経過を見るのではなく検査に進むべき状況です。当院は消化器と一般内科を専門としており、この部分をおろそかにしません。
見落とされやすいのは、睡眠です
だるさの原因として最も見逃されているのが、睡眠時無呼吸症候群です。夜間に呼吸が止まることで睡眠が細切れになり、本人は眠っているつもりでも体は休めていません。この状態は血液検査には一切現れません。いびきを指摘されている、日中に強い眠気がある、血圧が高い、といった方では、まず疑うべき原因です。
当院は多くのCPAP治療の患者さんを診ており、睡眠時無呼吸の検査を在宅で行えます。ただし、日中の強い眠気が主体で過眠症が疑われる場合に必要となるMSLT(反復睡眠潜時検査)は当院では実施できないため、その際は睡眠専門施設へご紹介します。
「異常なし」は、終わりではなく出発点です
検査で異常が見つからないと、「では様子を見ましょう」で話が終わってしまうことがあります。しかし、だるいという事実は変わりません。検査で異常がないことと、体が正常に働いていることは別です。
漢方医学は、まさにこの領域を扱ってきました。全身の力(気)が不足している、血が不足している、水分が体に停滞している、気の巡りが滞っている。西洋医学の検査には映らないこうした状態を、漢方は言葉にし、処方に結びつけます。当院の院長は漢方専門医として、この部分を診療の柱の一つに据えています。
倦怠感の原因は一つとは限らず、いくつかが重なっていることがよくあります。「貧血もあり、睡眠時無呼吸もあり、薬の影響もある」という形で、少しずつ積み重なっていることが少なくありません。
やみくもに検査を重ねるのではなく、症状と経過から必要なものを選びます。多くは、診察と血液検査、そして睡眠の評価で方向性がつきます。
| 問診と診察 | いつから、どのようにだるいのかをうかがいます。「体が重い」のか「眠くてたまらない」のか「力が入らない」のかは、原因を考えるうえで大きく異なります。体重の変化、発熱、いびき、便通、睡眠、こころの状態、そしてお薬の内容も必ず確認します。 |
|---|---|
| 漢方の診察 | 脈をみる、舌をみる、おなかを触れる(脈診・舌診・腹診)という漢方独自の診察を行います。体力がどの程度あるか、冷えがあるか、水分が停滞していないかといった状態を把握し、処方を選ぶ根拠にします。時間はかかりませんが、処方の精度を大きく左右します。 |
| 血液検査 | 貧血とその原因(鉄・フェリチン・ビタミンB12・葉酸)、肝臓や腎臓の機能、甲状腺ホルモン、血糖とHbA1c、炎症の程度、電解質、筋肉の酵素、栄養状態を示すアルブミンなどを調べます。必要に応じて自己抗体や感染症の検査も加え、膠原病や慢性感染症の有無を確認します。 |
| 睡眠時無呼吸の 検査 |
いびきや日中の眠気をともなう場合には、ご自宅で受けていただける検査で夜間の呼吸の状態を調べます。診断がついた場合はCPAP治療まで当院で対応できます。眠気が非常に強く過眠症が疑われる場合は、MSLTの実施できる睡眠専門施設へご紹介します。 |
| 心電図・胸部X線 腹部超音波 |
息切れや動悸をともなう場合には心電図と胸部レントゲンで心臓と肺の状態を確認します。腹部超音波では肝臓、胆のう、膵臓、腎臓を被ばくなく調べられます。動脈硬化が気になる場合には、院内でPWV・ABI検査も行えます。 |
| 内視鏡検査 | 貧血がある場合、その原因が消化管からの出血であることは少なくありません。黒い便が出た方、体重が減っている方、鉄剤を飲んでも改善しない方には、上部・下部の内視鏡検査をおすすめします。ご希望に応じて鎮静剤を用い、眠っている間に受けていただけます。 |
原因が見つかった場合は、その治療を優先します。そのうえで、原因が見つからない場合や、治療をしてもだるさが残る場合に、漢方薬が力を発揮します。倦怠感は、漢方が古くから最も得意としてきた領域の一つです。
| 原因が 見つかった場合 |
甲状腺の機能低下にはホルモンの補充、貧血には鉄剤と出血源の検索、睡眠時無呼吸にはCPAP治療、血糖の乱れには食事の調整というように、原因に応じた治療を行います。薬の影響が疑われる場合は、まず処方の見直しから始めます。だるさの改善が最も早いのは、この道筋です。 |
|---|---|
| 証を見極める | 漢方では、症状の名前ではなく、その方の体の状態(証)に合わせて処方を決めます。同じ「だるい」でも、体力そのものが落ちている方と、気の巡りが滞っている方とでは別の薬を使います。逆に言えば、合っていない漢方薬を飲んでも効きません。この見極めが、漢方専門医の役割です。 |
| 気を補う処方 | 疲れやすい、食欲が落ちている、話すのもおっくうといった状態には、補中益気湯が代表的な処方です。夏に食欲が落ちて動けなくなる方、病気やお手術のあとで体力が戻らない方にも用います。胃腸の弱さが目立つ場合には六君子湯を選ぶこともあります。 |
| 気と血を ともに補う処方 |
顔色が悪い、貧血をともなう、体力の消耗が強いといった場合には、十全大補湯や人参養栄湯を用います。長引く病気のあとや、高齢の方の慢性的な倦怠感に適しています。鉄剤などの西洋薬と併用することもあります。 |
| 気の巡りを 整える処方 |
緊張すると調子が悪くなる、気分が晴れない、のどのつかえ感がある、といった状態には、加味逍遙散、柴胡桂枝乾姜湯、半夏厚朴湯などを用います。ストレスが体に及んでいるタイプの倦怠感に適しており、西洋薬では対応しにくい部分を補えます。 |
| 冷えと水の 停滞に対する処方 |
手足が冷える、下痢しやすい、立ちくらみやめまいをともなうといった場合には、真武湯や苓桂朮甘湯などを選びます。体を温め、停滞した水分の巡りを整えることで、だるさが軽くなることがあります。 |
| 食事と生活の 調整 |
だるいときに「気合いで頑張りなさい」と言われることほど、つらいことはありません。当院には管理栄養士が4人在籍し、血糖の変動を抑える食べ方、鉄やたんぱく質のとり方を具体的にご提案します。食後に強い眠気が出る方では、食事の内容を変えるだけで変化することがあります。 |
漢方薬は保険で処方できます
医療機関で処方する漢方薬(医療用漢方製剤)は、健康保険の適用があります。市販の漢方薬より種類が多く、その方の状態に合わせて細かく選べます。効き方は処方と体質によって異なり、胃腸や気分に関わるものでは数日から2週間ほどで変化を感じる方が多い一方、体力そのものを補う処方では1〜2か月かけて整えていくこともあります。効果を判定する時期をあらかじめお伝えし、合わないと感じた場合は処方を変更しますので、飲み続けて我慢する必要はありません。
KAMPO
漢方専門医が、状態に合わせて処方を選びます
院長は漢方専門医として診療を行い、大学病院の漢方診療科と関わりながら、漢方薬の作用の研究にも携わってきました。全身倦怠感は、漢方が最も得意とする領域の一つです。決まった一つの薬を出すのではなく、脈や舌、おなかの所見から状態を見極め、その方に合う処方を選びます。効かなければ処方を変えるところまで含めて、責任を持って担当します。
SLEEP
見落とされやすい睡眠の問題を、院内で評価します
だるさの原因が睡眠時無呼吸だった、という方は少なくありません。当院は多くのCPAP治療の患者さんを診ており、検査から治療まで一貫して対応できます。血液検査に映らないこの領域を、最初から診療の視野に入れて診ることが、当院の強みの一つです。過眠症が疑われる場合は、専門施設と連携します。
EXAMINATION
調べるべきものは、確実に調べます
漢方を用いる前提として、見逃してはいけない病気を除外しておく必要があります。当院は消化器を専門とする内科であり、血液検査、内視鏡、腹部超音波、心電図を院内で行えます。漢方だけに頼らず、西洋医学の診断を土台に置くことを、診療の原則としています。
MEDICATION
飲んでいる薬全体を、見直します
倦怠感の原因が、飲んでいる薬にあることは少なくありません。とくに複数の医療機関から処方を受けている方では、全体を見る役割が必要です。当院では一般内科として、お薬手帳をもとに、減らせるもの、変更できるものを整理します。漢方を足す前に、引くことを考えます。
NUTRITION
管理栄養士4人体制で、食べ方を一緒に考えます
だるさには、食事の内容や血糖の変動が関わっていることがあります。当院では糖質のとり方を軸に、管理栄養士が生活に合わせた具体的な方法をご提案します。鉄やたんぱく質が不足しやすい食生活の見直しも含め、薬と食事の両方から支えます。
診察でご相談ください
だるさがどのように始まり、どう変化してきたかをうかがい、体重、発熱、睡眠、いびき、便通、こころの状態を確認します。あわせて脈・舌・おなかの漢方的な診察を行います。お薬手帳、健診結果、体重の記録をお持ちいただくと判断がしやすくなります。ご家族からいびきや無呼吸を指摘されている場合は、その内容もお知らせください。
必要な検査で、原因を確かめます
血液検査で全身の状態を調べ、必要に応じて心電図、腹部超音波、内視鏡を行います。いびきや日中の眠気がある場合には、ご自宅で受けていただける睡眠の検査をご案内します。飲んでいる薬に原因が疑われる場合は、その調整から始めます。
原因に応じた治療、または漢方薬を始めます
治療すべき病気が見つかった場合は、そちらの治療を優先します。原因がはっきりしない場合や、治療をしてもだるさが残る場合には、状態に合わせて漢方薬を選び、飲み方と効果を判定する時期をお伝えします。西洋薬が必要な場合は併用します。
経過を見ながら、調整します
効き方を確認し、合っていなければ処方を変更します。体調が戻ってきたら、薬を減らしていくことも検討します。長く続ける場合には、定期的な血液検査で副作用の有無も確認します。合わないまま飲み続けることのないよう、遠慮なくお伝えください。
次の症状があるときは、様子を見ずにご相談ください
だるさが急に強くなった場合や、意識・呼吸に異常がある場合は、ためらわず救急要請をしてください。また、倦怠感に強い気分の落ち込みや不眠をともなう場合には、こころの面からの対応が必要なことがあります。その場合も、まずはご相談いただければ適切な形をご提案します。つらさをひとりで抱えないでください。
あります。健診の基本項目には、甲状腺ホルモン、フェリチン、睡眠の状態などは含まれていないことがほとんどです。また基準値の範囲内であっても、その方にとっては不足している場合があります。検査で異常がないことと、体が正常に働いていることは別ですので、「異常なし」で終わってしまった方こそ、一度ご相談ください。
とても重要な違いです。体が重く力が入らない「倦怠感」と、日中に耐えがたい眠気が襲ってくる「過眠」とでは、考える原因が異なります。前者では貧血や甲状腺、肝腎機能などを、後者では睡眠時無呼吸や薬の影響、過眠症などを優先して調べます。診察では、この違いをていねいにうかがいます。
ご自宅で受けていただける検査で、夜間の呼吸の状態を調べられます。入院の必要はなく、機器をお貸しして普段どおりに眠っていただくだけです。診断がついた場合、CPAP治療まで当院で対応できます。いびきと日中のだるさが揃っている場合は、優先して調べる価値があります。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、他の病気を除外したうえで診断される病態で、少し動いたあとに強い疲労が数日続く「労作後倦怠感」が特徴です。無理に運動量を増やす方法は現在では推奨されておらず、活動量を配分しながら整えていく考え方が中心になります。当院ではまず除外すべき病気の検査を行い、そのうえで漢方薬や生活の調整で支えます。専門的な対応が必要と判断した場合は、ご紹介します。
処方によります。胃腸の調子や気分に関わる処方では、数日から2週間ほどで変化を感じる方が多くおられます。一方、体力そのものを補う処方は、1〜2か月かけて整えていくこともあります。当院では、いつ頃効果を判定するかをあらかじめお伝えし、その時点で合っていなければ処方を変更します。
あります。多くの処方に含まれる甘草という生薬では、むくみ、血圧の上昇、体のだるさや脱力(低カリウム血症)が起こることがあります。だるさを治すつもりの薬でだるさが強まることもあるため、注意が必要です。まれに肝臓の障害や間質性肺炎が生じることもあります。長く続ける場合は定期的に血液検査で確認しますので、むくみや息切れ、から咳が出たときはご連絡ください。
まず、本当に鉄が不足しているのかを血液検査で確かめる必要があります。貧血がある場合には、なぜ鉄が減っているのかを調べることがそれ以上に重要です。とくに男性や閉経後の女性の鉄欠乏では、消化管からの出血が背景にあることがあり、内視鏡での確認をおすすめします。原因を調べずに鉄を補い続けることは、避けたほうがよい対応です。
新型コロナウイルス感染症をはじめ、感染のあとに倦怠感が長く続くことは珍しくありません。多くは時間とともに改善しますが、その間もつらさは現実のものです。まずは貧血、甲状腺、肝機能、炎症の有無などを確認し、他の原因を除外します。そのうえで、体力を補う漢方薬や生活の調整で経過を支えます。「気のせい」として扱うことはありません。
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