口内炎
口内炎
STOMATITIS
口内炎
食事のたびにしみる。話すのもつらい。多くの方が経験する身近な症状で、たいていは1〜2週間で自然に治ります。ただ、月に何度もくり返す、いつも複数できる、大きくて深い、なかなか治らないという場合には、話が変わります。くり返す口内炎は、体の別の場所からの信号であることがあります。鉄や亜鉛、ビタミンの不足、腸の病気、膠原病、糖尿病、吸入薬による真菌の感染、そして口の中の悪性腫瘍。いずれも口内炎の形をとって現れることがあります。当院は内科として、口の中だけを見るのではなく、なぜくり返すのかを確かめる立場から診療しています。漢方薬による治療もあわせてご相談いただけます。
口内炎そのものを和らげる方法はあります。しかし、くり返す方にとって本当に必要なのは、なぜ起こるのかを一度きちんと調べておくことです。血液検査で分かることが、少なくありません。

「体調が悪いからできるのだろう」で片づけられてきた症状の中に、はっきりした原因が見つかることがあります。
不足しているものがある、という可能性
くり返す口内炎の背景として比較的多いのが、鉄、亜鉛、ビタミンB12、葉酸の不足です。いずれも粘膜を保つために必要で、足りなくなると口の中が傷つきやすく、治りにくくなります。
鉄の不足は、貧血として現れる前の段階でも口内炎の原因になります。健診で「貧血なし」と言われていても、貯蔵されている鉄が減っていることがあります。亜鉛の不足は、味を感じにくい、傷が治りにくいといった症状を伴うことがあります。これらは血液検査で確かめられ、不足していれば補う治療ができます。原因が分かってしまえば、対処は難しくありません。
2週間治らない潰瘍は、必ず確かめてください
通常の口内炎は、1週間から2週間で治ります。同じ場所に2週間以上とどまっている、周りが硬い、しこりを触れる、出血する、だんだん大きくなるという場合には、口の中の悪性腫瘍を念頭に置く必要があります。
舌の縁、頬の内側、歯ぐき、口の底は、いずれも起こりうる場所です。痛みが強くないことも珍しくなく、それがかえって受診を遅らせます。ステロイドの貼り薬を貼り続けて、そのまま数か月が過ぎてしまうことが、もっとも避けたい経過です。疑わしい場合は、歯科口腔外科や耳鼻咽喉科へ速やかにおつなぎします。
見た目と経過、そして他の症状を伴うかどうかで区別します。同じ「口内炎」でも、必要な対応は大きく異なります。
口の中の状態を確認したうえで、くり返す背景があるかどうかを血液検査と全身の症状から確かめます。
| 問診 | いつからか、月に何回できるか、一度にいくつできるか、大きさ、治るまでの日数、できる場所が決まっているかをうかがいます。回数と個数、そして治るまでの日数は、単なるアフタなのか、背景を調べるべきものなのかを分ける重要な情報です。 |
|---|---|
| 口の中の観察 | 潰瘍の形、深さ、縁の様子、周囲が硬いかどうか、白い苔の有無を確認します。こすって取れる白いものであればカンジダを疑います。歯や義歯が当たっている形跡がないかも確かめ、必要があれば歯科での調整をおすすめします。 |
| 血液検査 | 血算に加え、鉄とフェリチン、亜鉛、ビタミンB12、葉酸を確認します。あわせて血糖とHbA1c、炎症の程度、肝腎機能も調べます。当院は院内で採血を行っており、くり返す口内炎で最初に確かめるべき項目を一度でそろえられます。 |
| 全身症状の 確認 |
陰部の潰瘍、目の充血や痛み、皮膚の発疹やにきびのような症状、関節の痛みはベーチェット病を疑う所見です。下痢、腹痛、血便、体重減少があればクローン病や潰瘍性大腸炎を考えます。口の乾き、目の乾きが強い場合はシェーグレン症候群を調べます。 |
| 専門的な検査 | 膠原病を疑う場合は自己抗体などの検査を行います。腸の病気を疑う場合には、当院で胃内視鏡と大腸内視鏡を行っています。口内炎をきっかけに腸の病気が見つかることがあり、その場合は診断から治療まで続けて担当できます。 |
| 薬と生活の 確認 |
吸入ステロイド、免疫を抑える薬、抗菌薬の使用歴を確認します。吸入薬を使っている方には、うがいの方法を実際に確かめます。喫煙、飲酒、睡眠、食事の偏り、歯みがきの状況もうかがい、変えられる要因を整理します。 |
今ある痛みを和らげることと、くり返す原因に対処することを分けて進めます。前者だけでは、いずれ同じことのくり返しになります。
| 局所の治療 | ステロイドの軟膏や貼り薬で炎症を抑え、痛みを軽くします。うがい薬で口の中を清潔に保ちます。ただし、原因を確かめないまま貼り続けることは避けてください。カンジダによるものではステロイドは悪化させますし、腫瘍の発見を遅らせます。 |
|---|---|
| 不足している ものを補う |
鉄、亜鉛、ビタミンB12、葉酸が不足していれば、補う治療を行います。亜鉛は血液検査で測定でき、低い場合には保険で治療できます。効果が出るまで数か月かかりますが、根本的な対処になります。補った後も、なぜ不足したのかを確かめます。 |
| カンジダの 治療 |
抗真菌薬の内服や口の中に使う薬で治療します。あわせて、吸入薬の後のうがいの方法、義歯の手入れ、血糖の管理を見直します。原因を残したままでは、治療を終えると再び出てきます。喘息で吸入薬を使っている方は、当院で吸入の指導もあわせて行います。 |
| 背景の病気の 治療 |
ベーチェット病と診断された場合には、コルヒチンなどによる治療を行います。クローン病や潰瘍性大腸炎であれば、その治療のなかで口内炎も落ち着いていきます。当院は膠原病と消化器の両方を診療しており、口内炎を入り口として、その先の治療まで担当できます。 |
| 漢方薬 | くり返す口内炎に対して、漢方薬を用いることがあります。半夏瀉心湯を水に溶かして口に含んでから服用する方法は、がん治療に伴う口内炎に対して研究されてきた使い方で、通常の口内炎にも応用されています。体力や胃腸の状態に応じて、他の処方を選ぶこともあります。 |
| 生活面の 調整 |
刺激の強い食べ物、熱いもの、硬いものを避け、痛みが強い時期は柔らかい食事にします。歯みがきは痛くても続けてください。口の中が不潔になると治りが遅れます。睡眠不足と喫煙は、いずれも回数を増やす要因です。 |
INTERNAL
くり返す理由を、血液検査で確かめます
鉄、フェリチン、亜鉛、ビタミンB12、葉酸、血糖。くり返す口内炎で最初に確かめるべき項目を、院内の採血で一度にそろえられます。不足が見つかれば補う治療ができ、それだけで回数が減る方がおられます。「体調のせい」で終わらせずに、確かめておく価値のある症状です。
RHEUMATOLOGY
ベーチェット病を含めて評価できます
くり返す口内炎に、陰部の潰瘍、目の症状、皮膚の症状、関節の痛みが加わるとき、ベーチェット病の可能性を考えます。当院は膠原病、リウマチ性疾患の診療を行っており、疑わしい場合の検査から診断、その後の治療までを担当できます。シェーグレン症候群による口の乾きも同様です。
GASTRO
腸の病気が背景にあるとき、続けて調べられます
クローン病や潰瘍性大腸炎では、口内炎が腸の症状より先に現れることがあります。下痢や腹痛、血便、体重減少を伴う場合、当院で胃内視鏡と大腸内視鏡を行い、その場で確かめることができます。診断がついた後の治療も、同じ場所で継続していただけます。
KAMPO
漢方専門医が、体質に合わせて処方します
院長は漢方専門医として診療を行い、大学病院の漢方診療科と関わりながら漢方薬の作用の研究にも携わってきました。くり返す口内炎に対しては、胃腸の状態、体力、冷えの有無を踏まえて処方を選びます。口に含んでから飲むという使い方も含め、具体的な方法をお伝えします。
症状の経過をうかがいます
月に何回できるか、一度にいくつか、治るまでの日数、他に気になる症状がないかを整理します。お薬手帳、健診結果をお持ちください。吸入薬を使っている方は、実物をお持ちいただけると使い方を確認できます。可能であれば、口内炎が出ているときの写真も役に立ちます。
口の中を診て、採血をします
潰瘍の様子を確認し、カンジダや刺激によるものでないかを確かめます。くり返している方には、鉄、亜鉛、ビタミンを含む血液検査を行います。全身の症状から膠原病や腸の病気を疑う場合は、必要な検査を追加します。
結果を踏まえて治療を決めます
不足が見つかれば補い、カンジダであれば抗真菌薬を使います。原因がはっきりしない場合も、局所の治療と漢方薬で回数を減らすことを目指します。歯や義歯が当たっている場合は、歯科での調整をおすすめします。
経過を見ながら調整します
数か月かけて、回数と治るまでの日数がどう変わったかを確認します。改善が乏しい場合は、見落としている原因がないかを見直します。背景に病気が見つかった方は、その治療を継続して担当します。
次の場合は、いつもの口内炎として様子を見ずにご相談ください
とくに、2週間以上治らない潰瘍は必ず確かめてください。口の中の悪性腫瘍は、痛みが強くないことも多く、市販薬や貼り薬でしのいでいるうちに時間が過ぎてしまいます。当院で疑わしいと判断した場合は、歯科口腔外科や耳鼻咽喉科へ速やかにおつなぎします。また、水分がとれないほど痛む場合や高い熱を伴う場合も、早めにご連絡ください。
はい。歯や義歯が当たっている、被せ物の調整が必要といった場合は歯科の領域ですが、くり返す口内炎の背景には、栄養素の不足、腸の病気、膠原病、糖尿病、真菌の感染といった全身の要因があります。これらは内科で調べるものです。当院では血液検査でこれらを確かめ、必要に応じて歯科や口腔外科と役割を分けて対応します。
治まっている期間より、できている期間のほうが長いという状態は、一度調べておくべきです。鉄や亜鉛の不足が見つかることは珍しくありませんし、ベーチェット病や腸の病気が背景にあることもあります。原因がはっきりしない場合もありますが、その場合でも、調べたうえで漢方薬などによって回数を減らす方法を検討できます。
実際に不足しているのであれば有効ですが、まず何が不足しているかを確かめることをおすすめします。口内炎に関わるのはビタミンB群だけでなく、鉄と亜鉛の不足も多く、これらは市販のビタミン剤では十分に補えません。血液検査で確かめれば、必要なものを必要な量だけ補えます。不足していないものを飲み続けても、回数は変わりません。
口腔カンジダ症の可能性が高い状態です。吸入ステロイドが口の中に残ることで起こります。抗真菌薬で治療できますが、大切なのは吸入後のうがいを確実に行うことです。うがいのタイミングや方法に改善の余地があることが多く、当院では実際の吸入器を見ながら確認します。吸入薬をやめる必要はありません。
短期間であれば問題ありません。ただし、漫然と使い続けることはおすすめできません。カンジダによる病変にステロイドを使うと悪化しますし、悪性腫瘍だった場合には発見が遅れます。2週間使っても治らないときは、貼り続けるのではなく、一度診せていただくタイミングです。
見た目に異常がないのに舌が痛む状態があり、舌痛症と呼ばれます。この場合も、鉄や亜鉛、ビタミンB12の不足、口の乾き、カンジダの感染が隠れていることがあるため、まず調べます。原因が見つからない場合には、漢方薬を用いることがあります。気のせいとして片づけられがちな症状ですが、対応する方法はあります。
きっかけになることは確かです。睡眠不足、疲労、強いストレスは、口内炎の回数を増やします。ただし、それだけで説明できないことも多く、「ストレスのせい」で終わらせてしまうと、調べれば分かる原因を見逃します。生活の見直しは大切ですが、あわせて一度確かめておくことをおすすめします。
アフタ性口内炎はうつりません。一方、ヘルペスによる口内炎、手足口病、ヘルパンギーナはウイルスによるもので、うつります。高い熱を伴い、口の中に一度に多数できている場合はこちらの可能性がありますので、タオルや食器を分け、早めにご相談ください。カンジダによるものは、通常、健康な方にうつることはありません。
通常のアフタ性口内炎は、1週間から2週間で治ります。局所の治療で痛みを軽くすることはできますが、治るまでの日数を大きく短縮する方法はありません。だからこそ、できてからの対処よりも、回数そのものを減らすことに意味があります。2週間を超えて治らない場合は、別の原因を考える必要があります。
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