アレルギーは遺伝する?双子の研究と遺伝子研究でわかってきたこと|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

〒565-0816大阪府吹田市長野東19-6

06-6878-3303

睡眠時無呼吸症候群(SAS)
外来サイト
WEB予約 LINE予約
睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来サイト
内観

アレルギーは遺伝する?双子の研究と遺伝子研究でわかってきたこと

アレルギーは遺伝する?双子の研究と遺伝子研究でわかってきたこと|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

2026年10月22日

アレルギーは遺伝する?双子の研究と遺伝子研究でわかってきたこと

アレルギーは遺伝する?親から子への影響と「発症を減らす」環境や離乳食の進め方

Allergy & Genetics

アレルギーは、どこまで遺伝で決まるのか

執筆:千里丘かがやきクリニック 院長 有光 潤介/公開日:2026年10月22日

「親がアレルギーだと、子どももアレルギーになるのか」。よく話題になる疑問です。

先に答えを書くと、遺伝の影響は小さくありません。ただ、遺伝子だけで決まるわけでもない。研究でわかってきたことを、順番に見ていきます。

Point

この記事のポイント

  1. 双子の研究では、子どものぜんそくのなりやすさの約8割が遺伝で説明されました。ほかのアレルギー疾患でも6〜8割程度です
  2. 関わる遺伝子の場所は130以上見つかっていて、その多くはぜんそく・花粉症・アトピー性皮膚炎に共通しています
  3. 遺伝的な背景がよく似た集団でも、環境によってぜんそくの頻度は4倍違いました。遺伝子が決めるのは「なりやすさ」です

参考文献

  1. Heritability and confirmation of genetic association studies for childhood asthma in twins著者:Ullemar V, Magnusson PK, Lundholm C, ほか雑誌:Allergy. 2016;71(2):230-238発行日:2016年2月DOI:10.1111/all.12783要約:スウェーデンの9歳・12歳の双生児25,306人を対象とした研究。子どものぜんそくの遺伝率は0.82で、花粉症、湿疹、食物アレルギーなど他のアレルギー疾患でも0.6〜0.8程度と推定された。
  2. Genetics of peanut allergy: a twin study著者:Sicherer SH, Furlong TJ, Maes HH, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2000;106(1 Pt 1):53-56発行日:2000年7月DOI:10.1067/mai.2000.108105要約:ピーナッツアレルギーの双生児58組を調べた研究。片方がアレルギーのとき、もう片方も発症していた割合は一卵性で64.3%、二卵性で6.8%だった。遺伝率は81.6%と推定され、遺伝の強い関与が示された。
  3. Risk for asthma in offspring of asthmatic mothers versus fathers: a meta-analysis著者:Lim RH, Kobzik L, Dahl M雑誌:PLoS One. 2010;5(4):e10134発行日:2010年4月DOI:10.1371/journal.pone.0010134要約:33件の研究を統合したメタ解析。母親がぜんそくの場合、子どものぜんそくのオッズ比は3.04、父親の場合は2.44だった。母親の影響がやや大きかったが、医師の診断に限った解析では差は有意でなかった。
  4. Shared genetic origin of asthma, hay fever and eczema elucidates allergic disease biology著者:Ferreira MA, Vonk JM, Baurecht H, ほか雑誌:Nat Genet. 2017;49(12):1752-1757発行日:2017年12月DOI:10.1038/ng.3985要約:約36万人を対象としたゲノムワイド関連解析。ぜんそく、花粉症、湿疹のいずれかに関わる136の遺伝的変異を同定した。病気ごとに異なる影響を示したのは6つだけで、大半は3疾患に共通する危険因子だった。
  5. Common loss-of-function variants of the epidermal barrier protein filaggrin are a major predisposing factor for atopic dermatitis著者:Palmer CN, Irvine AD, Terron-Kwiatkowski A, ほか雑誌:Nat Genet. 2006;38(4):441-446発行日:2006年4月DOI:10.1038/ng1767要約:皮膚のバリアをつくるたんぱく質フィラグリンの遺伝子に、機能を失わせる2つの変異を同定した研究。欧州系の約9%が保有し、アトピー性皮膚炎の非常に強い危険因子だった。湿疹を伴うぜんそくとも関連した。
  6. Unique mutations in the filaggrin gene in Japanese patients with ichthyosis vulgaris and atopic dermatitis著者:Nomura T, Sandilands A, Akiyama M, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2007;119(2):434-440発行日:2007年2月DOI:10.1016/j.jaci.2006.12.646要約:日本人のフィラグリン遺伝子を調べた研究。欧州型の変異は日本人253人に認められず、日本人特有の2つの変異を新たに同定した。アトピー性皮膚炎患者143人中8人が保有し、対照156人にはいなかった。
  7. Rhinovirus wheezing illness and genetic risk of childhood-onset asthma著者:Çalışkan M, Bochkov YA, Kreiner-Møller E, ほか雑誌:N Engl J Med. 2013;368(15):1398-1407発行日:2013年4月DOI:10.1056/NEJMoa1211592要約:米国とデンマークの出生コホートの研究。17q21領域の遺伝子の違いは、乳幼児期のライノウイルスによる喘鳴と関連した。この領域がぜんそくのなりやすさに与える影響は、主にライノウイルスで喘鳴を起こした子どもでみられた。
  8. Innate immunity and asthma risk in Amish and Hutterite farm children著者:Stein MM, Hrusch CL, Gozdz J, ほか雑誌:N Engl J Med. 2016;375(5):411-421発行日:2016年8月DOI:10.1056/NEJMoa1508749要約:遺伝的背景と生活が似た米国のアーミッシュとフッター派の子ども60人を比べた研究。伝統的な農業を営むアーミッシュでは、ぜんそくが4分の1、アレルギー感作が6分の1で、家のほこりのエンドトキシンは6.8倍多かった。
  9. 鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年、2008年との比較):速報―耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として著者:松原篤, 坂下雅文, 後藤穣, ほか雑誌:日本耳鼻咽喉科学会会報. 2020;123(6):485-490発行日:2020年6月DOI:10.3950/jibiinkoka.123.485要約:耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした全国調査。2019年のアレルギー性鼻炎全体の有病率は49.2%、スギ花粉症は38.8%で、1998年、2008年の調査から大きく増加していた。10歳代での増加が目立った。
  10. Two-step egg introduction for prevention of egg allergy in high-risk infants with eczema (PETIT): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial著者:Natsume O, Kabashima S, Nakazato J, ほか雑誌:Lancet. 2017;389(10066):276-286発行日:2017年1月DOI:10.1016/S0140-6736(16)31418-0要約:湿疹のある生後4〜5か月の乳児を対象とした日本のランダム化比較試験。湿疹を治療したうえで生後6か月から加熱卵粉末を少量ずつ摂取した群では、1歳時の卵アレルギーが8%と、摂取しない群の38%より少なかった。
  11. 鶏卵アレルギー発症予防に関する提言作成:日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会資料:学会提言公表:2017年6月URL:jspaci.jp(PDF)要約:PETIT研究などに基づく提言。アトピー性皮膚炎のある乳児では、医師の管理のもと生後6か月から鶏卵の微量摂取を始めることを推奨した。開始前に湿疹を寛解させることが望ましく、家族歴だけでハイリスクとはしないとしている。
  12. Genetic risk scores do not improve asthma prediction in childhood著者:Dijk FN, Folkersma C, Gruzieva O, ほか雑誌:J Allergy Clin Immunol. 2019;144(3):857-860.e7発行日:2019年9月DOI:10.1016/j.jaci.2019.05.017要約:オランダとスウェーデンの出生コホートで子どものぜんそくの予測を検討した研究。家族歴や周産期・環境要因による予測(AUC 0.65前後)に遺伝的リスクスコアを加えても精度は改善せず、家族歴が最も強い予測因子だった。
  13. Maternal dietary antigen avoidance during pregnancy or lactation, or both, for preventing or treating atopic disease in the child著者:Kramer MS, Kakuma R雑誌:Cochrane Database Syst Rev. 2012;(9):CD000133発行日:2012年9月DOI:10.1002/14651858.CD000133.pub3要約:妊娠中・授乳中の母親の食物除去の効果を調べたコクランレビュー。妊娠中の除去(5試験、952人)では生後18か月までのアトピー性皮膚炎の予防効果はみられず、妊娠中の体重増加が少なくなった。栄養面への悪影響も懸念された。

大阪府吹田市長野東19番6号
千里丘かがやきクリニック

院長 有光潤介(日本アレルギー学会専門医)

TOP