歯ぎしりと寝言、どう対処する?——マウスピースから漢方薬まで、根拠でみる治療と受診の目安|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

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歯ぎしりと寝言、どう対処する?——マウスピースから漢方薬まで、根拠でみる治療と受診の目安

歯ぎしりと寝言、どう対処する?——マウスピースから漢方薬まで、根拠でみる治療と受診の目安|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

2026年9月24日

歯ぎしりと寝言、どう対処する?——マウスピースから漢方薬まで、根拠でみる治療と受診の目安

Sleep Bruxism & Sleep Talking

歯ぎしりは「守る」、寝言は「見極める」

執筆:千里丘かがやきクリニック 院長 有光 潤介/公開日:2026年9月24日

「夜中にギリギリ音がしていたよ」「寝言で何か叫んでいたよ」。家族にそう言われて、初めて気づく方がほとんどです。眠っている本人には、どちらも自覚がありません。

歯ぎしりも寝言も、多くは心配のいらないものです。ただ、歯を傷めていたり、別の病気のサインだったりすることもあります。この記事では、漢方薬を含めたそれぞれの対処法と治療法を、研究でわかっている範囲でまとめます。

Point

この記事のポイント

  1. 歯ぎしりを確実に止める方法は、まだありません。治療の中心は、歯科で作る硬いマウスピースで歯を守ることです
  2. いびきや無呼吸、胃酸の逆流、飲酒や喫煙、一部の抗うつ薬が歯ぎしりに関わることがあり、その見直しも対策になります
  3. 寝言の多くは治療不要です。ただし、夢に合わせて叫ぶ・暴れる場合は、詳しい検査が必要です
  4. 漢方薬の抑肝散(よくかんさん)には、歯ぎしりやレム睡眠行動障害が改善したという報告があります。ただし比較試験はまだなく、甘草による副作用にも注意が必要です

参考文献

  1. Updating the Bruxism Definitions: Report of an International Consensus Meeting著者:Verhoeff MC, Lobbezoo F, Ahlberg J, Bender S, Bracci A, Colonna A, ほか(最終著者 Manfredini D)雑誌:J Oral Rehabil. 2025;52(9):1335-1342発行日:2025年9月(オンライン公開2025年5月1日)DOI:10.1111/joor.13985要約:2024年の国際専門家会議の報告。歯ぎしりは病気ではなく運動としての「行動」と整理し、害がある場合にのみ結果へ対処し、睡眠時無呼吸などが背景にあればその病気を治療すべきとした。定義から「健康な人では」の但し書きを削除した。
  2. Bruxism: An umbrella review of systematic reviews著者:Melo G, Duarte J, Pauletto P, Porporatti AL, Stuginski-Barbosa J, Winocur E, Flores-Mir C, De Luca Canto G雑誌:J Oral Rehabil. 2019;46(7):666-690発行日:2019年7月(オンライン公開2019年5月7日)DOI:10.1111/joor.12801要約:系統的レビュー41編を統合したアンブレラレビュー。睡眠時の歯ぎしりは成人の1〜15%、小児・青年の3〜49%。飲酒、カフェイン、喫煙、一部の向精神薬、食道の酸逆流、受動喫煙が一貫して関連し、有効性が示された治療は口腔内装置のみだった。
  3. Associations between sleep bruxism and other sleep-related disorders in adults: a systematic review著者:Kuang B, Li D, Lobbezoo F, de Vries R, Hilgevoord A, de Vries N, ほか(最終著者 Aarab G)雑誌:Sleep Med. 2022;89:31-47発行日:2022年1月DOI:10.1016/j.sleep.2021.11.008要約:37編を検討した系統的レビュー。睡眠時無呼吸、むずむず脚症候群、周期性四肢運動、睡眠関連の胃食道逆流症、レム睡眠行動障害、睡眠関連てんかんのある成人では一般集団より歯ぎしりが多かった。多くで睡眠中の覚醒反応が共通因子と考えられた。
  4. Effects of continuous positive airway pressure and mandibular advancement appliance therapy on sleep bruxism in adults with obstructive sleep apnea: a pilot study著者:Li D, Lobbezoo F, Kuang B, Hilgevoord AAJ, de Vries N, Aarab G雑誌:Sleep Breath. 2023;27(5):1857-1864発行日:2023年3月3日(オンライン公開)DOI:10.1007/s11325-023-02799-z要約:睡眠時無呼吸の成人38人(CPAP 13人、下顎前方移動型の口腔内装置25人)で、治療なし・ありの睡眠検査を比較。歯ぎしりの指標は全体で有意に減り、減少は約6割の人でみられたが、減少幅の個人差は大きかった。
  5. Evaluation of a Proton Pump Inhibitor for Sleep Bruxism: A Randomized Clinical Trial著者:Ohmure H, Kanematsu-Hashimoto K, Nagayama K, Taguchi H, Ido A, Tominaga K, ほか(最終著者 Miyawaki S)雑誌:J Dent Res. 2016;95(13):1479-1486発行日:2016年12月(オンライン公開2016年7月29日)DOI:10.1177/0022034516662245要約:鹿児島大学などの研究。歯ぎしりのある12人に胃酸を抑える薬ラベプラゾールと偽薬を二重盲検で使い分けて睡眠検査を行ったところ、薬の使用中は筋活動、歯ぎしりの回数、歯ぎしり音が有意に減った。41.7%が胃食道逆流症だった。
  6. SSRI-associated bruxism: A systematic review of published case reports著者:Garrett AR, Hawley JS雑誌:Neurol Clin Pract. 2018;8(2):135-141発行日:2018年4月DOI:10.1212/CPJ.0000000000000433要約:抗うつ薬による歯ぎしりの症例報告46例を集めた系統的レビュー。女性に多く、原因薬はフルオキセチン、セルトラリン、ベンラファキシンが多かった。服用開始3〜4週以内に発症しうる一方、中止やブスピロン追加、他剤への変更で改善しうるとした。
  7. ブラキシズムの診療ガイドライン 睡眠時ブラキシズムの治療(管理)について著者:公益社団法人 日本補綴歯科学会 診療ガイドライン委員会媒体:日本補綴歯科学会ウェブサイト掲載PDF(Minds掲載)発行年:2021年1月(初版)URL:https://hotetsu.com/files/files_540.pdf要約:成人の一次性睡眠時ブラキシズムの診療指針。硬いスプリントとバイオフィードバックは弱く推奨、認知行動療法は弱く非推奨、薬物やボツリヌス毒素注射は非推奨とした。歯の保護効果は明白とし、咬合調整とリスク因子管理は根拠がなく判断不能とした。
  8. Occlusal splints for treating sleep bruxism (tooth grinding)著者:Macedo CR, Silva AB, Machado MAC, Saconato H, Prado GF雑誌:Cochrane Database Syst Rev. 2007;(4):CD005514発行日:2007年10月17日(現行の最新版)DOI:10.1002/14651858.CD005514.pub2要約:ランダム化比較試験5件を検討したコクランレビュー。スプリントが睡眠時の歯ぎしりの治療に有効といえる十分な根拠はないが、歯のすり減りには利点がある可能性を示した。背景では、咬合調整などの不可逆な処置は多くの場合勧められないとしている。
  9. Botulinum Toxin for Bruxism: An Overview著者:Coelho MS, de Oliveira JMD, Polmann H, Pauletto P, Stefani CM, Maciel LCDL, De Luca Canto G雑誌:Toxins (Basel). 2025;17(5):249発行日:2025年5月16日DOI:10.3390/toxins17050249要約:ボツリヌス毒素A型注射に関する系統的レビュー14編をまとめた総説。痛み、歯ぎしりの回数、最大咬合力の低下を示す報告が多かったが、全レビューの質は「極めて低い」か「低い」で確実な結論は出せず、最終手段として考えるべきとした。
  10. Prevalence of different parasomnias in the general population著者:Bjorvatn B, Grønli J, Pallesen S雑誌:Sleep Med. 2010;11(10):1031-1034発行日:2010年12月(オンライン公開2010年11月18日)DOI:10.1016/j.sleep.2010.07.011要約:ノルウェーの成人1,000人への電話調査。寝言の生涯経験率は66.8%、直近3か月は17.7%で、生涯経験率は調べた睡眠時随伴症の中で最も高かった。夢遊病は生涯22.4%、夢に合わせた行動は15.0%だった。
  11. Sleep talking: A viable access to mental processes during sleep著者:Alfonsi V, D’Atri A, Scarpelli S, Mangiaruga A, De Gennaro L雑誌:Sleep Med Rev. 2019;44:12-22発行日:2019年4月(オンライン公開2018年12月6日)DOI:10.1016/j.smrv.2018.12.001要約:寝言の総説。寝言は病的な状態ではなく正常な変化で、小児に多く思春期に減る。ストレス、発熱、飲酒、薬、睡眠不足が誘因となり、夢遊病やレム睡眠行動障害、睡眠時無呼吸に伴うこともある。通常は治療不要で、睡眠衛生と規則的な睡眠が勧められる。
  12. Risk and predictors of dementia and parkinsonism in idiopathic REM sleep behaviour disorder: a multicentre study著者:Postuma RB, Iranzo A, Hu M, Högl B, Boeve BF, Manni R, ほか(International RBD Study Group)雑誌:Brain. 2019;142(3):744-759発行日:2019年3月DOI:10.1093/brain/awz030要約:24施設の国際共同研究。睡眠検査で確定した特発性レム睡眠行動障害1,280人(平均66.3歳、82.5%が男性)を平均4.6年追跡。パーキンソン病や認知症などへの移行は年6.3%で、12年後には73.5%に達した。
  13. Severe obstructive sleep apnea/hypopnea mimicking REM sleep behavior disorder著者:Iranzo A, Santamaría J雑誌:Sleep. 2005;28(2):203-206発行日:2005年2月DOI:10.1093/sleep/28.2.203要約:夢に合わせた行動や不快な夢があり、レム睡眠行動障害が疑われた16人をビデオ睡眠検査で調べると、実際は重症の睡眠時無呼吸で、行動は無呼吸による覚醒時に起きていた。CPAPで異常行動、いびき、日中の眠気が消えた。
  14. Management of REM sleep behavior disorder: an American Academy of Sleep Medicine clinical practice guideline著者:Howell M, Avidan AY, Foldvary-Schaefer N, Malkani RG, During EH, Roland JP, ほか(最終著者 Ramar K)雑誌:J Clin Sleep Med. 2023;19(4):759-768発行日:2023年4月DOI:10.5664/jcsm.10424要約:米国睡眠医学会による成人レム睡眠行動障害の診療ガイドライン。系統的レビューとGRADEに基づき、クロナゼパムや即放性メラトニンなどを条件付きで推奨し、薬剤性では原因薬の中止を提案。寝室の安全確保の重要性も強調した。
  15. Successful treatment with Yi-Gan San for rapid eye movement sleep behavior disorder著者:Shinno H, Kamei M, Nakamura Y, Inami Y, Horiguchi J雑誌:Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2008;32(7):1749-1751発行日:2008年10月(オンライン公開2008年7月4日)DOI:10.1016/j.pnpbp.2008.06.015要約:抑肝散で症状が改善した特発性レム睡眠行動障害3例の報告。背景として、クロナゼパムは副作用のため使いにくい患者がいること、抑肝散は落ち着きのなさや興奮に対して作られ、日本では不眠症に承認されている処方であることを述べた。
  16. 抑肝散が著効した睡眠時歯ぎしりの2例著者:椛島浩明, 貝沼茂三郎雑誌:日本東洋医学雑誌. 2023;74(2):134-138発行日:2023年(J-STAGE公開2023年11月23日)DOI:10.3937/kampomed.74.134要約:歯ぎしりと不眠を主訴に受診した2例の臨床報告。漢方医学的な診察で2例とも背景にストレスの関与があると判断して抑肝散を処方したところ、歯ぎしりや不眠の自覚症状が改善した。有効な治療薬の一つとなる可能性を示した。
  17. Effect of Yokukansan for the Treatment of Idiopathic Rapid Eye Movement Sleep Behavior Disorder: A Retrospective Analysis of Consecutive Patients著者:Matsui K, Sasai-Sakuma T, Ishigooka J, Nishimura K, Inoue Y雑誌:J Clin Sleep Med. 2019;15(8):1173-1178発行日:2019年8月DOI:10.5664/jcsm.7816要約:抑肝散で治療した特発性レム睡眠行動障害36人の診療記録を分析。抑肝散単独では70.6%、他剤への追加では21.1%が「大きく改善」以上と判定された。副作用は1人の軽い胃の不快感のみで、治療選択肢の一つとして検討に値するとした。
  18. Liquorice-induced hypokalaemia in patients treated with Yokukansan preparations: identification of the risk factors in a retrospective cohort study著者:Shimada S, Arai T, Tamaoka A, Homma M雑誌:BMJ Open. 2017;7(6):e014218発行日:2017年6月15日DOI:10.1136/bmjopen-2016-014218要約:抑肝散類を服用した389人(平均68.6歳)の後ろ向きコホート研究。24.2%が低カリウム血症(3.6 mEq/L未満)となり、カリウムを下げる薬の併用、低アルブミン、1日7.5gの服用などが危険因子だった。月1回以上の血液検査を勧めた。
  19. 重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症著者:厚生労働省媒体:医薬品医療機器総合機構(PMDA)ウェブサイト掲載PDF発行年:2006年11月(2022年2月改定)URL:https://www.pmda.go.jp/files/000245267.pdf要約:患者と医療者向けの副作用対応マニュアル。偽アルドステロン症は主に甘草やグリチルリチンを含む漢方薬、かぜ薬、胃腸薬、市販薬などで起こり、高血圧やむくみ、手足のだるさ・しびれ・つっぱり感などがあれば医師・薬剤師へ連絡するよう求めている。
  20. The effects of hard and soft occlusal splints on nocturnal bruxism著者:Okeson JP雑誌:J Am Dent Assoc. 1987;114(6):788-791発行日:1987年6月DOI:10.14219/jada.archive.1987.0165要約:夜間の歯ぎしりがある10人に、硬いスプリントと柔らかいスプリントを順に装着して夜間の筋活動を記録。硬いものでは8人で有意に減少したが、柔らかいもので減ったのは1人のみで、5人ではかえって有意に増加した。

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