食事誘発性熱産生とは?食べるだけで消費されるエネルギーの正体|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

〒565-0816大阪府吹田市長野東19-6

06-6878-3303

睡眠時無呼吸症候群(SAS)
外来サイト
WEB予約 LINE予約
睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来サイト
内観

食事誘発性熱産生とは?食べるだけで消費されるエネルギーの正体

食事誘発性熱産生とは?食べるだけで消費されるエネルギーの正体|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

2026年10月14日

食事誘発性熱産生とは?食べるだけで消費されるエネルギーの正体

Diet-Induced Thermogenesis

食べるだけで消費されるエネルギー「食事誘発性熱産生」の正体

執筆:千里丘かがやきクリニック 院長 有光 潤介/公開日:2026年10月14日

食事のあと、体がぽかぽかと温かくなった経験はありませんか。

これは、食べたものを消化・吸収し、体の中で処理するためにエネルギーが使われているからです。このしくみを「食事誘発性熱産生(DIT:Diet-Induced Thermogenesis)」といいます。

「たんぱく質をとるとやせやすい」「よく噛むと代謝が上がる」「朝ごはんをしっかり食べると太りにくい」。こうした話の背景にも、食事誘発性熱産生が関わっています。ただし、なかには期待が大きくなりすぎている話もあります。この記事では、研究でわかっていることと、まだはっきりしないことを分けて整理します。

Point

この記事のポイント

  1. 食事誘発性熱産生は、ふつうの食事で1日の消費エネルギーの約10%を占めます
  2. 栄養素ではたんぱく質がもっとも大きく、脂質はほとんど熱になりません
  3. よく噛むこと、加工度の低い食品を選ぶことで増えるという報告がありますが、効果の大きさは控えめです

参考文献

  1. Diet induced thermogenesis著者:Westerterp KR雑誌:Nutr Metab (Lond). 2004;1:5発行日:2004年8月DOI:10.1186/1743-7075-1-5要約:食事誘発性熱産生の総説。1日の消費エネルギーは基礎代謝、食事誘発性熱産生、活動の3要素からなり、混合食では摂取エネルギーの約10%が熱となる。栄養素別の目安はたんぱく質20〜30%、炭水化物5〜10%、脂質0〜3%。
  2. Dietary protein, weight loss, and weight maintenance著者:Westerterp-Plantenga MS, Nieuwenhuizen A, Tomé D, ほか雑誌:Annu Rev Nutr. 2009;29:21-41発行年:2009年DOI:10.1146/annurev-nutr-080508-141056要約:たんぱく質と体重管理に関する総説。たんぱく質は満腹感、熱産生、エネルギー効率、体組成に作用し、減量中の満腹感と消費エネルギーを保ち、除脂肪量の維持に役立つとした。必須アミノ酸を含む良質なたんぱく質で熱産生が大きいとした。
  3. Postprandial energy expenditure in whole-food and processed-food meals: implications for daily energy expenditure著者:Barr SB, Wright JC雑誌:Food Nutr Res. 2010;54:5144発行日:2010年7月DOI:10.3402/fnr.v54i0.5144要約:健康な成人17人のクロスオーバー試験。同じエネルギー量のサンドイッチで比べると、食後の消費エネルギーは加工度の低い食事で137kcal(19.9%)、加工度の高い食事で73kcal(10.7%)と約半分だった。満腹感に差はなかった。
  4. The number of chews and meal duration affect diet-induced thermogenesis and splanchnic circulation著者:Hamada Y, Kashima H, Hayashi N雑誌:Obesity (Silver Spring). 2014;22(5):E62-E69発行日:2014年5月DOI:10.1002/oby.20715要約:健康な標準体重の成人を対象に、試験食を速く食べる場合とよく噛んで食べる場合を比較。食後90分間の熱産生は、よく噛んだ場合に有意に大きく、噛む回数や食事時間は熱産生および消化器の血流と正の関連を示した。
  5. Chewing increases postprandial diet-induced thermogenesis著者:Hamada Y, Hayashi N雑誌:Sci Rep. 2021;11:23714発行日:2021年12月DOI:10.1038/s41598-021-03109-x要約:健康な男性11人のランダム化クロスオーバー試験。液体の食べ物をそのまま飲む、味わってから飲む、噛みながら味わってから飲む、の3条件で比較し、口の中での刺激が長いほど食後の熱産生が増えた。食塊の大きさによらない効果と結論した。
  6. Twice as High Diet-Induced Thermogenesis After Breakfast vs Dinner On High-Calorie as Well as Low-Calorie Meals著者:Richter J, Herzog N, Janka S, ほか雑誌:J Clin Endocrinol Metab. 2020;105(3):e211-e221発行日:2020年3月DOI:10.1210/clinem/dgz311要約:標準体重の男性16人のランダム化クロスオーバー試験。同じ食事でも、朝食後の食事誘発性熱産生は夕食後の約2.5倍だった。食後の血糖・インスリン上昇は朝のほうが小さく、朝食を少なくすると日中の空腹感や甘いものへの欲求が増えた。
  7. Timing of daily calorie loading affects appetite and hunger responses without changes in energy metabolism in healthy subjects with obesity著者:Ruddick-Collins LC, Morgan PJ, Fyfe CL, ほか雑誌:Cell Metab. 2022;34(10):1472-1485.e6発行日:2022年10月DOI:10.1016/j.cmet.2022.08.001要約:肥満・過体重の30人のランダム化クロスオーバー試験。朝に多く食べる減量食と夜に多く食べる減量食を4週間ずつ比べ、総消費エネルギー、安静時代謝、体重減少に差はなかった。朝に多く食べると空腹感は少なかった。
  8. The thermic effect of food is reduced in older adults著者:Du S, Rajjo T, Santosa S, Jensen MD雑誌:Horm Metab Res. 2014;46(5):365-369発行日:2014年5月DOI:10.1055/s-0033-1357205要約:メイヨー・クリニックのデータを用い、60〜88歳の高齢者と18〜35歳の若年者を比較。除脂肪量や食事量をそろえても、高齢者では基礎代謝と食事誘発性熱産生がともに低く、熱産生は約1%低かった。
  9. Evidence-based recommendations for optimal dietary protein intake in older people: a position paper from the PROT-AGE Study Group著者:Bauer J, Biolo G, Cederholm T, ほか雑誌:J Am Med Dir Assoc. 2013;14(8):542-559発行日:2013年8月DOI:10.1016/j.jamda.2013.05.021要約:EUGMSが組織した国際研究グループの提言。65歳超に体重1kgあたり1.0〜1.2g/日以上のたんぱく質を推奨した。一方、透析を受けていない重度の腎機能低下例はこの推奨の例外とした。

TOP