2026年11月08日

Complementary and Alternative Medicine for Cancer
がんの補完代替医療と上手につきあう
執筆:千里丘かがやきクリニック 院長 有光 潤介/公開日:2026年11月8日
日本のがん患者さんを対象にした全国調査では、約45%の方が、病院の標準治療以外の方法を何らかの形で使っていました。その96%は健康食品やサプリメントで、利用者は平均で月に5万7千円を払っており、しかも、利用者の6割は、そのことを主治医に相談していませんでした[1]。
このような、標準治療以外の方法は「補完代替医療」と呼ばれます。補完代替医療には、漢方薬、健康食品、点滴、温熱療法など、様々なものがあり、科学的な裏付けの程度も、費用も、まったく違います。この記事では、漢方薬、高濃度ビタミンC点滴、水素吸入、ハイパーサーミア(温熱療法)、血管内治療、そして低分子化フコイダンについて、「効く・効かない」の白黒ではなく、どうつきあえば得をして、どうつきあうと損をするか、という視点から解説します。
Point
この記事のポイント
- 補完代替医療は、標準治療に「足す」なら味方になりえますが、標準治療の「代わり」にすると、命を縮めるおそれがあります。
- 「ヒトで確かめられているか」「標準治療の邪魔をしないか」「費用に見合うか」の3つの物差しで、一つずつ確かめることが大切です。
- 漢方薬や健康食品を使うときは、必ず主治医に伝えることが基本です。
補完代替医療とは
「補完」と「代替」の違い
補完代替医療とひとまとめに呼ばれますが、その中身は、二つに分かれます。まず、前提となる標準治療とは、手術、抗がん剤、放射線、免疫療法など、研究で「いま最も良い」と確かめられた治療のことです。
標準治療に「足す」のが補完医療、標準治療の「代わり」にするのが代替医療です。例えば、抗がん剤治療を続けながら、だるさ対策に漢方薬やサプリメントを使うのは補完医療で、主治医と相談のうえであれば、選択肢の一つになります。一方、手術や抗がん剤を断って、健康食品だけで治そうとするのは代替医療で、命を縮めるおそれがあります。
| 区分 | 考え方 | 例 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| 補完医療 | 標準治療に「足す」 | 抗がん剤治療を続けながら、だるさ対策に漢方薬やサプリメントを使う | 主治医と相談のうえなら、選択肢になる |
| 代替医療 | 標準治療の「代わり」にする | 手術や抗がん剤を断って、健康食品だけで治そうとする | 命を縮めるおそれがある |
当院で作成。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
同じ低分子化フコイダンでも、抗がん剤と一緒に飲むなら補完、抗がん剤をやめて飲むなら代替になります。この違いが、この記事のすべての出発点です。
日本での利用状況
冒頭でご紹介した全国調査では、がん患者さん3,100人のうち、約45%が何らかの補完代替療法を使っていました。その96%は健康食品やサプリメントで、平均で月に5万7千円を払っていました[1]。
研究の種類全国アンケート調査/対象 日本のがん患者さん3,100人
特に気になるのが、利用者の61%が、主治医に相談していなかったことです。何かを飲んでいて、まだ主治医に伝えていないという方も多いと思います。ただし、この調査は2001年10月から2002年3月にかけて行われたもので、古いデータである点には注意が必要です。
「足し算」なら味方、「引き算」なら敵
補完代替医療は、標準治療に「足し算」するなら味方になりえますが、標準治療を「引き算」してしまうと、敵になります。そう言える根拠が、アメリカの大規模なデータにあります。
補完代替医療を使った人は、標準治療を断りがち
アメリカの全国がんデータベース、約190万人の中から、治る見込みのある乳がん、前立腺がん、肺がん、大腸がんの患者さんを調べた研究があります。補完代替医療を使った258人と、使わなかった1,032人を比べたところ、使った人は、標準治療を断る割合が明らかに高いことが分かりました[2]。
| 標準治療 | 補完代替医療を使った人(258人) | 使わなかった人(1,032人) |
|---|---|---|
| 手術 | 7.0% | 0.1% |
| 抗がん剤 | 34.1% | 3.2% |
| 放射線 | 53.0% | 2.3% |
| ホルモン療法 | 33.7% | 2.8% |
標準治療を断った人の割合。Johnson SB, et al. JAMA Oncol 2018をもとに作成。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
研究の種類全米がんデータベースを用いた観察研究/対象 治る見込みのある乳がん・前立腺がん・肺がん・大腸がんの患者さん1,290人
特に、放射線治療は、使わなかった人では2%台ですが、使った人では半分以上が断っていました。抗がん剤もホルモン療法も、およそ10倍です。補完代替医療を始めると、標準治療から気持ちが離れていく、ということが、現実に起きています。
亡くなるリスクは約2倍に
その結果、補完代替医療を使った人は、亡くなるリスクが約2倍でした。5年生存率は、使った人で82.2%、使わなかった人で86.6%です[2]。
しかし、ここからが大切です。標準治療を断ったかどうかを計算に入れると、この差は、はっきりしなくなりました。つまり、命を縮めた主な原因は、サプリや民間療法そのものではなく、標準治療をやめてしまったことだと考えられます。「足し算なら味方、引き算なら敵」というのは、こういう意味です。
3つの物差し
補完代替医療を選ぶときの目安として、この記事では、次の3つの物差しで、一つずつ確かめていきます。
- ヒトで確かめられているか:試験管や動物ではなく、患者さんで効果が確認されているか
- 標準治療の邪魔をしないか:薬との飲み合わせや、治療の中断につながらないか
- 費用に見合うか:期待できる効果に対して、払う金額が大きすぎないか
研究の「信頼度の階段」
1つめの物差しを使うときに知っておいていただきたいのが、研究には「信頼度の階段」があることです。いちばん下が体験談です。「これで治った」という話は心に響きますが、たまたま良くなった人の話だけが集まりやすいため、信頼度は一番低くなります。
| 段階 | 研究の種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1段目 | 体験談・個人の感想 | たまたま良くなった人の話が集まりやすい |
| 2段目 | 試験管・動物の実験 | ヒトで同じことが起きるとは限らない |
| 3段目 | 比較のないヒトの試験 | 治療の効果なのか、ほかの要因なのか区別できない |
| 4段目 | くじ引きで比べた試験 | 「使う人」と「使わない人」を公平に比べられる |
| 5段目 | 多くの試験のまとめ | 最も信頼できる |
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ヒトでの試験の中でも、比べる相手がいないものより、くじ引きで「使う人」と「使わない人」に分けて比べた試験のほうが、信頼できます。このあとご紹介する研究も、この階段のどこにあたるかを意識して読んでいただければと思います。例えば、低分子化フコイダンは、この4段目に少しだけ届いたところで、人数はまだ数十人規模です。
抗がん剤の副作用をやわらげる漢方薬
漢方薬は、私の専門でもあります。低分子化フコイダンと同じく「補完」の仲間ですが、大きく違う点があります。漢方薬は医薬品で、抗がん剤の副作用対策として、病院でも実際に使われています。
漢方薬は健康食品ではなく「医薬品」
漢方薬と、低分子化フコイダンのような健康食品との一番の違いは、漢方薬が、国の承認を受けた医薬品だということです。病院で処方される漢方薬は148種類あり、保険が使えます。成分の量も基準どおりに管理されており、医師が診察して、副作用にも目を配りながら処方します。
| 項目 | 健康食品(低分子化フコイダンなど) | 医療用の漢方薬 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 食品 | 国が承認した医薬品 |
| 選び方 | 自分で選んで購入 | 医師が診察して処方 |
| 費用 | 自費 | 保険が使える(148種類) |
| 中身 | 製品ごとにばらばら | 成分の量を基準どおりに管理 |
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3つの物差しでいえば、③の費用の面でも有利です。
副作用ごとに使われる漢方薬
抗がん剤の副作用ごとに、よく使われる漢方薬を下の表にまとめました。
| 副作用 | 漢方薬 | 補足 |
|---|---|---|
| 吐き気・食欲不振 | 六君子湯(りっくんしとう) | 食事量の落ち込みを抑えた報告あり |
| 口内炎・下痢 | 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) | 口内炎には、溶かしてうがいに用いる |
| だるさ・体力低下 | 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) | 体質に合わせて選ぶ |
| 筋肉・関節の痛み | 芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) | 体質に合わせて選ぶ |
| 手足のしびれ | 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん) | 予防効果は確認されていない |
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そして、漢方では、同じ症状でも、体質、つまり「証」を見て薬を選びます。同じ吐き気でも、体質によって合う漢方薬が変わることがあり、ここが漢方の得意なところです。
六君子湯は食欲不振に
六君子湯(りっくんしとう)は、抗がん剤による吐き気や食欲不振に用います。食道がんで抗がん剤治療を受ける18人に、2回の抗がん剤のどちらか一方で六君子湯を飲んでもらい、食事量を比べた研究があります。六君子湯を飲んだときは、食事量の落ち込みがわずか2%でしたが、飲まなかったときは30%でした[3]。
研究の種類ランダム化クロスオーバー試験/対象 抗がん剤治療を受ける食道がんの患者さん18人
また、子宮頸がんや子宮体がんの比較試験でも、吐き気や食欲不振への上乗せ効果が報告されています[4]。六君子湯は、胃から出る「グレリン」という、食欲を高めるホルモンの働きを助けると考えられています。
ただし、どれも少人数の研究です。そのため、六君子湯は、吐き気止めの代わりではなく、標準の吐き気止めに上乗せして使うものです。
半夏瀉心湯は口内炎に
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)は、抗がん剤による口内炎に用います。飲むのではなく、お湯に溶かして、うがいをするのが特徴です。胃がんと大腸がんの抗がん剤治療中に口内炎が出た181人で、半夏瀉心湯と偽薬を比べた二重盲検の試験を2つまとめた結果、重い口内炎が治るまでの日数は、半夏瀉心湯で8日、偽薬で15日でした[5]。
研究の種類二重盲検ランダム化比較試験(第2相)2件の統合解析/対象 抗がん剤治療中に口内炎が出た胃がん・大腸がんの患者さん181人
二重盲検とは、本人も医師も、どちらを使ったかわからないようにして比べる方法で、思い込みの影響を除くことができる、信頼度の高いやり方です。ただし、口内炎のできやすさそのものは変わらず、日数の差も、統計的にはぎりぎりのところです。そのため、「治りを早める可能性がある」と受けとめていただくのがよいと思います。
牛車腎気丸の教訓
漢方の専門医として、うまくいかなかった例も、正直にお伝えします。牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、オキサリプラチンなどの抗がん剤で起こる、手足のしびれを防ぐ目的で、広く使われてきました。
ところが、きちんとした比較試験を行うと、予防効果を確認できませんでした[6]。日本の診療ガイドラインでも、予防のために使うことは勧められていません[7]。漢方薬だから特別扱いするのではなく、低分子化フコイダンと同じ物差しで測ることが、患者さんにとって一番誠実な態度だと考えています。
漢方薬にも副作用があります
漢方薬は、「自然のものだから安全」ではありません。特に、甘草(かんぞう)という生薬は、多くの漢方薬に入っており、量が多いと、むくみ、血圧の上昇、カリウムの低下(偽アルドステロン症)を起こします。また、黄芩(おうごん)という生薬は、まれに間質性肺炎や肝障害を起こします。半夏瀉心湯には、この両方が含まれています。
漢方薬を飲んでいて、せき、息切れ、発熱が出たときは、抗がん剤の副作用と症状が重なることもあるため、すぐに医療機関へ連絡してください。
また、複数の漢方薬を飲むと、同じ生薬が重なって量が増えます。ドラッグストアの漢方薬も、立派な薬です。自己判断で足さないようお願いします。
漢方薬を上手に使う3つのコツ
1つめは、抗がん剤の主治医に必ず伝えることです。漢方薬を別の医師が処方している場合も、情報を共有してください。2つめは、症状だけでなく、体質も見て選ぶことです。漢方に詳しい医師や薬剤師に相談することをおすすめします。3つめは、漫然と続けないことです。2〜4週間を目安に、効いているかを見直します。
高濃度ビタミンC点滴
高濃度ビタミンC点滴は、自由診療のクリニックで、よく見かけるようになりました。ビタミンCというと、身近なサプリを思い浮かべる方も多いと思いますが、点滴で入れる高濃度のビタミンCは、それとはまったく別物です。
ビタミンCとがん、50年の論争
ビタミンCとがんの話には、50年の歴史があります。1970年代、ノーベル賞を2度受賞したポーリング博士らが、大量のビタミンCで、がん患者さんが長生きしたと報告しました。
ところが、アメリカのメイヨークリニックが、くじ引きで比べる試験を2回行うと、飲むビタミンCには、効果が見られませんでした[8]。話はここで終わったかに見えましたが、2000年代になって、点滴で入れると、飲む場合の数十倍の血中濃度になることが分かりました[9]。腸からの吸収には、上限があるためです。そこで、点滴での研究が、再び始まりました。そのため、ビタミンCのサプリを飲めば同じ、ということではありません。
濃度が変わると、働きが逆になる
ビタミンCは、濃度によって働きが逆になるのが特徴です。ふだんの濃度のビタミンCは、活性酸素を消して細胞を守る、「抗酸化」の働きを有します。ところが、点滴で極端に濃くすると、反対に、過酸化水素という物質を生み出します。正常な細胞は、これを分解できますが、がん細胞は分解が苦手で、傷を受けやすいと考えられています。
量でいうと、1回に25〜75gほど、食事でとる量の数百倍を点滴します。ただし、この仕組みは、主に試験管や動物で確かめられたものです。
大腸がんの大規模な比較試験
ヒトでの研究で、これまでで最も大きいのが、中国の442人の比較試験です。転移のある大腸がんで、標準の抗がん剤に、高濃度ビタミンC点滴を足すかどうかを、くじ引きで比べました。その結果、がんが進まずにいた期間は、8.6か月と8.3か月で、統計的な差はありませんでした[10]。
研究の種類ランダム化比較試験(第3相)/対象 転移のある大腸がんの患者さん442人
ただし、RAS遺伝子に変異がある人だけに絞ると、9.2か月と7.8か月で、延びていました。一部の人に絞った分析のため、本当にその人たちに効くのかは、別の試験で確かめる必要があります。
膵がんの小さな比較試験
一方、2024年には、米国から注目すべき報告がありました。転移のある膵がんの36人で、標準の抗がん剤に、週3回、75gの高濃度ビタミンC点滴を足すかどうかを比べたところ、生存期間が16か月と8.3か月で、ほぼ2倍に延びていました。副作用や、生活の質の悪化も増えていません[11]。
研究の種類ランダム化比較試験(第2相)/対象 転移のある膵がんの患者さん36人
ただし、36人という小さな試験です。大腸がんの大きな試験で差が出なかったこともあり、膵がんで本当に効くのかは、より大きな試験で確かめる必要があります。このほか、小規模な研究では、抗がん剤の副作用や生活の質が改善したとの報告もあります。
受ける前に確認したい4つのこと
高濃度ビタミンC点滴は、比較試験では、大きな副作用は少ないとされていますが、必ず確認すべきことが4つあります[12]。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| G6PD欠損症 | 生まれつきの体質で、点滴すると赤血球が壊れる重い溶血を起こす。点滴の前に血液検査が必須 |
| 腎臓の病気・結石 | シュウ酸による腎障害の報告がある。腎臓病や尿路結石のある方は避ける |
| 血糖値の測定 | 点滴の後は、指先で測る血糖値が実際より高く出ることがある |
| 抗がん剤の効き目 | 一部の抗がん剤の効果を弱める可能性が、実験レベルで指摘されている |
米国国立がん研究所 PDQ「Intravenous Vitamin C」ほかをもとに作成。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
特に、血糖値の件は意外な落とし穴で、糖尿病でインスリンを使っている方は、注意が必要です。また、鉄が体にたまる病気(ヘモクロマトーシス)の方も避けます。
3つの物差しで測ると
①ヒトでの証拠は、大きな試験では全体の効果が示せず、膵がんの小さな試験が有望という段階で、まだ検証の途中です。②標準治療との関係では、抗がん剤との併用が前提で、事前の検査と主治医の了解が欠かせません。③費用は、保険が使えない自費診療です。週に何回も通うと、かなりの金額になるため、受ける場合は、総額を最初に確認してください。
水素吸入
ここ数年、がんの患者さん向けに水素吸入を行うクリニックや、家庭用の吸入器の広告を、よく見かけます。新しい療法ほど、期待が先行しがちです。
水素が注目されたきっかけ
水素が医療で注目されたきっかけは、2007年の日本の研究です。水素が、活性酸素の中でも、特に害の強いものを選んで消すと報告されました[13]。水素は、とても小さな分子のため、体のすみずみまで届きやすいと考えられています。とり方には、吸入、水素水、サプリがあり、体に入る量は、吸入が最も多いとされます。
ただし、この2007年の報告は、ラットや細胞を使った実験でした。
最も研究が進んでいるのは、救急医療
実は、ヒトでの研究が最も進んでいるのは、がんではなく救急医療です。心停止から蘇生したものの、意識が戻らない方を対象に、全国15の救急施設で、水素と偽のガスを比べる二重盲検の試験が行われました[14]。
研究の種類二重盲検ランダム化比較試験/対象 院外心停止から蘇生後、意識が戻らない患者さん73人(全国15施設)
最も重要な評価項目である脳の回復の改善は、統計的には確認できませんでした。一方で、90日後に後遺症がまったくない状態(mRS 0)の人が、21%から46%に増えた可能性が示され、水素による副作用は見られませんでした。ただし、コロナ禍で患者さんが集まらず、試験は途中で終わっています。最も研究の進んだ分野でも、まだ「確定」ではないということです。
がんでは、まだ比較のない研究の段階
がんについては、日本の研究があります。ステージ4の大腸がんで抗がん剤治療を受けている55人が、自宅で1日3時間、水素を吸入しました。その結果、免疫の働きを担うキラーT細胞のうち、「疲れた」状態を示すPD-1陽性の細胞が減った人ほど、経過が良かったと報告されています[15]。
研究の種類比較群のない観察研究/対象 抗がん剤治療中のステージ4の大腸がんの患者さん55人
興味深い結果ですが、水素を吸わない人と比べていないため、水素の効果なのか、抗がん剤の効果なのかは分かりません。信頼度の階段では、まだ3段目です。
水素を試す前に知っておきたいこと
1つめに、承認を受けていない機器や水素水で、「がんに効く」とうたうのは法律違反です。そう書いてある広告は、それだけで信用できません。2つめに、自宅用の吸入器は、購入でもレンタルでも、高額なものが多く、物差し③に関わります。
3つめに、水素水は濃度がばらばらで、国民生活センターの検査では、開封して24時間で、水素が1割程度まで減った例もありました[16]。4つめに、吸入そのものの大きな副作用は少ないとされますが、標準治療の代わりにはなりません。物差し①が、まだ満たされていない段階であることを、忘れないでいただきたいと思います。
ハイパーサーミア(温熱療法)
「温熱療法」というと、民間療法のように聞こえるかもしれませんが、ここでお話しするのは、病院で行う、保険も使える正規の治療です。
がんは、熱がこもりやすい
仕組みは、シンプルです。正常な組織は、温められると血管が広がって血流が増え、熱を逃がします。ところが、がんの血管は、急ごしらえで未熟なため、うまく広がらず、熱がこもります。がん細胞は、42.5℃を超えると弱っていきます。
治療では、体を2枚の電極ではさみ、ラジオに使われるような電波(8MHz)で、体の外から温めます。1回40〜50分、横になっているだけで、入院も必要ありません。
放射線・抗がん剤の効果を高める
ハイパーサーミアの本領は、放射線や抗がん剤と組み合わせたときです。その理由は3つあります。放射線が効きにくい、酸素の少ないがん細胞ほど、熱に弱いこと。治療で傷ついたがん細胞が修復するのを、熱がじゃますること。そして、血流が増えて、抗がん剤が、がんに届きやすくなることです。
実際、オランダの比較試験では、子宮頸がんで、放射線との併用により、治療成績が改善しました[17]。また、ヨーロッパの比較試験では、軟部肉腫で、抗がん剤との併用により、生存期間が延びました[18]。
研究の種類ランダム化比較試験/対象 子宮頸がんなど骨盤内のがんの患者さん(オランダ)、軟部肉腫の患者さん(ヨーロッパ)
そのため、ハイパーサーミアは、単独で使う治療ではなく、標準治療の効き目を底上げする治療と考えていただくのがよいと思います。物差し①と②を、きちんと満たしている例です。
岩盤浴やサウナとは、まったくの別物
「温める」と聞くと、岩盤浴やサウナ、温熱マットを思い浮かべる方も多いと思いますが、まったくの別物です。
| 項目 | ハイパーサーミア | 岩盤浴・サウナ・温熱マット |
|---|---|---|
| 目的 | がんを42.5℃以上に温める | 体を温める、リラックス |
| 根拠 | 比較試験あり(一部のがん) | がんへの効果は確認されていない |
| 保険 | 一定の条件で適用 | なし |
| 副作用 | やけど、皮下脂肪のしこり、だるさ | のぼせ、脱水 |
当院で作成。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
受けられる病院
ハイパーサーミアの装置を持つ病院は、多くありません。当院の近くでは、茨木市の彩都友紘会病院(大阪モノレール彩都西駅)が、サーモトロンRF-8という装置で、保険診療で治療を行っています。ほかの病院で受けたい方は、主治医か、がん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター」に相談してください。
血管内治療(IVR)
がんは、自分の周りに血管を引き込んで、栄養をもらっています。血管内治療(IVR)は、その「補給路」を使って治療する方法です。
細い管で、がんのすぐそばまで届ける
足の付け根や腕の血管から、カテーテルという細い管を入れ、X線で見ながら、がんに栄養を送っている血管まで進めます。そこで、抗がん剤を直接流したり(動注)、血管をふさいで兵糧攻めにしたり(塞栓)します。全身に回る薬の量を減らしながら、がんのところに薬を集中させられるのが利点です。
がんの種類によって、確立度が違う
注意していただきたいのは、同じ血管内治療でも、がんの種類によって、確立度がまったく違うことです。
| 治療 | 位置づけ | 費用 |
|---|---|---|
| 肝細胞がんの化学塞栓療法(TACE) | 標準治療のひとつ | 保険適用 |
| 肝細胞がんの動注化学療法 | 病状によって選択肢のひとつ | 保険適用 |
| がんからの出血を止める塞栓 | 症状をやわらげる治療として確立 | 保険適用 |
| その他のがん(大腸がんの肝転移など) | 施設が限られ、研究段階が多い | 自費が多い |
当院で作成。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
インターネットで、「血管内治療でがんが消えた」という話を見かけたら、それが、どのがんの、どういう治療の話なのかを確かめてください。
受ける前に聞きたい4つの質問
もし、標準治療以外の血管内治療をすすめられたら、次の4つを聞いてみることをおすすめします。
- 「私のがんで、何例くらいの経験がありますか」
- 「標準治療と比べたデータはありますか」
- 「保険ですか、自費ですか。総額はいくらですか」
- 「今の主治医と連携してもらえますか」
きちんとした医療機関であれば、どれにも正直に答えてくれます。答えをはぐらかされたら、それも一つの判断材料です。この4つは、血管内治療に限らず、どんな治療やサプリにも使える質問です。
低分子化フコイダン
低分子化フコイダンは、がんの健康食品の中でも、特によく使われているものの一つです。何なのか、ヒトで何が分かっているのか、何に気をつけるべきかを、順番に解説します。
低分子化フコイダンとは
低分子化フコイダンのもとになるフコイダンは、モズク、メカブ、コンブなどの「ぬめり」の成分です。フコースという糖がたくさんつながった、大きな分子です。これを、酵素などで細かく分解して、分子を小さくしたものが、低分子化フコイダンです。
分子を小さくすると、体に吸収されやすくなると説明されることが多いのですが、ヒトで本当に吸収に差が出るのかは、まだ十分に確かめられていません。また、原料の海藻や分子の大きさは、製品ごとに違います。
| 研究 | 原料 | 分子 |
|---|---|---|
| 池口ら(日本) | オキナワモズク | 大きい(従来型) |
| Tsaiら(台湾)2件 | ホンダワラの仲間 | 小さい(低分子) |
この記事で紹介する研究で使われたフコイダン。各論文をもとに作成。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
この記事でご紹介する研究も、従来型の大きいフコイダンを使ったものと、低分子のものがあります。ある研究で良い結果が出ても、お店で売っている別の製品が、同じように効くとは限りません。
試験管や動物で報告されている作用
フコイダン(低分子化したものを含む)については、試験管や動物の実験で、たくさんの作用が報告されています。がん細胞が自分で死ぬように促す作用(アポトーシスの誘導)、がんに栄養を運ぶ新しい血管を作らせない作用(血管新生の抑制)、NK細胞などの免疫細胞を元気にする作用、そして、IL-6などの炎症物質を抑える作用です。
広告でよく見かける話の多くは、このあたりです。ただし、これは試験管やネズミでの話です。ヒトで同じことが起きるかは別の問題で、ここで止まってしまう成分は、珍しくありません。物差し①は、まだ満たしていない段階です。
参考:従来型のフコイダンの研究
まず参考として、分子を小さくする前の、従来型のフコイダン(モズク由来)を使った日本の研究です。手術できない進行・再発大腸がんで抗がん剤治療を受ける20人を、くじ引きで、フコイダンを飲む人と飲まない人に分けました。その結果、フコイダンを飲んだ人は、抗がん剤によるだるさが起こりにくく、そのぶん、抗がん剤を長く続けることができました[19]。
研究の種類ランダム化比較試験(非盲検)/対象 切除できない進行・再発大腸がんの患者さん20人
ただし、生存期間は長い傾向でしたが、統計的な差はなく、寿命が延びたとまでは言えません。20人と小さな研究で、どちらを飲んでいるか、本人も医師も分かっている状態でした。
転移のある大腸がんでの比較試験
ここからが、低分子化フコイダンの研究です。台湾の研究で、転移のある大腸がんの54人に、標準の抗がん剤と分子標的薬に加えて、低分子化フコイダンか偽薬を飲んでもらいました。二重盲検という、信頼度の高いやり方です。その結果、がんの勢いを抑えられた人の割合(病勢コントロール率)が、低分子化フコイダンのほうで高くなりました[20]。
研究の種類二重盲検ランダム化比較試験/対象 転移のある大腸がんの患者さん54人
ただし、寿命が延びるかどうかは、まだ分かっていません。また、使われた低分子化フコイダンは、製造会社が提供したものです。研究を読むときには、こうした点も知っておいていただきたいと思います。
直腸がんの化学放射線療法中の比較試験
同じ台湾のグループによる2023年の研究では、直腸がんで、手術の前に抗がん剤と放射線の治療(化学放射線療法)を受ける87人が対象です。こちらも二重盲検です。低分子化フコイダンを飲んだ人は、生活の質のうち、体の調子に関する点数が良くなり、皮膚の発疹やかゆみ、だるさを訴える人も少なくなりました。腸内細菌のバランスにも、変化が見られました[21]。
研究の種類二重盲検ランダム化比較試験/対象 術前化学放射線療法を受ける直腸がんの患者さん87人
ただし、がんそのものへの効果は、さらに検証が必要です。ここまでの3つの研究に共通するのは、「がんを消す」ではなく、「つらい治療を乗り切りやすくする」方向の結果だということです。
炎症をしずめて、だるさを防げるか
低分子化フコイダンで「だるさ」が減る理由として、一つの手がかりになるのが、炎症です。IL-6という炎症物質(サイトカイン)は、がんの患者さんのだるさ、食欲の低下、やせに、深く関わっています。私は、大阪大学で、漢方薬が炎症物質、特にIL-6にどう働くかを研究していました。
日本の小さな研究では、転移のある進行がんの20人が、主に低分子化したフコイダンを含む製品を飲むと、2週間で、IL-1β、IL-6、TNF-αといった炎症物質が下がりました。ただし、比べる相手のいない研究で、生活の質やだるさの点数自体は、変わっていません[22]。
研究の種類比較群のない探索的研究/対象 転移のある進行がんの患者さん20人
現在、アメリカの国立がん研究所が、偽薬と比べる試験で、抗がん剤によるだるさを防げるか、また、CRPやIL-6がどう変化するかを調べています[23]。答えは、これから出てきます。
期待できること、まだ言えないこと
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 期待できるかもしれない | 治療中のだるさや副作用をやわらげる、抗がん剤を続けやすくする、生活の質(QOL)を保つ |
| まだ言えない | がんが消える・小さくなる、寿命が延びる、標準治療の代わりになる |
この記事で紹介した研究をもとに当院で作成。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
主役は標準治療で、低分子化フコイダンは、それを支える脇役です。この位置づけで使うのであれば、選択肢の一つになりえます。
使う前に知っておきたい4つの注意
1つめが最も大切で、低分子化フコイダンにも、ヘパリンという薬に似た、血を固まりにくくする作用があります。
ワルファリンなど、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方、手術や内視鏡の治療を控えている方は、低分子化フコイダンを飲んでいることを、必ず主治医に伝えてください。
2つめに、海藻由来のため、ヨウ素を含む製品があり、甲状腺の病気がある方は注意が必要です。3つめに、健康食品でも、肝臓を傷めることがあり、治療中は血液検査で確認することが大切です。4つめに、原料、分子量、含有量は製品ごとに違い、月に数万円かかることもあります。物差し②と③に関わる話です。
こんな広告には要注意
低分子化フコイダンに限らず、健康食品の広告で、次のサインに一つでも当てはまったら、いったん立ち止まってください。
- 「がんが消えた」という体験談ばかり
- 「副作用ゼロ」「抗がん剤より効く」と書いてある
- 「医師には内緒で」「抗がん剤はやめなさい」と書いてある
- 高額な定期購入や、「今だけ」のまとめ買いをすすめている
- 研究の中身(人数・比べ方)が書かれていない
そもそも、健康食品が「がんに効く」とうたうことは、法律(医薬品医療機器等法)で禁止されています。それを堂々と言っている時点で、信用できない業者だと考えてよいと思います。
3つの物差しで振り返る
この記事でご紹介した6つの方法を、3つの物差しでまとめました。同じ「補完代替医療」と呼ばれていても、これだけ違うということです。
| 治療 | ①ヒトでの証拠 | ②標準治療との関係 | ③費用 |
|---|---|---|---|
| 漢方薬 | 副作用ごとに比較試験あり。効果を示せなかったものも | 抗がん剤の副作用対策として併用 | 保険が使える |
| 高濃度ビタミンC | 大きな試験では全体の効果なし。膵がんで有望な小試験 | 併用が前提。事前の検査が必須 | 自費(通院回数で高額に) |
| 水素吸入 | がんでは比較のない研究のみ | 標準治療の代わりにはならない | 自費。高額な機器も |
| ハイパーサーミア | 一部のがんで比較試験あり | 放射線・抗がん剤と併用 | 一定の条件で保険 |
| 血管内治療 | 肝細胞がんでは確立 | がんの種類で位置づけが違う | 肝細胞がんは保険、他は自費が多い |
| 低分子化フコイダン | 少人数の試験で、副作用の軽減など | 併用が前提。薬との飲み合わせに注意 | 自費(月に数万円のことも) |
この記事で紹介した研究をもとに当院で作成。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
使うなら、必ず主治医に伝える
この記事で最もお伝えしたいのは、何かを使うのであれば、必ず主治医に伝えていただきたい、ということです。言いにくければ、次の言葉を、そのまま使っていただいて構いません。
- 「〇〇というサプリ(漢方薬)を飲んでいます」
- 「抗がん剤と一緒に使っても大丈夫ですか」
- 「手術や検査の前に、やめたほうがいいですか」
主治医に伝えた時点で、補完代替医療は「足し算」になります。隠したまま続けると、知らないうちに「引き算」になってしまうことが心配です。
信頼できる情報の探し方
広告や口コミより先に、まず、次の4つを確認することをおすすめします。
| 情報源 | 内容 |
|---|---|
| がんの補完代替医療ガイドブック | 厚生労働省の研究班が作成。代表的な療法の研究結果を解説 |
| 「統合医療」情報発信サイト(eJIM) | 厚生労働省。健康食品やサプリの情報を一般向けに解説 |
| がん情報サービス | 国立がん研究センター。標準治療や療養生活の情報 |
| がん相談支援センター | 全国のがん診療連携拠点病院に設置。その病院にかかっていなくても、無料で相談できる |
当院で作成。スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
こんな方はご相談ください
- 健康食品やサプリメントを飲んでいるが、主治医に伝えていない
- 抗がん剤による食欲不振、口内炎、だるさなどの副作用がつらい
- 抗がん剤治療中に、漢方薬を使ってよいか迷っている
- 血液をサラサラにする薬を飲んでいて、健康食品を使いたいと考えている
- 高額な自費の治療をすすめられて、迷っている
受診の際は、飲んでいる健康食品やサプリメントの名前と、お薬手帳をお持ちいただくと、相談がスムーズです。
よくあるご質問
今飲んでいる低分子化フコイダンは、やめるべきですか。
まずは、主治医に伝えることが基本です。そのうえで、飲んでいる薬との飲み合わせと、費用に問題がなければ、続けてもよいと考えます。ただし、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方や、手術、内視鏡の治療を控えている方は、必ず主治医に確認してください。
ハイパーサーミアは、どこで受けられますか。
装置を持つ病院は、多くありません。当院の近くでは、茨木市の彩都友紘会病院が、保険診療で治療を行っています。ほかの病院については、主治医か、がん診療連携拠点病院の「がん相談支援センター」に相談してください。
漢方薬は、どこで処方してもらえますか。
抗がん剤の主治医に相談するか、漢方に詳しい医師に相談してください。別の医師から処方された場合も、抗がん剤の主治医に、必ず伝えていただくようお願いします。
ビタミンCのサプリを多めに飲めば、点滴と同じですか。
同じではありません。腸からの吸収には上限があるため、飲むだけでは、点滴の濃度には届きません。高濃度ビタミンC点滴とは、まったく別物です。
水素水を毎日飲んでいます。問題はありますか。
飲むこと自体の害は、少ないと考えられています。ただし、がんへの効果は確かめられておらず、標準治療の代わりにはなりません。
モズクやメカブを食べるのは、よいですか。
食事として楽しむのは、問題ありません。ただし、健康食品の低分子化フコイダンとは、量も中身も別物です。
当院でのサポート
当院の院長は、日本東洋医学会の漢方専門医・指導医です。抗がん剤の副作用に対する漢方薬の使い方や、健康食品、サプリメントとのつきあい方について、ご相談をお受けします。
がんの治療方針そのものは、主治医の判断が基本です。当院でご相談いただいた内容は、主治医とも共有していただくようお願いします。
この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の診断や治療については、医師にご相談ください。
参考文献
- Nationwide survey on complementary and alternative medicine in cancer patients in Japan著者:Hyodo I, Amano N, Eguchi K, ほか雑誌:J Clin Oncol. 2005;23(12):2645-2654発行日:2005年4月DOI:10.1200/JCO.2005.04.126要約:日本のがん患者さん3,100人の全国調査(2001〜2002年)。約45%が補完代替医療を利用し、その96%が健康食品・サプリメント。平均の出費は月約5万7千円で、利用者の約6割は主治医に相談していなかった。
- Complementary Medicine, Refusal of Conventional Cancer Therapy, and Survival Among Patients With Curable Cancers著者:Johnson SB, Park HS, Gross CP, ほか雑誌:JAMA Oncol. 2018;4(10):1375-1381発行日:2018年10月DOI:10.1001/jamaoncol.2018.2487要約:米国のがんデータベースの研究。補完代替医療を使った人は標準治療を断る割合が高く、死亡リスクは約2倍。標準治療の拒否を考慮すると、その差ははっきりしなくなった。
- Traditional Japanese herbal medicine rikkunshito increases food intake and plasma acylated ghrelin levels in patients with esophageal cancer treated by cisplatin-based chemotherapy著者:Hamai Y, Yoshiya T, Hihara J, ほか雑誌:J Thorac Dis. 2019;11(6):2470-2478発行日:2019年6月DOI:10.21037/jtd.2019.05.67要約:シスプラチンを含む抗がん剤治療を受ける食道がん患者さんのクロスオーバー試験。六君子湯を飲んだ回は、食事量の減少が2%にとどまり、飲まなかった回の30%より小さかった。
- Additive effect of rikkunshito, an herbal medicine, on chemotherapy-induced nausea, vomiting, and anorexia in uterine cervical or corpus cancer patients treated with cisplatin and paclitaxel: results of a randomized phase II study (JORTC KMP-02)著者:Ohnishi S, Watari H, Kanno M, ほか雑誌:J Gynecol Oncol. 2017;28(5):e44発行日:2017年9月DOI:10.3802/jgo.2017.28.e44要約:シスプラチンとパクリタキセルで治療する子宮頸がん・子宮体がんの患者さんの第2相比較試験。標準の制吐療法に六君子湯を上乗せし、吐き気や食欲不振への効果を検討した。
- The clinical impact of Hangeshashinto (TJ-14) in the treatment of chemotherapy-induced oral mucositis in gastric cancer and colorectal cancer: Analyses of pooled data from two phase II randomized clinical trials (HANGESHA-G and HANGESHA-C)著者:Nishikawa K, Aoyama T, Oba MS, ほか雑誌:J Cancer. 2018;9(10):1725-1730発行日:2018年4月DOI:10.7150/jca.24733要約:胃がん・大腸がんの二重盲検第2相試験2件、181人の統合解析。重い口内炎が治るまでの中央値は半夏瀉心湯で8日、偽薬で15日(P=0.072)。口内炎の発生率には差がなかった。
- Preventive effect of Goshajinkigan on peripheral neurotoxicity of FOLFOX therapy (GENIUS trial): a placebo-controlled, double-blind, randomized phase III study著者:Oki E, Emi Y, Kojima H, ほか雑誌:Int J Clin Oncol. 2015;20(4):767-775発行日:2015年8月DOI:10.1007/s10147-015-0784-9要約:FOLFOX療法を受ける大腸がん患者さんの二重盲検第3相試験。牛車腎気丸に、オキサリプラチンによる末梢神経障害の予防効果は認められなかった。
- がん薬物療法に伴う末梢神経障害診療ガイドライン 2023年版発行:日本がんサポーティブケア学会掲載:Minds ガイドラインライブラリURL:https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00781/要約:がん薬物療法による末梢神経障害の予防と治療について、薬剤ごとの推奨をまとめた日本の診療ガイドライン。
- High-dose vitamin C versus placebo in the treatment of patients with advanced cancer who have had no prior chemotherapy. A randomized double-blind comparison著者:Moertel CG, Fleming TR, Creagan ET, ほか雑誌:N Engl J Med. 1985;312(3):137-141発行日:1985年1月DOI:10.1056/NEJM198501173120301要約:メイヨークリニックによる、進行がん患者さんへの大量ビタミンC内服の二重盲検比較試験。偽薬と比べて、生存期間などに効果は見られなかった。
- Vitamin C pharmacokinetics: implications for oral and intravenous use著者:Padayatty SJ, Sun H, Wang Y, ほか雑誌:Ann Intern Med. 2004;140(7):533-537発行日:2004年4月DOI:10.7326/0003-4819-140-7-200404060-00010要約:ビタミンCの体内動態の研究。内服では血中濃度に上限があるが、点滴では内服の数十倍の濃度に達することを示した。
- A Randomized, Open-Label, Multicenter, Phase 3 Study of High-Dose Vitamin C Plus FOLFOX ± Bevacizumab versus FOLFOX ± Bevacizumab in Unresectable Untreated Metastatic Colorectal Cancer (VITALITY Study)著者:Wang F, He MM, Xiao J, ほか雑誌:Clin Cancer Res. 2022;28(19):4232-4239発行日:2022年10月DOI:10.1158/1078-0432.CCR-22-0655要約:転移のある大腸がん442人の第3相試験。高濃度ビタミンC点滴の上乗せで、無増悪生存期間は8.6か月と8.3か月で差がなかった。RAS変異例では9.2か月と7.8か月だった。
- A randomized trial of pharmacological ascorbate, gemcitabine, and nab-paclitaxel for metastatic pancreatic cancer著者:Bodeker KL, Smith BJ, Berg DJ, ほか雑誌:Redox Biol. 2024;77:103375発行日:2024年11月DOI:10.1016/j.redox.2024.103375要約:転移のある膵がん36人の第2相比較試験。標準の抗がん剤に高濃度ビタミンC点滴を加えると、生存期間の中央値は16か月と8.3か月だった。
- Intravenous Vitamin C (PDQ®)–Patient Version発行:National Cancer Institute掲載:米国国立がん研究所 PDQURL:https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/cam/patient/vitamin-c-pdq要約:米国国立がん研究所による、高濃度ビタミンC点滴の解説。ヒトでの研究結果、副作用、G6PD欠損症や腎臓の病気がある人の注意点をまとめている。
- Hydrogen acts as a therapeutic antioxidant by selectively reducing cytotoxic oxygen radicals著者:Ohsawa I, Ishikawa M, Takahashi K, ほか雑誌:Nat Med. 2007;13(6):688-694発行日:2007年6月DOI:10.1038/nm1577要約:細胞とラットの実験で、水素が、活性酸素の中でも特に害の強いものを選んで減らすことを報告した研究。水素医学が注目されるきっかけとなった。
- Efficacy of inhaled hydrogen on neurological outcome following brain ischaemia during post-cardiac arrest care (HYBRID II): a multi-centre, randomised, double-blind, placebo-controlled trial著者:Tamura T, Suzuki M, Homma K, ほか雑誌:eClinicalMedicine. 2023;58:101907発行日:2023年4月DOI:10.1016/j.eclinm.2023.101907要約:国内15施設の二重盲検比較試験(73人)。主要評価項目に有意差はなかったが、90日後にmRS 0の人は46%と21%だった。COVID-19の影響で早期に中止された。
- Hydrogen gas restores exhausted CD8+ T cells in patients with advanced colorectal cancer to improve prognosis著者:Akagi J, Baba H雑誌:Oncol Rep. 2019;41(1):301-311発行日:2019年1月DOI:10.3892/or.2018.6841要約:ステージ4の大腸がん55人が抗がん剤治療中に水素を吸入した、比較群のない研究。疲弊したPD-1陽性のCD8陽性T細胞が減った人ほど、予後が良かった。
- 容器入り及び生成器で作る水素水発行:独立行政法人 国民生活センター掲載:報道発表資料(2016年12月15日)URL:https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20161215_2.html要約:市販の水素水と生成器を調べた結果。表示と実際の水素濃度の差や、開封後に水素濃度が低下することを示し、病気への効果をうたう表示に注意を呼びかけた。
- Comparison of radiotherapy alone with radiotherapy plus hyperthermia in locally advanced pelvic tumours: a prospective, randomised, multicentre trial著者:van der Zee J, González González D, van Rhoon GC, ほか雑誌:Lancet. 2000;355(9210):1119-1125発行日:2000年4月DOI:10.1016/S0140-6736(00)02059-6要約:オランダの多施設比較試験。局所進行した骨盤内のがんで、放射線に温熱療法を加えると、特に子宮頸がんで局所制御と生存率が改善した。
- Effect of Neoadjuvant Chemotherapy Plus Regional Hyperthermia on Long-term Outcomes Among Patients With Localized High-Risk Soft Tissue Sarcoma: The EORTC 62961-ESHO 95 Randomized Clinical Trial著者:Issels RD, Lindner LH, Verweij J, ほか雑誌:JAMA Oncol. 2018;4(4):483-492発行日:2018年4月DOI:10.1001/jamaoncol.2017.4996要約:ヨーロッパの比較試験の長期成績。高リスクの軟部肉腫で、抗がん剤に局所の温熱療法を加えると、生存期間が延長した。
- Fucoidan reduces the toxicities of chemotherapy for patients with unresectable advanced or recurrent colorectal cancer著者:Ikeguchi M, Yamamoto M, Arai Y, ほか雑誌:Oncol Lett. 2011;2(2):319-322発行日:2011年3月DOI:10.3892/ol.2011.254要約:切除できない大腸がん20人の比較試験。沖縄モズク由来の高分子フコイダンを加えると、倦怠感が少なく、抗がん剤を長く続けられた。生存期間に有意差はなかった。
- Efficacy of Low-Molecular-Weight Fucoidan as a Supplemental Therapy in Metastatic Colorectal Cancer Patients: A Double-Blind Randomized Controlled Trial著者:Tsai HL, Tai CJ, Huang CW, ほか雑誌:Mar Drugs. 2017;15(4):122発行日:2017年4月DOI:10.3390/md15040122要約:転移のある大腸がん54人の二重盲検比較試験。低分子フコイダンの併用で病勢コントロール率は92.8%と69.2%。生存期間や生活の質には有意差がなかった。
- The Auxiliary Effects of Low-Molecular-Weight Fucoidan in Locally Advanced Rectal Cancer Patients Receiving Neoadjuvant Concurrent Chemoradiotherapy Before Surgery: A Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Study著者:Tsai HL, Yeh YS, Chen PJ, ほか雑誌:Integr Cancer Ther. 2023;22:15347354231187153発行日:2023年10月DOI:10.1177/15347354231187153要約:術前化学放射線療法を受ける直腸がん87人の二重盲検比較試験。低分子フコイダンで、生活の質の身体面、皮疹・かゆみ、倦怠感が改善した。腫瘍の縮小効果には差がなかった。
- An Exploratory Study on the Anti-inflammatory Effects of Fucoidan in Relation to Quality of Life in Advanced Cancer Patients著者:Takahashi H, Kawaguchi M, Kitamura K, ほか雑誌:Integr Cancer Ther. 2018;17(2):282-291発行日:2018年6月DOI:10.1177/1534735417692097要約:進行がん20人の比較群のない探索的研究。主に低分子化したフコイダンを含む製品を飲むと、2週間でIL-1β、IL-6、TNF-αが低下した。生活の質と倦怠感はほぼ変わらなかった。
- Fucoidan for Preventing Chemotherapy-Related Fatigue in Patients With Gastrointestinal, Gynecological, Breast, or Lung Cancer発行:Mayo Clinic(米国国立がん研究所の臨床試験登録 NCI-2025-01334)掲載:ClinicalTrials.gov NCT06855524URL:https://clinicaltrials.gov/study/NCT06855524要約:抗がん剤治療中のだるさを防げるかを、フコイダンと偽薬で比べる進行中の臨床試験。炎症の指標の変化もあわせて調べている。
大阪府吹田市長野東19番6号
千里丘かがやきクリニック
院長 有光潤介(日本東洋医学会 漢方専門医・指導医)