胃カメラで「食道に白い斑点」と言われたら?食道カンジダ症の原因と治療|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

〒565-0816大阪府吹田市長野東19-6

06-6878-3303

睡眠時無呼吸症候群(SAS)
外来サイト
WEB予約 LINE予約
睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来サイト
内観

胃カメラで「食道に白い斑点」と言われたら?食道カンジダ症の原因と治療

胃カメラで「食道に白い斑点」と言われたら?食道カンジダ症の原因と治療|千里丘かがやきクリニック|吹田市長野東の内科・消化器内科

2026年9月29日

胃カメラで「食道に白い斑点」と言われたら?食道カンジダ症の原因と治療

胃カメラで見つかる「食道カンジダ症」とは?原因・症状・治療を分かりやすく解説

Esophageal Candidiasis

「食道に白いものがありました」と言われたら

執筆:千里丘かがやきクリニック 院長 有光 潤介/公開日:2026年9月24日

胃カメラ(上部消化管内視鏡)を受けたあとで、「食道に白い斑点がついていました。カンジダですね」と説明されて戸惑う方は少なくありません。カンジダと聞くと感染症、それも性感染症を連想して不安になる方もいますが、食道カンジダ症はまったく別のものです。

カンジダは、もともと私たちの口の中や消化管、皮膚にすみついている常在菌(カビの一種)で、ふだんは何も悪さをしません。ところが何らかの理由でバランスが崩れると、食道の粘膜の表面で増えすぎてしまうことがあります。これが食道カンジダ症です[1][2]。原因となる菌の代表は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)という種類です[2]。

感染性の食道炎のなかでは最も多いタイプで、決して珍しい病気ではありません[1][2]。

Point

この記事のポイント

  1. 食道カンジダ症は、もともと体にすみついているカビの一種(カンジダ)が食道で増えすぎた状態で、胃カメラを受けた人の1〜3%ほどに見つかります
  2. 免疫に大きな問題がない人でも、PPI(胃酸を抑える薬)の内服や萎縮性胃炎など、胃酸が減る状態で起こりやすくなります
  3. 症状があれば抗真菌薬の飲み薬で治療します。免疫が正常で症状のない軽症なら、経過観察という選択肢もあります

参考文献

  1. Risk factors for the development of esophageal candidiasis among patients in community hospital著者:Ogiso H, Adachi S, Mabuchi M, ほか(最終著者 Shimizu M)雑誌:Sci Rep. 2021;11(1):20663発行日:2021年10月19日DOI:10.1038/s41598-021-00132-w要約:岐阜県の地域中核病院で胃カメラを受けた7,736人を後ろ向きに解析。2.4%に食道カンジダ症がみられ、糖尿病、PPI内服、萎縮性胃炎、進行胃がん、胃切除後が独立した危険因子だった。萎縮性胃炎とPPI内服が重なるとリスクは3.13倍になった。
  2. Diagnosis and Treatment of Esophageal Candidiasis: Current Updates著者:Mohamed AA, Lu XL, Mounmin FA雑誌:Can J Gastroenterol Hepatol. 2019;2019:3585136発行日:2019年10月20日DOI:10.1155/2019/3585136要約:食道カンジダ症の危険因子、内視鏡所見、鑑別診断、治療を整理した総説。免疫低下者に加え、抗菌薬の頻用や食道アカラシアなどの運動障害も危険因子に挙げた。水で洗っても落ちない白い付着物が内視鏡での特徴で、治療は抗真菌薬の全身投与を基本とする。
  3. Long-Term Trends in Esophageal Candidiasis Prevalence and Associated Risk Factors with or without HIV Infection: Lessons from an Endoscopic Study of 80,219 Patients著者:Takahashi Y, Nagata N, Shimbo T, ほか(最終著者 Uemura N)雑誌:PLoS One. 2015;10(7):e0133589発行日:2015年7月24日DOI:10.1371/journal.pone.0133589要約:国立国際医療研究センターで胃カメラを受けた80,219人の解析。有病率は全体1.7%、HIV感染者9.8%で、HIV非感染者では2002〜2003年の0.6%から2012〜2014年の2.5%に増えた。関連した因子は年齢、HIV感染、ステロイドの全身投与で、PPIや糖尿病との関連はみられなかった。
  4. Candida esophagitis: a prospective study of 27 cases著者:Kodsi BE, Wickremesinghe C, Kozinn PJ, Iswara K, Goldberg PK雑誌:Gastroenterology. 1976;71(5):715-719発行日:1976年11月DOI:10.1016/S0016-5085(76)80347-2要約:一般病院での連続370件の内視鏡で見つかった食道カンジダ症27人を前向きに検討した研究。食道の症状があったのは14人だった。白斑の大きさと融合、潰瘍、粘膜のもろさ、狭窄で4段階に分ける重症度分類を示し、現在もKodsi分類として使われている。
  5. The modern face of esophageal candidiasis in an oncology center: Correlating clinical manifestations, endoscopic grade, and pathological data in 323 contemporary cancer patients著者:Matsuo T, Singh BS, Wurster S, ほか(最終著者 Kontoyiannis DP)雑誌:J Infect. 2024;89(1):106172発行日:2024年7月DOI:10.1016/j.jinf.2024.106172要約:米国MDアンダーソンがんセンターで病理学的に確定した、がん患者の食道カンジダ症323人を後ろ向きに解析。89%が固形がんで、33%は無症状だった。内視鏡での重症度が高いほど症状のある人の割合が増え、フルコナゾール内服者の13%で治療がうまくいかなかった。
  6. AGA Clinical Practice Update on Esophageal Dysfunction Due to Disordered Immunity and Infection: Expert Review著者:Reddy CA, McGowan E, Yadlapati R, Peterson K雑誌:Clin Gastroenterol Hepatol. 2024;22(12):2378-2387発行日:2024年12月DOI:10.1016/j.cgh.2024.08.027要約:米国消化器病学会による専門家レビュー。嚥下障害や嚥下時痛の原因として、カンジダ、ヘルペス、サイトメガロウイルスなどの感染症や、全身性の免疫疾患、好酸球性食道炎を念頭に置くよう求め、感染症が見つかった場合は免疫低下の有無を見極めるよう助言した。
  7. Clinical Practice Guideline for the Management of Candidiasis: 2016 Update by the Infectious Diseases Society of America著者:Pappas PG, Kauffman CA, Andes DR, ほか(最終著者 Sobel JD)雑誌:Clin Infect Dis. 2016;62(4):e1-e50発行日:2016年2月15日DOI:10.1093/cid/civ933要約:米国感染症学会によるカンジダ症の診療ガイドライン。食道カンジダ症には抗真菌薬の全身投与が常に必要とし、フルコナゾール200〜400mg/日の14〜21日間の内服を推奨した。内服できない場合は、フルコナゾールの静注かキャンディン系薬を用いるとしている。
  8. Systemic antifungal therapy for oesophageal candidiasis – systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials著者:Mwassi HA, Yahav D, Ayada G, ほか雑誌:Int J Antimicrob Agents. 2022;59(6):106590発行日:2022年6月DOI:10.1016/j.ijantimicag.2022.106590要約:抗真菌薬の全身投与を比べたランダム化比較試験12件のメタ解析。参加者の多くはHIV感染者だった。フルコナゾールと他のアゾール系薬に効果・安全性の差はなかったが、キャンディン系薬はフルコナゾールより真菌学的治癒率が低く、早期再発が多かった。
  9. Antifungal Treatment is Not Required for Immunocompetent Individuals With Asymptomatic Esophageal Candidiasis著者:Min YW, Kim E, Son HJ, Kim JJ, Rhee PL雑誌:Medicine (Baltimore). 2015;94(45):e1969発行日:2015年11月DOI:10.1097/MD.0000000000001969要約:韓国の健診内視鏡99,255件のデータベースから、生検で確定した無症状の食道カンジダ症のうち免疫が正常な142人を解析。抗真菌薬を使ったかどうかは、その後の内視鏡での消失と関係がなく、平均28か月の観察で合併症は1例もなかった。
  10. Course of Esophageal Candidiasis and Outcomes of Patients at a Single Center著者:Hoversten P, Otaki F, Katzka DA雑誌:Clin Gastroenterol Hepatol. 2019;17(1):200-202.e1発行日:2019年1月DOI:10.1016/j.cgh.2018.04.035要約:米国メイヨークリニックで生検などにより確定した、免疫が正常な食道カンジダ症218人の経過を調べた報告。約3分の1は治療を受けておらず、無治療で経過をみた無症状の患者の91%は、平均7か月の経過観察でも無症状のままだった。
  11. Global guideline for the diagnosis and management of candidiasis: an initiative of the ECMM in cooperation with ISHAM and ASM著者:Cornely OA, Sprute R, Bassetti M, ほか(最終著者 Zhu LP)雑誌:Lancet Infect Dis. 2025;25(5):e280-e293発行日:2025年5月DOI:10.1016/S1473-3099(24)00749-7要約:欧州医真菌学連合(ECMM)が国際医真菌学会(ISHAM)、米国微生物学会(ASM)と共同で策定した世界的な指針。粘膜のカンジダ症は糖尿病や免疫抑制療法がある人で再発や合併症を起こしやすいとし、耐性菌や新しい抗真菌薬も踏まえた診断・治療の推奨を示した。

大阪府吹田市長野東19番6号
千里丘かがやきクリニック

院長 有光潤介(日本消化器病学会専門医・日本消化器内視鏡学会専門医)

TOP